ひまわり
cast >> Sophia Loren, Marcello Mastroianni, Lyudmila Savelyeva ...
producer >>Vittorio De Sica, Carlo Ponti
director >>Vittorio De Sica《イタリア作品》
music >> Henry Mancini
soundtrack >>
原題は "I GIRASOLI"。
オープニング ーーー あまりにも有名なヘンリー・マンシーニ( "The Glenn Miller Story" "CHRADE" "THE RETURN OF THE PINK PANTHER" )の哀愁漂う調べにのせて、ウクライナの大地に燦々と咲き誇る広大な “ひまわり畑”。戦争で引き裂かれた夫を追い求める妻を、太陽を追い続ける “ひまわり” に重ね合わせ "過酷な運命" を描く、美しくも悲しい物語 ーーー。巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督( "La Ciociara(ふたりの女)" "Ieri, Oggi, Domani(昨日・今日・明日)" )が、構想から10年の歳月をかけて完成させた、時代を超越した不朽の名作。
この見渡すかぎりの “ひまわり” 一本一本の下には戦争で犠牲になった人たちが眠っている・・・。
気性の激しいナポリの女性ジョバンナ(ソフィア・ローレン)は、ロシア戦線に送られて以来、生死すらわからないまま行方不明になってしまった愛する夫、アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)を探すことを決心する(↑ の映像は、夫の生死を確認できないまま遠くロシアに探しに行くことを決め、夫の母に「きっと私が連れて帰ります」と告げるシーン)。なんの手がかりもない広大なロシアで、彼女は夫を捜し出すことができるのか? そして夫は・・・・・?
当時カメラを持ち込むことは厳禁だったソビエト連邦に、製作者のカルロ・ポンティ(←「重婚」で裁判沙汰になるが、後にソフィア・ローレンと結婚)らは作品の意図を根気強く説明・交渉し、はじめてのロケが実現。本作でジョバンナの子供として登場するのは、ポンティとローレンの実子。ローレンと故マストロヤンニの "切ない" 演技は素晴らしく、この二人は『昨日・今 日・明日』『ああ結婚』『プレタポルテ』など多くの作品で共演、デ・シーカ監督とも組んでいる。
ちなみにその美貌を "イタリアの太陽" と称えられた 1934年生まれのソフィア・ローレンは、現在も信じられないほどキレイ!(驚)(← スマステ『20世紀を代表する美女ベスト20』 の20位にランク・インしていました) マストロヤンニは、第二次世界大戦でイタリア軍兵士として参戦。連合軍に降伏した後、ドイツ軍の捕虜収容所に送られ脱走した経験を持っているので、撮影とはいえロシアのどこまでも続く雪原に立って、大きくため息をもらしたらしい。こちらも切ないロシア女性を演じたリュ ドミラ・サベリーエワ( "War And Peace(戦争と平和)" "BEG(帰郷)" )は、バレエをやっていたので、可憐で清楚な顔立ちとともに、立ち姿・歩き姿がひじょうに美しい。
古典作品としてのみならず、壮大なスケールで描かれたこの物語が普遍的な輝きを放っているのは、戦争の悲惨さを真摯なまでに映し出し、強く胸を打つからでしょう。劇中、何度もマンシーニの美しいテーマ曲が流れますが、何度観ても何度聴いても、あまりに悲しく切なくて、カラダの奥底から熱いものが込みあげてき ます・・・。
結局「戦争」は、誰のせいでもないのに、誰も幸せにはなれない・・・・・。
"イヤリング" が痛いほどの "女心" を、語らずとも表しています・・・。
ーーー "MY BEST10" の一本です。
>> War - filmography
上手いな文章。読んでいるうちに映像を思い出して、ジーンとして、涙が滲んできます。撮影の苦労話は、初めて知りましたが、ますます、好きの度合いが増しました。
間違っているかもしれませんが、ラストの方で洗濯物を干している彼女を見て、ソフイア・ローレンが立ち退くシーン、ひまわりの映像と共に涙が黙っていても出てきます。
それにしても、漢字で書くと「向日葵」、いろいろなことが思い浮かぶタイトルですが、原題の「I GIRASOLI」ってどんな意味なんですか。
こんなふうに言っていただけると、書いた甲斐があるってモンです・・・ありがとうございます(素直&喜)。
今回は内容を「ちゃんと」覚えているようで「正解」です(笑)。涙を隠すために、とっさに水で顔を濡らすシーンもあって、本当に胸がしめつけられます・・・。
ところで勉強不足で "I" が冠詞なのか数詞なのかよくわかりませんが "GIRASOLI" は“ひまわり”のことです。
オープニングでも、エンディングでも、“ひまわり”の映像には涙がこぼれます・・・・・。