日本消化器病学会関連研究会 肝機能研究班 1200円
2007年12月出版
肝炎ウイルスマーカーの選択基準
A型肝炎ウイルス(HAV)マーカー
HA抗体(主体はIgGクラス)
IgM-HA抗体(比較的早期に数ヶ月間一過性に陽性化する)
HAV RNA(保険適応外)
B型肝炎ウイルス(HBV)マーカー
HBs抗体:HBs抗原に対する抗体。HBs抗体陽性者には原則として再感染は起こらない。
HBc抗体:HBc抗原に対する抗体(主にIgG型)。既往感染者は低抗体価で陽性。HBs抗原陰性でHBc抗体陽性の場合は、HBs抗体の有無に関わらずHBVの既往感染を示す。体内にHBVが潜伏感染しているため免疫能低下で、再増殖する。
IgM-HBc抗体:初期に3-12ヶ月間一過性に高力価で出現する。HBVキャリアの急性増悪でも低力価で陽性化することがある。
HBe抗原:HBVゲノムのプレコアとコア遺伝子が続けて転写翻訳された場合、このペプタイドは小胞膜を通過し、血中に分泌され、HBe抗原として検出される。従ってHBV増殖を反映するマーカーとなる。HBe抗原が陰性化すると約80%の例で肝炎は鎮静化に向かう。
HBe抗体:HBe抗体が持続的に検出される場合は、存在するHBVは主としてプレコア変異株である。この変異株は通常増殖力に乏しいが、増殖力を得た場合には重症肝炎、劇症肝炎を惹起しうる。
HBV DNA抗体:最も有用なマーカーで4-5LGE /ml(log copy/ml)まで低下すると通常肝炎は鎮静化する。
プレコア変異、コアプロモーター変異:HBe抗原のセロコンバージョンの予測や、急性増悪時の重症化の予測に有用。保険適用無
HBV 遺伝子型:8型に分類。日本人ではB,Cが殆どで予後はよい。A型は成人の初感染でもキャリア化しやすい。保険適用無。
C型肝炎ウイルス(HCV)マーカー
HCV抗体:スクリーニングとして有用
HCV RNA: IFN治療のモニターや効果判定などに有用。
HCV 遺伝子型:世界で6型以上。日本では1型(1a,1b), 2型(2a, 2b)が主な遺伝子型であり、予後予測に重要
D型肝炎ウイルス(HDV)マーカー
国内では現在HD抗体検査試薬がない。研究目的でPCR法によるHDV RNA測定が可能。
E型肝炎ウイルス(HEV)マーカー
HE抗体:肝炎が終息しウイルス血症が消失するとIgMクラスとIgAクラスの抗体は短期間で陰性化する。IgAクラスの抗体が最も正診率が高い。
HEV RNA: 保険適用はない。
B型急性肝炎
HBs抗原は比較的長く陽性のことが多いが、回復期にかけて抗原量は低下しやがて陰性化する。治癒はALT値の正常化とHBs抗原の陰性化によって判定される。HBc抗体は、その後も年余に渡り持続陽性となる。
C型急性肝炎
HCV抗体は発症後より徐々に上昇する。したがって初期(1か月以内)には陰性のこともある。治癒はHCV RNAの持続陰性化とALTの正常化によて判定する。
B型肝炎無症候性キャリアの経過観察
HBe抗原陽性例では3-4か月に1回。HBe抗原陰性例では6-12か月に1回肝機能検査をすることが望ましい。HBe抗体陽性であってもHBV DNA量が十分に低下しない症例ではHBe抗原陽性例に準じた観察を行う。
C型肝炎の自然経過
HCVは、初感染後高率(70%)に慢性化する。治癒するとHCV抗体は陽性であるが、HCV RNAは陰性となる。HCV抗体陽性でもウイルス血症を伴わない場合は治療の必要はない。
入院時の肝炎ウイルス検査
通常、HBs抗原とHCV抗体の検査で十分であるが、免疫抑制が予測される場合にはこれらに加えHBc抗体と、HBs抗体の検査を行う。
肝機能検査
GOT, GPT, LDH, ALP, GGT, LAP, BIL, TP, ALB, ChE, TCHO,
血中アンモニア:肝性脳症の程度と必ずしも平行しない。
血中アミノ酸:劇症肝炎ではFisher比の低下がみられる。
ICG試験:肝細胞機能と有効肝血流量によって左右。慢性活動性肝障害、肝硬変の診断と予後判定には重症な指標となる。ICG負荷は標準体重で行うため腹水貯留や肥満者では不良な数字となりうる。
肝線維化マーカー:III型プロコラーゲンペプチド、IV型コラーゲン、ヒアルロン酸
免疫系検査:IgA,IgG, IgM, ANA, 抗平滑筋抗体、LKM-1抗体、抗ミトコンドリア抗体、抗M2抗体
腫瘍マーカー:AFP, PIVKA-II, CEA, CA19-9
2007年12月出版
肝炎ウイルスマーカーの選択基準
A型肝炎ウイルス(HAV)マーカー
HA抗体(主体はIgGクラス)
IgM-HA抗体(比較的早期に数ヶ月間一過性に陽性化する)
HAV RNA(保険適応外)
B型肝炎ウイルス(HBV)マーカー
HBs抗体:HBs抗原に対する抗体。HBs抗体陽性者には原則として再感染は起こらない。
HBc抗体:HBc抗原に対する抗体(主にIgG型)。既往感染者は低抗体価で陽性。HBs抗原陰性でHBc抗体陽性の場合は、HBs抗体の有無に関わらずHBVの既往感染を示す。体内にHBVが潜伏感染しているため免疫能低下で、再増殖する。
IgM-HBc抗体:初期に3-12ヶ月間一過性に高力価で出現する。HBVキャリアの急性増悪でも低力価で陽性化することがある。
HBe抗原:HBVゲノムのプレコアとコア遺伝子が続けて転写翻訳された場合、このペプタイドは小胞膜を通過し、血中に分泌され、HBe抗原として検出される。従ってHBV増殖を反映するマーカーとなる。HBe抗原が陰性化すると約80%の例で肝炎は鎮静化に向かう。
HBe抗体:HBe抗体が持続的に検出される場合は、存在するHBVは主としてプレコア変異株である。この変異株は通常増殖力に乏しいが、増殖力を得た場合には重症肝炎、劇症肝炎を惹起しうる。
HBV DNA抗体:最も有用なマーカーで4-5LGE /ml(log copy/ml)まで低下すると通常肝炎は鎮静化する。
プレコア変異、コアプロモーター変異:HBe抗原のセロコンバージョンの予測や、急性増悪時の重症化の予測に有用。保険適用無
HBV 遺伝子型:8型に分類。日本人ではB,Cが殆どで予後はよい。A型は成人の初感染でもキャリア化しやすい。保険適用無。
C型肝炎ウイルス(HCV)マーカー
HCV抗体:スクリーニングとして有用
HCV RNA: IFN治療のモニターや効果判定などに有用。
HCV 遺伝子型:世界で6型以上。日本では1型(1a,1b), 2型(2a, 2b)が主な遺伝子型であり、予後予測に重要
D型肝炎ウイルス(HDV)マーカー
国内では現在HD抗体検査試薬がない。研究目的でPCR法によるHDV RNA測定が可能。
E型肝炎ウイルス(HEV)マーカー
HE抗体:肝炎が終息しウイルス血症が消失するとIgMクラスとIgAクラスの抗体は短期間で陰性化する。IgAクラスの抗体が最も正診率が高い。
HEV RNA: 保険適用はない。
B型急性肝炎
HBs抗原は比較的長く陽性のことが多いが、回復期にかけて抗原量は低下しやがて陰性化する。治癒はALT値の正常化とHBs抗原の陰性化によって判定される。HBc抗体は、その後も年余に渡り持続陽性となる。
C型急性肝炎
HCV抗体は発症後より徐々に上昇する。したがって初期(1か月以内)には陰性のこともある。治癒はHCV RNAの持続陰性化とALTの正常化によて判定する。
B型肝炎無症候性キャリアの経過観察
HBe抗原陽性例では3-4か月に1回。HBe抗原陰性例では6-12か月に1回肝機能検査をすることが望ましい。HBe抗体陽性であってもHBV DNA量が十分に低下しない症例ではHBe抗原陽性例に準じた観察を行う。
C型肝炎の自然経過
HCVは、初感染後高率(70%)に慢性化する。治癒するとHCV抗体は陽性であるが、HCV RNAは陰性となる。HCV抗体陽性でもウイルス血症を伴わない場合は治療の必要はない。
入院時の肝炎ウイルス検査
通常、HBs抗原とHCV抗体の検査で十分であるが、免疫抑制が予測される場合にはこれらに加えHBc抗体と、HBs抗体の検査を行う。
肝機能検査
GOT, GPT, LDH, ALP, GGT, LAP, BIL, TP, ALB, ChE, TCHO,
血中アンモニア:肝性脳症の程度と必ずしも平行しない。
血中アミノ酸:劇症肝炎ではFisher比の低下がみられる。
ICG試験:肝細胞機能と有効肝血流量によって左右。慢性活動性肝障害、肝硬変の診断と予後判定には重症な指標となる。ICG負荷は標準体重で行うため腹水貯留や肥満者では不良な数字となりうる。
肝線維化マーカー:III型プロコラーゲンペプチド、IV型コラーゲン、ヒアルロン酸
免疫系検査:IgA,IgG, IgM, ANA, 抗平滑筋抗体、LKM-1抗体、抗ミトコンドリア抗体、抗M2抗体
腫瘍マーカー:AFP, PIVKA-II, CEA, CA19-9
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます