なるへそブログ

日々の暮らしの中で気づいた新しい発見「なるへそ~」と思った出来事を書き綴ります

課題だらけの難民認定制度

2015-03-02 19:26:05 | 社会の制度
ここのところ、新聞などでは難民申請を不正に行う人たちの存在が取り上げられています

産経新聞
『難民認定制度を悪用、偽装申請を指南していたネパール人を摘発』

朝日新聞
『難民申請 偽装指南 ネパール人摘発』

といった具合です。でも、そもそも難民認定制度とはどういうものなのでしょうか。

UNHCR(国連難民高等弁務官)によれば、難民とは「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた人々」と定義されています。

日本の場合、他国から逃れてきた人々が難民申請をすると、国による審査が行われます。この審査が結構時間がかかるみたいなんです。平均すると2、3年とか言われています

日本の社会で2、3年待つというのは、経済的にとても厳しいことです。そもそも、命からがら逃れてきた難民の人たちは、充分な貯えがあるとも思えません。

さらに、日本の難民認定自体が厳しいものと言われており、一発で難民と認定されることはほとんどなく、多くの人は「異議申し立て」をして、再度審査にかけてもらうようです。

すると、当然ながら、さらに時間が掛かってしまうという構造です

そこで、2010年に難民認定制度が改正され、難民申請をしてから待機する期間が6ヶ月を経過した場合は、それ以降の期間で就労をしても良い>となったのです。

日本で働くことを許可することで、少しでも経済的負担を軽くしてもらおうということです。

ところが、この制度を悪用する人たちが出てきたのです

それが、外国人技能実習制度を利用した一部の実習生です。

外国人技能実習制度とは、日本の技術などを学びたい外国人を対象にした研修制度です。日本の企業で最長3年間の研修を受けることができ、お給料も出ます。日本で学んだことを母国で活かしてもらおうと、1993年から導入されています。

今回、この研修制度を利用している実習生が、勤務すべき実習先を抜け出し、難民申請をすることで(審査の待機期間を利用して)より条件の良い仕事に就いていたことが発覚したのです。

地方の工場などで行う技能実習。ここで得る給料より、難民申請にかこつけて都内で就労をした方が、より高い収入が得られるともくろんだようです。

つまり、自分は難民という立場ではないと100%分かっていながら、難民申請を偽装していたというわけです。

ところで今回のニュースを調べていく中で、初めて知ったことがありました。

今回話題になっている“難民申請”は、基本的には何度でもできるのだそうです。

なるへそ、ここに問題がありそうですね

難民申請が不認定となっても、再申請をすれば良い。何度も「審査中」となり、その立場を利用して働き続けることができるというわけです。

こういうニュースが流れると、「難民なんてけしからん!」いう動きになりかねません。一部のズルをする人たちのために、本当に支援を必要としている方たちの権利が制限されてしまうのは本末転倒です。

そもそもこの問題の背景には…


・難民認定にかかる審査期間が長すぎる。
・難民認定される可能性がなくても申請できてしまう。
・そもそも日本では難民認定の基準が厳しすぎる。
・外国人技能実習制度が研修として機能せず、単なる低賃金労働となっている。


ちょっと考えただけでも、上記のような問題が背景にあるのだと思います。

先にも述べましたが、本当に支援を必要としている人たちに不利益を起こすのは、絶対に避けなければなりません。よりよい制度の整備が進んでくれることを願います