ツォツィ
cast >> Presley Chweneyagae, Terry Pheto, Kenneth Nkosi, Mothusi Magano, Zenzo Ngqobe, ZOLA, Jerry Mofokeng, Ian Roberts ...
writer / director >>Gavin Hood（95min）《イギリス・南アフリカ作品》
music >> Mark Kilian, Paul Hepker
soundtrack >>
《拳銃を持つその手で、小さな命を拾った。》
南アフリカのスラム街で「暴力」と「犯罪」にまみれ無軌道な生活を送っている “ツォツィ（＝ 南アのスラングで「不良」「チンピラ」を意味する）” と呼ばれるギャングの少年が、生まれたばかりの赤ん坊を拾ってしまったことで、初めて “人間的な感情” に目覚めていく姿を、南アの過酷な現状と共に力強く描き出した物語 ーーー。原作はアソル・フガードの『ツォツィ』。脚本・監督は南アの新鋭ギャヴィン・フッド。"現地語" と、南アのゲットー・ミュージック "Kwaito（クワイト）" が作品にリアルな深みを与えている。アカデミー賞【外国語映画賞】受賞。
南アフリカ、ヨハネスブルク旧黒人居住区ソウェトのスラム街 ーーー アパルトヘイトの爪痕が今も残るこの街に、本名も過去も明かさず “ツォツィ”（プレスリー・チュエニヤハエ）と名乗る一人の少年がいた。彼は仲間とつるんで「暴力」や「窃盗」を繰り返し、時には「殺人」さえ躊躇わず、「未来」に目を向けることもなく「怒り」と「憎しみ」だけを胸にその日を生き延びていた。ある日ツォツィは、銃で脅しても追いすがる女性に銃弾を浴びせ奪った車の後部席に、生後数ヶ月の “赤ん坊” を見つけ、愕然とする。車を乗り捨て、置き去りにしようとしたものの、思いとどまって赤ん坊を抱き上げるのだが・・・・・。
ツォツィの仲間で、幼い頃からの手下アープをケネス・ンコースィ、イチバン頭の良いボストンをモツスィ・マッハーノ（ "Hotel Rwanda" ）、もっとも残忍なブッチャーをゼンゾ・ンゴーベ、ツォツィに封印していたはずの記憶を呼び覚まさせた若いシングル・マザーのミリアムをテリー・フェト（← 本作で映画デビュー "Catch A Fire" ）、カージャック組織のリーダーのフェラをＺＯＬＡ（← ミュージシャン・俳優・詩人で、クワイトのカリスマ）、駅で物乞いをする車椅子のモリスをジェリー・モフォケン（← 味わい深いバイプレイヤー）。
実はこの作品、エンディングが “３パターン” 撮られ、それぞれがツォツィの “違った未来” を想像させるもので、どれを正解とすべきかは極めて難しい。原作は読んでいませんが、いずれにせよ観た人それぞれが “どう感じ” “どう考えるか” で大きな “違い” が生じるでしょう。そもそも「台詞（＝説明）」が必要最小限に抑えられているので、余計に考え方に “幅” が出ます。ツォツィの心に人間らしい温かさが灯った途端、表情が “別人” になるのは秀逸です。
余談ですが、プレミアム・エディション（２枚組）の特典ディスクに収められた短編映画 "The Storekeeper"（← モリス役のＪ・モフォケンが出演）、コレが本編以上の強烈な印象を残す秀作！（驚） 台詞はなく、役者たちの表情とカットだけで “残酷な現実” を見せつけられます ーーー（痛＆切ない）。
>> Africa - filmography
