感染症内科への道標

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キノロン耐性直腸・尿生殖器のMycoplasma genitalium 感染に対するシタフロキサシンの有効性

2023-12-11 | 臓器別感染症:泌尿器・産婦人科系・STD
Naokatsu Ando et al, J Antimicrob Chemother. 2023 Aug; 78(8): 2070–2079.

要点
・18歳以上のM.genitalium(直腸炎・尿道炎)に対するシタフロキサシン治療を前向き評価
・21日中央値治療期間で、変異なし株で100%, S83I変異で92%, S83I+gyrA耐性で42%
・今回の研究では71%でS83I変異が検出

要約
・日本のNCGM/ACC: 前向き試験, 2019- 2022
ACC: 18歳以上のHIV, SHC: 18歳以上のMSM →IC取得
PCR診断(the PCR-based Invader kit and Aptima)

・結果:1633名(3347検体)をスクリーニングし、155例が直腸感染、39名が尿道感染
→142名、37名がそれぞれシタフロキサシンの単剤治療
淋菌・クラミジアとの共感染率:22.8% 

・77%でpar C 変異(71.4% (90/126) :G248T(S83I) )22.5% (27/120) でgyrA変異
・治療期間の中央値は21日間
・双方変異なし:100%治癒
G248T(S83I) とgyrA変異なし:92.9%治癒
S83I 耐性+   gyrA耐性:41.7%

・菌量:直腸スワブ 3.25 log10 、尿:3.55 log10 per 0.5 mL; P = 0.529)
安全性評価:4%で副作用(1.7%で下痢,1.1%で腹部膨満感, 0.6%で吐き気)

資料1: 
Mycoplasma genitalium マイコプラズマ・ジェニタリウム
https://www.acc.ncgm.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no40.html
・淋菌・クラミジアと共にSTIの原因として多い。
・保菌が多く、他の病原菌と混合感染を認め、特に咽頭・直腸では保菌が多い。
・女性では特に無症状が多い。
・2022年6月から日本でも検査が保険適用、耐性傾向が著しい(日本では耐性検査未承認)
・PCR検査が基本検査
・アジスロマイシンが用いられてきたが既に多くが耐性で、日本ではシタフロキサシン(海外ではモキシフロキサシン)を用いる。

資料2.  シタフロキサシン(添付文書)(先発品名称:グレースビット, 2008年)
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067121
細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼIVに対して阻害活性
日本で承認:適応症として、尿道炎、子宮頸管炎(モシキフロキサシンでは未適応)

<適応症>
○咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染
○膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎
○子宮頸管炎
○中耳炎、副鼻腔炎
○歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

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