仙台から福島の相馬へ向かう。ふと気になったのが、人通りの少ないこと。
仙台は人が多いから、その差が目に付くのは当然だが、それだけではない。
実際に、福島の人口は減っているそうだが、(福島県の人口調査より)訪れる人も少ないような気がして残念だ。
人の少なさとは反対に、震災がれきが多く積み上げられたままなのも。
松川浦は、福島の北東で宮城との県境にも近い。
石巻の万石浦も、普段は湖のように静かだが、松川浦も同じく、穏やかな海が柔らかに波を輝かせる、美しい入り江である。
そんな静かな海も、あの日は陸に乗りあがり、重くのしかかって建物を壊しながら進み、帰っていった。
今、その痕が鮮明に残っている。
海辺には、一階が空洞になっている工場や店が残っている。
転がった建造物と、下が破れた紙のようになった工場に驚きつつも、その向こうに見える松川浦大橋を眺めた。
松川浦大橋は、それは素晴らしい橋だ。
渡ると、海の中を進むみたいに爽快な気分を味わえるのだが、今は車での通行を止めている。
それでも、港には船が戻り、 海辺の旅館も修復され、再開した店もある。
地元の人々は、再びふるさとを取り戻そうと、精一杯に努力している。
訪れる人を、もてなす努力もしている。
この気持ちを、温かな思いを、汲み取れる者でありたい。
人はみな境遇が違い、同じではないが、温かな思いを分け合うことはできるのだから。