東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

サンマのパン粉焼き 南仏風

2006年09月08日 | 賄い料理

本日は、ひらめきから生まれた賄い料理をご紹介します。

サンマのパン粉焼き 南仏風です。

何故にひらめいたかと言いますと、毎年夏も終わりに近づき秋の気配がしますと、美味しいサンマが安く売られ始めます。

賄いでもよく塩焼きにして、炊き立てのご飯と味噌汁と共に味わっています。贅沢な食事では有りませんが、日本人に生まれて良かったと思える位に大好きです。

しかし、いくら美味しくて個人的に好きでも、毎回同じ食べ方ですと少し飽きてきます。

その日もいつもどうりに、塩焼きにする予定でしたが、とっさにサンマでフランス料理を作れない物かと考えてしまい、アドリブで作ってみました。

フランス修行中に南仏で、イワシを使ったこの様な料理をビストロで食べた事が有ったので、同じ青魚のサンマでも出来るのではと思った事が、この一皿の始まりです。

実際に食べてみると、思った以上にフランス料理になっていて嬉しかったです。

下に敷いてある付け合わせの野菜も、ざっくりと作ったラタトゥイユをイメージしていますし、一緒に加えたジャガ芋が、サンマの脂やトマトの水分などを吸ってとても美味しくなっています。そして、あえて内臓をつけて焼いたところ、その苦味が賄いらしいワイルドな味になっています。

実際のフランスには、この様なサンマの料理は無いと思いますが、きっと南仏に住むフランス人が日本のサンマを調理したら、こんな感じになるのではないでしょうか?

ここは日本ですので、たとえフランスには無くても、旬の美味しい食材は、遠慮しないで使っていきたいと思っています。