ふたばようちえん日記 2 (園長の雑記帳)

このブログでは、幼稚園で子どもたちとかかわる中で、園長が日頃考えていることや大切にしていることを不定期に綴っていきます。

経験の幅

2014-09-08 15:05:28 | Weblog
 子どもたちが子どもの時期に経験できることの幅は、時代とともに狭くなっています。

 私が幼稚園の頃は、幼稚園へは子どもだけで歩いて通いましたし、帰りもそのまま友達のうちや公園や空き地に遊びに行き、日が暮れるころに自分で家に帰るという生活でした。ですから、一日の間に経験することは、今の子どもたちと比べることができないくらい多様なものでした。子どもだけで山や川に行くこともしょっちゅうでした。もちろん、危険も隣り合わせでしたが、子どもたちもそれなりにたくましく育っていました。

 現代の子どもたちが育つ環境はとても安全で快適ですが、経験できる内容がとても少なくなってしまいました。

 ふたば幼稚園は、自然がいっぱいの環境で、子どもたちが様々な活動に自由に取り組むことができるように計画し、保育を進めています。さまざまな実のなる木を育てているのも、菜園でいろいろな野菜を子どもたちと作るのも、泥んこ遊びをしたり絵具でフィンガーペイントをするのも、絵本が何千冊も置いてあるのも、あちこちに散歩に行くのも、みんな子どもたちの経験の幅を広げたいという思いからです。

 では、経験の幅が広がるとどうなるのでしょうか。

 子どもたちは、何か一つ経験するたびに、こころが揺り動かされます。そして、嬉しくなったり、満足感を感じたり、知らなかったことを知ることができたりします。またそのことで、こころが満たされていきます。そしてさらに、友達とこころが通じ合うことも経験します。

 それを繰り返すことで、子どもたちのこころが育っていきます。こころが揺り動かされるたびに、子どもたちのこころが少しずつ、少しずつ、大きく豊かになっていきます。

 安全で快適なだけで何の刺激もないような環境では、子どもたちのこころは育ちません。残念ながら、そういう環境で育つ子どもたちがとても多いのも現実です。現在の経済状況では、子どもをとりあえず安全で快適な環境に長時間置いておき、その間に保護者が就労せざるを得ないことも理解できます。

 しかし、教育の役割が子どもたちのこころを揺さぶることであることは、いつの時代でも変わりません。こんな時代だからこそ、子どもたちを、こころが揺り動かされるような環境で育ててあげませんか?

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