さよなら学校

先月末に卒業式と卒業ライブが終わり、今週は力仕事は真剣で早いＴ橋先生を尻目に
ずっと手をつけられないでいた卒業文集をつくる。

10月卒業していったナナちゃんが昨日と今日手伝いにきてくれ、さくさく進んで
無事にみんなに送り終わった。

明日は荷物の撤収なんで、ナナちゃんが帰った後、ＰＣの電源を外す前にＰＣから
みんなに最後のさよならのメールを送る。

こんな寂しくなるなんて思わなかった。打ちながら涙がぽたぽた落ちる。



送った後、グスグス言いながらＰＣを終了する・・・・・・・電源がいつまでたっても切れん！？

そして急に生ぬるい風が？！
ひぃいいいーー！
エアコンのスイッチ触ってないのにエアコンがついたしーーーー！！！！

鳥肌がザーーーッと立って霊除けの呪文を唱えながらバタバタと学校を走り出た。
もちろん駐輪場では上は見なかった。

はぁ・・・おかげでセンチな気分は吹き飛んだ。

誰かいる

学校が入ってるビルの横の細長い路地に駐輪場がある。

仕事が終わりドアの鍵を閉めて階段降りて、薄暗いそこで自転車を取り出す時
ちょうど学校の教室の窓が2階に見え、カーテンもブラインドもしてない
すりガラスから

いつも誰かが私の帰りを見ている。気がする。

うちの学校は何かいる、と言う話はみんな知ってる。
Ｎ瀬さんからもらったＣＤをかけてるとキチガイ扱いするケイゴでさえ言う。

事務室に後からつけたような小さい換気扇がついていて、それにぶら下がったヒモは
絶対ひいてはいけないと前の事務員さんから言われた。

ずっとつけていると、そのうち顔が浮き出てくるらしい。

それから
一昨年卒業した愛ちゃんの霊感があるというお母さんは、トイレで2人？も見つけている。

そんなこと聞いてしばらくは一人でいるのが恐くてたまらなかったけどもう慣れた。

ところで、せっかく慣れたのにこの学校は今月で閉めることになった。
定年までいようと思ってたのに・・・・・また就活・・・・。

ハァーとため息と同時に何か少しウキウキ、懐かしい就活と言う響き。
・・・・・本当はつい最近まで息子が就活してたから懐かしくもないけど。

漢字の読めないラーメン好きな息子は福岡本社の某ラーメン店に新卒で受けて落ち
一般でまた挑戦し2度目で決まった。

娘は今年の春から、小さい頃の夢を実現するために某看護大に進学が決まった。
なんだか一安心。

したいとこだけど、まだまだ娘が卒業するまではがんばらんといけん。

舞台女優かい！

8月の終わりにヘアメイクの学校に進んだ卒業生のキングがきた。

夏休みの課題「20・30・40代の女性にメイクをしてあげる」で
40代の女性がどうしても見つからないからと私に頼みにきた。

よかですよ、可愛い卒業生の頼みなら好きなだけ塗らせてあげましょう。

キングはバラバラバラとメイク道具を広げ手際良く進めるが顔の触れる手が
自信なさげで恐る恐るだ。

ろ「ビフォーは撮っとかんでいいと？」

キ「いいです、アフターだけで。素顔が恥ずかしい人もいるかもしれないから」

ろ「ふ～ん・・私はかまわんけどね」いつもスッピン

試験帰りに寄ったケイゴはメイク道具を勝手に使い、エビゾウにどつきメイクを
する。エビゾウの右目のふちは本当にどつかれたみたいに青あざができた。
けっこううまい・・・。

ろ「でもさー目が腫れてないけんね、やっぱ殴られた顔にならんね～」

ケ「そうすっすよね！うららららあああ！エビゾウ殴らせろ！」
　
ケイゴふざけてるとわかってるけど口調がまじコワイ。

と周りにも関わらずキングは黙々と私の顔のしみを消し、まぶたの弛みを消し
つるっつるっの顔に仕上げ、自然な感じにしてと言う私のリクエストを
聞いていなかったのか、青と緑のアイシャドウを幅広く塗り、唇の色とあまり
変わらない口紅で唇を塗り終わった。

さあ、今からリオのカーニバルに参加するよ！みんなおいで！
って感じですかな。

問題

Ｔ橋先生の破滅的なとこのある性格の言動で、生徒達は時々落ち込み
時々怯え、時々あきれる。

これでいいのか先生と言う職業なのに？と私も時々悩む。
いや、悩むのは生徒達で私は相談を受けるだけなんだけど。

一応ミュージシャンだからこんなのも有りなのかな？
でも生徒から高いお金頂いてるんだけど・・・・そんなのお構いなしの先生だ。

私は相談受けながら、
「でもね、お父さんはあんた達のこと思って言ってるのよ」とお母さんの立場で
応えてあげるべきなのかなと考えたりもするが・・・・・一緒に怒っている。

一緒に怒っても、実際生徒は先生に対して面と向って反発などしない。
そんなことしたらどう言う状態になるかよくわかっているからだ。

変な学校だ。お山の大将が先生だなんて。
認めてる部分もたくさんあるけど、改めてもらいたい部分の方が多い。

私はどうしても母親の立場で見てしまうから、もし娘や息子がこう言う扱われ方を
してるのがわかったら抗議するか辞めさせてしまうかもしれない。

でもきっとこの中にいたら、決してお母さんには言わないだろう娘も、生徒達も。

どこまで良くてどこからがSTOPなのかわからなくなってきた。
なんだか私も麻痺している。私の目も正しいのかもよくわからなくなった。

『ONE PIECE』がコワイ

春休みの宿題は学校に置いてある『ONE PIECE』52巻を読破すること。

『ONE PIECE』ネタに食いつかない少数派はものすごく虐げられている。
最初の頃にこそ、そんなに面白いんなら読んでみようかな・・なんて
考えてたけど、まず1巻読んで次が進まない。

毎日毎日生徒から「ろんてんさん何巻まで読みましたか？」攻撃にだんだん
イライラしてきた。

それでも面白いんならと、春休みに入って一気に11巻まで読んだけど・・・・
もうだめ、全然頭に入ってこない。

夢やら冒険やら友情やら、もう無理なのか私には。

春休み、たまたま出てきてた１人の生徒にそんなことをこぼすと
「『ONE PIECE』を面白くないって言う人初めてです。」と言われた。

面白いか面白くないかはわからないけど、とにかく私には読めんたい。
いいやろ？『ONE PIECE』読めん人がおったって。

ああ、いつも変な誰も知らないようなコミックを貸してくれた青木ちゃんが
懐かしい。卒業しちゃったんだけどね。

でもまだ学校には『ONE PIECE』が読めない子が残っているので、その子達の
為にも気を強く持ち少数派は負けないのだ。

今朝一番の話

ろんてんさん、最近俺ついてないっすよ。
昨夜又からまれたっすよ。

女乗せて一方通行逆走してたら前からエルグランドがきたんで
ハザードつけて寄せて譲ったら、相手がワーワー窓開けろって
どなってきて
「ごめんね俺が悪いからよけてるやろ？」って謝っても(？)どなるから
車出てって喧嘩になりましたよ。（手は出してないようだ）

その後、女に、謝ってやり過ごせばいいことやん、て怒られて
俺それで又カチンときて、全くついてないっすよ。


逆走した先生が一番悪いし。
連れの女は正しい。

卒業式

３月1日はうちの学校の卒業式＆卒業ライブだった。

何が怖いってライブだ。卒業生と別れる寂しさもぶっとぶＭＣだ。

この前まで普通の主婦だったのにＭＣなんてできるわけないやろ。
緊張してる子供達を盛り上げてやらなくてはいけない立場なのに
一番緊張して、緊張通り越して憂鬱になって、去年の６月の最初のライブでは
Ｔ橋先生から「葬式みたいなＭＣでしたね」と言われた。

怖い怖い、保護者とお客様の目がコワイ。
何で一番不得意なことをしなくてはいけないんだろう？・・って、この仕事
間違ったかもしれんて本気で悩んだ。

卒業ライブで４回目のＭＣ（うちの学校、年に４回もライブがある）だったけど
相変わらずいつまでもフレッシュ、初心忘れようにも忘れられないＭＣだ。

ＭＣなんてしたこともなかった私を保護者の方々は暖かく見守ってくれるけど
いいかげんいつになったら慣れるんだろうって思ってるに違いない。
私の方が聞きたい。

でも生徒は長くて３年間しかいないから大丈夫。
私はずっとてんぱって訛るＭＣを続けていくだろう。

長い夏休み

うちの学校は長い。8月と9月の2ヶ月もある。

生徒も帰省してたりしてめったに出てこないので、もう暇。又暇。
私も毎日出てくる必要がないので、火、木はお休みして不動産屋で働く。

それ以外の日はＴ橋先生と二人っきりで、これから私が生きていく上で、本当に
役に立たないであろう情報ばかりを仕入れさせられている。

「ろんてんさん、昨日路上で兄ちゃんが何か売ってて、これもんに脅されて
　いたっすよ。馬鹿っすね。一言、そこを仕切ってる組に挨拶しときゃ
　何も言われんのに。」

「それって馬鹿なことなんですか？常識なんですか？みんな知ってるんですか？」

「・・・ハイ」

「どこに挨拶行くんですか？」

「そこを仕切ってるとこすよ」

「普通の人はそこをどこが仕切ってるなんて知らないですよね？
　その事務所はどこか、どこにあるのか、どうして知るんですか？」

「・・・・警察に聞いたら教えてくれますよ・・」

路上で商売はじめる時は気をつけなければ。しかしみんな本当に知ってるのかな？


こういう暇な時こそ、うんこたれのビビでもいたら遊んであげるのに。
Ｔ橋先生はビビを実家に里子に出してしまった。せっかく出席簿にビビの欄も
追加してあげたのに・・・。

でもＴ橋先生と暮らしているより何百倍もビビは幸せだろう。

日中は一人で狭いサークルの中に入れられてずっと鳴いていたと言う。
暑さに弱い犬なのに、俺んちの子になったからには逞しく厳しく育てます。って。

ビビは多分ストレスで、自分のうんち食べるのがなおらんかったのかもしれん。

それにしても先生、自分の子供も里子に出してしまう予感がする。まだ独身だけど。

ニラの行方

生徒A　「うちですね、畑からニラば採ってきてってばあちゃんに言われて、あ、
　　　　　あの、あれ、水仙ば採っていったことがあるとですよ。」

っていつも何の脈絡なく生徒A子さんは話をはじめる。

生徒Y　「・・エー・・？水仙とニラは葉のかたちが違わん？
　　　 　ニラはニンニクの葉っぱですよね？」

　　　 「違うよ」

生徒Y　「あ、ニンニクはねぎでしたっけ？」
　　
　　　　「違うて」

生徒H　「・・・ねぎは玉ねぎの伸びたやつやろーもん」

　　　　「違うし！」

楽しかーーー！この学校！♪

家の娘にも帰って聞いてみよう。　

可愛いビビ、うんこたれ

Ｔ橋先生は時々、自分ちの犬を連れてくる。
まだ2ヶ月くらいの黒いの。

可愛いっちゃ可愛いし、犬好きな子も多くて学校を癒してくれてる感じも
しないではないが・・・・・・この犬、うんちをよく失敗する。

最近「まて」を覚えたらしく、「ろんてんさん見てて下さいよ。待て！」と
嬉しそうに披露してくれるけど・・・くその方をどうにかしてもらいたい。

昨日は学科の先生が急病でお休みで、出てきた子にレポート出してあげようと
教室の奥の戸棚に近づいた瞬間・・・・グチョォォォオと・・・クソ踏んだ。

体は小さいくせになぜにうんちはでかい。
大量についた右足の底、下ろすこともできずしばし呆然とする。

生徒から（1人しかきてない）右足のヒールだけ借りひょんがひょんがトイレまで
歩いて行き洗った。臭かった。今日はクロックス履いてきて良かった。

踏んだ私が悪いのか？
躾してないＴ橋先生が悪いのか？

Ｔ橋先生の大笑いは苦笑いに変わり、２人で苦笑いの中に緊張が走る。

『踏んでカーペットについた大量うんち、どちらが片付けるのか』・・・

私は絶対嫌ですオーラを出しながらトイレから戻ると、テッシュで適当に拭いた
先生はもうＰＣの前で変なサイト見てる。

踏んだのは私なのに
「これで終わりなんですか？！」　いつになく厳しく訊ねる。

先生は仕方なくスポンジと洗剤でゴシゴシして元通りにした。
めでたしめでたし。

それから私で良かった。
毎日、結婚式か入学式の父兄みたいに綺麗におしゃれしてくる学科のＡ先生が
踏んでたら、学校辞めてたかもしれない。