隣りの吉田日記

レーサーが周りの景色気にしたらぶつかって死ぬよ

ばいの寅さん

2005-07-19 | ばいの国
健康家族のろんてん家が寝静まった深夜、電話が鳴る。
こんな時間に電話かけてくるのはあいつしかいない。家族を起こさないように
私にしてはせいいっぱい早く動いて電話をとる。

「もっしー」
「あ、おれおれ」
「・・はいはい・・」
「寝とったろー?ごめんごめん」

やはり、私の下の弟である。
トラックの運転手やってる弟は福岡まで荷物を積みにきたが、段取りミスで朝の
9時まで待ち時間ができたから風呂貸して、ってさ。まるで私が今まで起きてた
のを信じてるような明るい話ぶりである。夜中の1時半だよ。

おまけにトラックはでかすぎて城南線にでも止めなければ駐車場所もないので
城南線まで迎えにきて欲しいと遠まわしに言うけど、私は寝起きだしそこまで
元気もないので丁寧に断る。この常識はずれた弟は昔からこんな風に人にものを
頼んだりする。その度にこんなことよく頼めるな、とかいちいち考えていたら
弟とは付き合えない。断っても別段不快にもならずに違う方法を考えるらしい。

で、私は迎えには行けない(行きたくない)けど、お風呂を沸かしてあげること
ぐらいはできるので、半分ボーッとしたままお風呂を洗い、湯をためる。

そのうち弟は「ばいーっ!」と言いながらやってきて風呂に入った。
風呂からあがると、「姉ちゃんいいもんやろうか」とバックからゴソゴソと丸い
軟膏の容器みたいなのを取り出した。

「ハクビシン」

歯磨きする時、ハブラシに少しつけて磨くと「歯真っ白」
これを使い出してから、上の弟もナミもチカも歯真っ白。だそうである。
歯真っ白になる不思議より、どこからこんなん見つけてきたのかそっちが不思議だ。

いつも出所不明の怪しいものを数々持ってきてくれる。ありがたいやらないのやら。

私が寅さんのさくらなら
「もお、お兄ちゃんたら、又真夜中にこんな変なもの持ってきて」と怒るところだ。
しかし一応私は優しい姉なので、「あー頑張って磨いてみるよ」ともらった。

ハクビシンを渡し、冷たいお茶を2杯飲んでタバコを1本吸って弟は帰った。
長居をすることはない、いつも用事が済んだらあっと言う間に帰る。もちろん独身だ。

明朝、やはり誰も弟がきて帰ったことを気付いていなかった。

コメント
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