本日は、ジビエ料理を食べたいと言うお客様の為に作りました一皿をご紹介します。
山鳩のロースト その内臓のソースです。
フランス産の野生の山鳩は、飼育の物に比べ脂分は少ないですが、その分血の香りも濃く、身質も繊細でとても軟らかくて、本当に美味しい食材です。
今回は一羽丸ごとの山鳩を、たっぷりのバターと共に低温のオーブンを使い、綺麗なロゼ(バラ色)にローストしています。
せっかくの要望でしたので、たっぷりの量を味わっていただきました。
付け合せにはフランス産のマロンのピューレを添えて、風味の強いソースとバランスをとっています。
内臓を付けたまま数日間熟成させた山鳩も、ジビエらしい野生的な風味がでてきて美味しいと思いますが、この一皿はフランスから届いたばかりの新鮮な状態の物を使い、その内臓をソースに加えて仕上げています。
新鮮な内臓だからこそ出来る仕立て方です。
内臓入りのソースと聞くといかにも癖の有る物のようですが、その独特の味わいがソースに加わると、普通のソースとは一味違った素晴らしい味わいに変わります。
このソースのベースは、山鳩の骨を炒めた後にコニャックと赤ワインを入れて煮詰めた所に、ジビエのダシを加えて煮出します。更に豚の血、生クリーム、バター、黒コショウを加えています。
ここまででも十分に濃厚で美味しいですが、そこに軽くソテーして微塵切りにした山鳩の内臓を入れますので、とても手間のかかる贅沢なソースになります。
作り方としてはとても古典的な物ですが、山鳩の骨からダシを取りその内臓で仕上げるこのソースを、今の自分には一番自然な形に感じます。
メインの食材を同じ食材の風味のソースで食べる。
このようなクラシックでしっかりとしたソースを作ると、あらためてフランス料理の素晴らしさと奥の深さに嬉しくなります。
最近になって気づき始めましたが、「新しい物や自分らしい創作は、しっかりとした基礎や基本の上に成り立つ」と言う事です。
自分らしさとは急に気づく物ではなく、毎日の小さな積み重ねによって見えてくる物ではないのでしょうか。