湧水めぐり・まち歩き 藤川格司

水を調べている日々を書き込む予定です。最近は熱海のまち歩きを楽しんでいます。

熱海のまち歩き(16) 熱海市内のジオサイトめぐり(錦ヶ浦、走り湯)

2019年11月10日 | 熱海のまち歩き
熱海のまち歩き(16) 熱海市内のジオサイトめぐり(錦ヶ浦、走り湯)

熱海市のまち歩きガイド養成講座の第7回は熱海市内のジオサイトめぐりです。



(写真はホテル ニューアカオのHPより)
錦ヶ浦のジオサイトはホテルニューアカオの屋上と2階から見せてもらいました(特別に許可をもらいました)。
魚見崎周辺の海岸線に分布するのは魚見崎火山噴出物と言われています(及川 他2011)。
約60万年前~50万年前の水底での火山活動によるものらしいです。

水とマグマが触れ合って生じた爆発的噴火(水蒸気マグマ噴火)によってできた地層です。このことからこの部分の火山は、浅い海底から始まったことがわかります。また、噴火物が空気に触れて赤く酸化した部分も混ざっているため、陸地になってからの噴火跡も確認できます。

熱海周辺の地質は、大きくは宇佐美―多賀火山群噴出物と箱根火山群噴出物に覆われています。宇佐美―多賀火山群噴出物の中では、魚見崎火山噴出物の上に熱海火山噴出物が覆っています。

伊豆半島は100万年前に陸化したようです。しかし、海岸部には水冷構造がみとめられることがあります。特に、魚見崎火山噴出物は、水底での火山活動によると判断されています。このことは、最近の数十万年間の伊豆半島北部は隆起傾向であったことを示しているらしい。



ホテル ニューアカオの屋上からの熱海市街地を見ています。 手前は後楽園ホテルと魚釣り施設のある防波堤です。地質図と合わせて見てください。



(熱海地域の地質2011 地質調査総合センター)
赤い点がホテルニューアカオです。ホテルの足元が魚見崎火山噴出物です。ここから見える熱海市の大部分は熱海火山噴出物の斜面です。建物がいっぱい立っている平地は谷底低地堆積物です。そして右側の海岸に建物のない斜面(伊豆山方面)は湯河原火山噴出物(箱根火山群噴出物)でできています。
走り湯の位置も示してあります。



2階のフロア
海が目の前です。ここから外に出してもらいました。特別の許可を得ています。





ジオガイドの説明を聞いている。研修中です。



溶岩はバラバラで、海の中で噴火したようです。これが水底での火山活動の産物です。



近くで観察できないので正確ではないですが、海水面の近くは水底での火山噴出物で、その上部は陸上で堆積したような凝灰角礫岩や火砕角礫岩みたいに見えます。また、黒い部分はもこもこして枕状溶岩に似た偽枕状溶岩構造のようなものが見えます。やはり、浅い海で噴火して徐々に陸化していったのでしょうか。



網代方向



烏帽子岩には、放射状節理の発達した火山岩塊からなる火砕角礫岩層それらに貫入する岩脈がみられるそうです。ここからでは見えませんが・・・。




遠く初島が見えます。初島も火山でできています。初島を構成する火山は12万年前より古い火山岩類だそうです。噴火後、波に洗われて平らになった火山が隆起した島です。


走り湯


次は、走り湯の見学です。地質図の黒い丸の地点です。熱海火山噴出物と湯河原火山噴出物の境目に位置しています。



走り湯の説明を受けている。



走り湯の内部、下の方にカメラを構えると曇らないで取れました。ガイドさんの指導のたまものです。





お湯が流出しているところではカメラは曇りました。
走り湯は湯量の豊富な自然湧出泉であったが、戦後に付近での掘削による源泉開発が進展して湯量が減少した。1963年頃から枯渇状態になり、1964年12月に湧出が停止した。走り湯より約100m南の地点で1965年頃に掘削が行われ、第二入り湯が誕生した。一方、枯渇した走り湯は1970年頃に掘削が行われ、現在の走り湯として利用されている。
自然湧出時代の走り湯の泉質は酸性であったが、現在はカルシウムー塩化物泉が多く、弱アルカリ性だそうです。(熱海温泉誌2017)

今日、実習した所は、まち歩きガイドではあまり案内しません。熱海の地質と温泉についての基礎知識を勉強しました。

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