ふたばようちえん日記 2 (園長の雑記帳)

このブログでは、幼稚園で子どもたちとかかわる中で、園長が日頃考えていることや大切にしていることを不定期に綴っていきます。

お休み前に絵本を読むことの意味

2021-06-10 08:44:59 | Weblog
 寝る前に絵本を読む。子育てをしていると、どこに行ってもそうすることが勧められると思います。今日はそのことの意味について考えてみます。

 絵本を読んでもらうというのは、子どもにとっては、その内容を楽しむというだけではありません。それ以上に、読み手であるママやパパといっしょに過ごし、物語の世界を共有し、同じ気持ちを味わうという心地よい時間です。また、大好きなママやパパを独占できる限られた時間でもあります。

 大人は、内容を楽しむことにばかり目が行くことが多いようですが、子どもにとっては後者の方が大切です。だから、同じ絵本を「読んで」と言って持ってきたりするのです。

 子どもは、このような親と同じ気持ちを味わう時間を通して、親とのこころのつながりを確認しています。またそれを繰り返し経験し、そのような時間が求めればいつでも手に入れられることを理解するようになると、親と離れていても、親の姿が見えなくても、こころがつながっているということを感じるようになります。この「こころがつながっている」という感覚を、基本的信頼感と言います。

 絵本を読んで同じ気持ちを感じる時間を夜寝る前に設けると、子どもはこころが満たされて安心して眠ることになります。入眠がスムーズになるだけでなく、深い睡眠に入ることができます。

 人間の脳は、睡眠中に情報の整理をします。そのような時に夢を見ますが、入眠時にこころが満たされているかどうかで、情報の整理に使うエネルギーや時間が影響され、またどんな夢を見るかも左右されます。起きているときに未消化のこころの動きがあったり、興奮したまま眠りにつくと、整理に時間がかかったり夢見が悪くなり、当然、睡眠も浅くなります。

 寝る前に絵本を読んでこころも満たされて床に就くと、深い睡眠をとることができ、寝起きもよくなり、昼間の活動レベルも上がります。頭も身体も使い、食欲も出て、夜もよく眠るようになります。そして、よく育つという状態になっていきます。

 今、多くの子どもたちが、夜寝る直前までスマホやテレビの画面を見て、それを止めるために叱られて床に就きます。視覚や聴覚の刺激からの興奮が冷めていないだけでなく、こころも満たされていないため、寝つきも悪くなり眠りは浅くなります。睡眠によって心身の疲れを十分にとることもできないため、朝も元気に自分から起きてくることができなくなってしまいます。

 幼稚園では、8時には就寝できるようにお勧めしておりますが、絵本の習慣ができると、自然に早寝も習慣になると思います。早く寝かせることが大変と感じていらっしゃるご家庭もあると思います。絵本を読んで満たされて眠るということを生活の中心に置くだけで、生活リズムが子どもの成長に合った形に整ってくると思います。ぜひお子さまと楽しんでみてください。
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