睦月九日
南部坂から仙台坂へ。
南麻布から麻布十番への道で、東北の先人の足跡を巡る。
麻布は起伏に富む。
現在は有栖川宮記念公園となっているが、江戸時代には盛岡南部藩下屋敷だった。
公園内は、高低を活かした、よい庭園がある。
小川の流れる様は、里山のような風景であった。
どうも良い香りがすると思ったら、なんと早くも紅梅が咲いていた。
公園の入り口は、南部坂の始まり。
ここから坂道を上っていく。
途中で振り返ると、すごい勾配だ。
しばし、道なりに行くと、やがて交差点で「仙台坂上」の文字を見る。
ここから坂を下っていく。
その坂が仙台坂で、信号機の脇に道標があった。
なかなか長い坂道である。
坂の下にも道標。
坂の南側には、韓国大使館と住宅が立ち並ぶ。
その辺りが、かつての仙台藩下屋敷で、脇を通る坂道が今でも仙台坂と呼ばれる。
参考:港区「港区地名の歴史」/有栖川記念公園/道標「南部坂」「仙台坂」/織田木瓜紋会「第4回江戸古地図petit散歩ちょっと織田家レポート」
坂を下ったら、麻布十番の商店街へ出てゆるゆる歩いた。
大江戸線の麻布十番駅近くに、稲荷神社があった。
提灯の灯りや、七福神の乗った宝船の石像が目を引く。
今ではビルが立ち並ぶ麻布だが、所々に、昔の名残や和風の情緒がある。
東京にある東北ゆかりの地を訪ねて、その情緒を楽しみ、早い春の香りに驚いた日であった。