湧水めぐり・まち歩き 藤川格司

水を調べている日々を書き込む予定です。最近は熱海のまち歩きを楽しんでいます。

富士山の地下水(1)

2019年05月23日 | 富士山の地下水

富士山の地下水(1)

富士山の地下水についてわかりやすく説明します。「富士山の地下水」として、シリーズものとして試みたいと思います。
富士山を眺めていると、いつも気になっていた植物から始めます。



富士山を登る植物
左は葛飾北斎の赤富士です。右は2010年ごろの常葉大学富士キャンパスの屋上から撮った富士山です。赤富士だと1000~1500mに植物が描かれています。現在では2400~2500mぐらいまでカラマツが生えています。植物は登ったのでしょうか?
葛飾北斎は1760~1849年の人です。描かれてから200年ぐらいで植物が富士山を登ったのでしょうか?
やはり、絵画ですからデザイン重視なのでしょう。植物がそんなに早く登ることはできないと思います。
また、宝永噴火の1707年以降の人です。沼津市原から富士市田子の浦周辺からの富士山のスケッチだと思いますので宝永火口があるはずです。しかし、描かれていません。宝永火口を避けて赤富士を書いたのかなとも思います。
富士山を眺めていると、こんなことも考えていました。

それでは水の姿を探しに富士山に登ってみました。

富士山の水としては、山頂の雪が代表でしょう。冬の季節は無理なので、夏に富士山に登って、水探しをしてみました。ついでに、植物も見てきました。



富士山頂、剣が峰と火口
火口には夏でも雪がありました。雪は金明水や銀明水を涵養しても、火口内だけでしょう。




火口の底には、雪解け水がありそうです。富士山の年平均気温は―6.4℃ぐらいですので、火口のある標高3600m付近では、地下に永久凍土があり、水は浸透しないみたいです。



前日に降った雨が斜面から層状にしみだしています。頂上付近でも降った雨は浸透するようですが、すぐに流出して蒸発してなくなっていました。地下水の涵養には貢献していないようです。




須走口登山道、本八合目付近(3400m)
長い登山者の列が見えますが、水はありません。水のペットボトル(500㎖)は500円ぐらいで買えますが・・・。
ここから急傾斜になって頂上まで続き、登山の時は一番きついところです。



標高3300mぐらい
少し残雪が見えます。植物は見当たりません。



七合目太陽館(2960m)付近
オンタデ(たぶん)がぼつぼつと生えていました。



須走口登山道の長田山荘付近のしみだし
前日に降った雨が斜面からしみだしている。それを集めて何に使うのかな? 2450mでは貴重な水だと思います。




標高2000mの地点から頂上
森林限界は標高2400mぐらいです。それ以上では残雪が少し見えるくらいで、水はありません。須走登山口はこのような状況です。



大沢崩れ、お助け小屋周辺2317m
富士山は成層火山であることがわかります。しかし、水はない。



富士宮口登山道2500m付近新六合目
溶岩流の下部にクリンカーと言って、ガサガサの部分があります。溶岩流が地表を流れる時に冷やされてガサガサになった部分です。ここは水を透しそうです。溶岩の本体はゆっくり冷えてスキがなさそうです。



宝永火口の第一火口です。宝永山と赤岩も見えます。火口のふちで2460m、宝永山は2693mの標高です。水はありません。



赤岩
古富士火山の噴出物と言われています。堆積したみたいに見えます。



標高1440m付近です。ここは富士山の噴出物が観察できるいい露頭だったのですが、崖錐が発達して見えなくなりました。崖錐を掘って調べていると、自然を破壊していると疑われてしまいます。
過去に三島溶岩が観察されたの記録がありますが、見たことはありません。この辺から三島の楽寿園や柿田川まで三島溶岩が流れました。



駒門風穴(標高357mぐらい)
三島溶岩流を追いかけて、駒門風穴まで来ました。水はぽたぽたと落ちてきますが、富士山の地下水として柿田川のようには流れていません。



黄瀬川鮎壺の滝(標高39mぐらい)
三島溶岩流の西の端です。三島溶岩流の固い部分は水を透しにくく、上を黄瀬川が流れています。



三島駅北口の三島溶岩の露頭(標高39mぐらい)
三島駅のすぐ近くに露頭があり観察できます。また、三島風穴もあり、三島溶岩流の上に三島駅が乗っている感じです。



三島楽寿園の小浜池(池の中央付近25.7mぐらい)
左は冬、右は夏の小浜池(楽寿園HPより)
小浜池は三島溶岩の中にあり、富士山の地下水や箱根、愛鷹山の地下水により涵養されています。満水となった小浜池は最近では見られません。



柿田川湧水(標高6mぐらい)
一秒間に約20トンの湧水が三島溶岩流の末端から流出しています。日量にすると100万トンぐらいです。富士山の水を追いかけて、どこにもなかったのに、ここではドバッと湧いていました。富士山の湧水を三島溶岩流を追いかけてみた場合です。途中の御殿場、小山には二子水神,中清水などの富士山の湧水があります。



写真の位置を富士山の山頂から柿田川まで標高の順に並べてみました。
富士山の水の姿は山麓まで下りないと見られないことがわかります。どのような構造になっているのでしょうか?


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