寛仁親王殿下も女性天皇に反対の意を明確に示されました。以下 2006/2/1付け産経新聞より。
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皇位継承 旧宮家復帰、強く支持 寛仁さま、女帝の問題点ご指摘 [2006年02月01日 東京朝刊]
女性天皇と女系による皇位継承を容認した有識者会議の報告書に基づき、政府が皇室典範改正案の今国会提出を目指している問題で、寛仁(ともひと)親王殿 下は産経新聞社の単独インタビューに応じ、女系容認に改めて反対するとともに、女系の前段階である女性天皇即位の問題点を指摘された。その上で、男系男子 維持のため旧宮家を皇籍復帰させる案について「声を大にして言っておきたい」と強く支持された。
寛仁さまは、父方をたどっても天皇につながらない女系「天皇」の容認について「(国民が)正統性を認めるだろうか」とご批判。女系「天 皇」を生む女性天皇について「女性天皇を認めれば女系に移る」とした上で、過去の女性天皇がいずれも未亡人か生涯独身だったことなどに触れ、世論調査はこ うした伝統を十分説明した上で行うべきだとの見解を示された。
皇統維持策として、GHQ(連合国軍総司令部)の圧力で皇籍を離脱した旧宮家を復帰させることは「決して不自然なことではない」「そういう方策があるということを声を大にして言っておきたい」と強調。
有識者会議が旧宮家の皇籍復帰を「国民の理解と支持を得ることは難しい」として排除したことに対しては、愛子さまが皇位継承者となり、歴史上前例のない「女性天皇の配偶者」が陛下と呼ばれることのほうが違和感があると反論された。
さらに「あらゆる手を尽くした上でも次の世代が女性ばかりだったという状況になれば、そのときに女帝・女系の議論に入ればいい」と述べ、皇太子さまの次の代の天皇について、愛子さま以外の選択肢をまず模索すべきだと示唆された。
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【用語解説】旧宮家
占領下の昭和22年、皇室弱体化を狙うGHQの圧力で昭和天皇の弟である秩父宮、高松宮、三笠宮の3宮家を除く11宮家が皇籍離脱。現在 では6つの旧宮家が断絶または後継者不在となり、旧賀陽宮家、旧久邇宮家、旧朝香宮家、旧東久邇宮家、旧竹田宮家が男系男子で存続している。20代から 40代の男性は計14人。愛子さまと年齢が近い男児は、旧賀陽宮家に小学生が2人、旧東久邇宮家に2歳の子供がいる。
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インタビューの全文は1日発売の「正論」3月号に掲載されます。
皇位継承問題 寛仁さまご発言(要旨) 「女性天皇」は男系断絶の危機 [2006年02月01日 東京朝刊]
寛仁(ともひと)親王殿下は、昨年秋に自身が会長を務める福祉団体の会報にエッセーを寄稿して以降「火中のクリを拾う覚悟」で皇位継承問 題について発言を続けてこられているが、今回のインタビューは女系の前段階である愛子さま即位への危惧(きぐ)を強くにじませる内容となった。
寛仁さまが指摘される通り、過去の十代八人の女性天皇は全員未亡人か独身で、女系の皇族を出産することはなかった。幼い男子皇族の成長を待つなど“中継ぎ”で即位しており、男系男子のお世継ぎが存在しない現在の状況とはまったく違う。
保守系の論者の中にも「愛子さまは過去の女性天皇と同じく男系女子なので即位はやむを得ない」「女性天皇と女系を分けて論ずべきだ」との 声があるが、女系「天皇」は女性天皇から生まれるのであり、過去の女性天皇と違い、愛子さまが即位された場合、崩御されるときに男系の皇統が断絶する危機 が待ち受けている。女性天皇と女系は表裏一体の関係だ。
寛仁さまが「女性天皇を認めると女系に移る」と問題の核心を述べた上で、愛子さまの「皇配陛下」の出現に「恐ろしい」と危機感を表明、 旧宮家の皇籍復帰などを模索して「次の世代」を見極めてから女帝・女系の議論に入ればいいと発言されたことは、女系の入り口である愛子さま即位に慎重であ るべきだとのお立場を意味する。
寛仁さまは別のインタビューで、お父さまの三笠宮さまが女性天皇反対を主張する論文のコピーを持参して「私の意見はこれと同じである」と述べられたエピソードを紹介されている。
皇族が発言を続けられていることに対し宮内庁幹部は「政治的な事柄であり、発言を控えていただくのが妥当」としているが、「これは政治を超えた、日本国の歴史と伝統をどうするかという問題」という問題提起を政府も国会も重く受け止めるべきだ。(渡辺浩)
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【皇室典範改正手続きへのご感想】
十代八人の女帝がいたというニュースだけが流れ、「女帝が即位して何がおかしいの?」という感じになっている。しかしこれまでの女性天皇 は皆、未亡人か独身だった。夫君を亡くした後、皇位を継承する男子が成長するまで待つなどの形態があり、皆さま等しく配偶者を求めていない。あるいは宇多 天皇のように、臣籍降下(皇籍離脱)してから戻ったり、光格天皇などのように遠い遠い傍系から天皇になった例もあるが、そういうことまで知られていない。 何の意味も分からず○×式で決められたらたまったものではない。世論調査は設問の仕方で結果は大きく変わる。例えば単に「女性天皇も可ですか?」という聞 き方をすれば誰だって「可です」となるだろう。日本は神武天皇以来のDNAが続いている世界で唯一の国だが、女性天皇を認めれば、やがて(次の代に)女系 に移るということや、過去の女性天皇はこうだったと説明した上でアンケートをすれば結果は違うと思う。「愛子さまかわいや」や「雅子さまがお世継ぎのプ レッシャーから解放されるのじゃないか」というレベルの認識で決められたら困る。
【ご発言の動機】
われわれは政治にはタッチできないが、これは政治を超えた、日本国の歴史と伝統をどうするかという問題なので、きちんと正しいことを言っ ておくべきだと考えた。最終的には皆さん(国民)の判断を待つわけだが、メディアもきちんとした事実を発信してほしいという意味でお話をしている。
【小泉首相について】
私たちは(立場上)小泉さんのやり方が良いとか悪いとかは言えない。ただ、変えてよいものと絶対に変えてはいけないものがあるのは確か だ。郵政改革とは違うと思う。こんな大事なものを変えようとしているわけだから、最低でも五年間くらいは議論して、日本の津々浦々で意見を聞いて、国会で 慎重審議し、国民が納得するような結論を出す必要がある。
【吉川座長について】
(寛仁さまのご発言に有識者会議の吉川弘之座長が「どうってことない」と述べたとき)「その言い方はないでしょう」と思ったが、有識者会 議の機構や人選は政治マターだから何も言わないことにしている。ただ、ロボット工学の専門家だから人間の言葉が分からないのかなと(笑)。敬語や丁寧語 が。「ありがたく拝聴しておきます」というように言っておけば何の問題も起きないと思うが。
【天皇陛下のご意思】
(女性天皇や女系の容認が陛下のご意思というのは)違うだろう。私が推測するに、平成の御代(みよ)にきちんとした道筋を立てておきたい というお気持ちは、陛下としては当然おありだと思う。それを宮内庁長官や侍従長に「きちんと整備してほしい」ということは当然おっしゃっただろう。でも天 皇というお立場上、「女帝でいい」とか「女系でいい」とか「誰それを連れてこい」というような細かいところまでおっしゃるはずがない。
【旧宮家の皇籍復帰】
戦後、GHQの指示でやむなく臣籍降下した十一宮家の方々がいる。そうした方々が皇籍に復帰されるのは決して不自然なことではない。その 方々は万世一系のDNAを持っている。十一宮家の臣籍降下については、当時、陛下(昭和天皇)が全員をお呼びになって「まことに残念な事態になった」と おっしゃって、宮内府(当時)次長が、万が一のときのために復帰のことをお考えになって身を慎んでいただきたいというようなことを話したそうだ。だからそ ういう方策(皇籍復帰)があるということを声を大にして言っておきたい。あらゆる手を尽くした上で、またしても次の世代が女性ばかりだったとか、そういう 状況になれば、そのときに初めて女帝・女系の議論に入っていけばいいのではないか。皇太子さまが即位されて、その次の世代の話をしているわけだから。
【女性天皇と配偶者】
二千六百六十六年の中の(旧宮家が皇籍を離れている)六十年なんて吹けば飛ぶような時間だ。先帝さま(昭和天皇)のご親族の集まりである 菊栄親睦(しんぼく)会というのがあるが、それを中心にしてわれわれは(旧宮家と)親類付き合いをし、しょっちゅう会っている。だから「違和感」があると いう指摘はどうしても納得できない。そんなことよりもっと違和感があるのは、(天皇としての)愛子さまの配偶者を求めようとしていることだ。恐ろしいこと に(配偶者を)「陛下」と呼ぶという。きのうまで「田中さん」「佐藤さん」だった方が突然見込まれて配偶者になり、「きょうから陛下と呼んでください」と いうほうがよっぽど違和感がある。その配偶者の次の代の方は天皇家と○○家の祭祀(さいし)を行わなければならない。○○家、××家が入ってきて、だんだ んと万世一系という世界で唯一のすばらしい伝統が破壊されてしまう。そうなれば、果たして天皇の正統性を皆さんが認めてくださるだろうか。皆さんの家系と あまり変わらないわけだから。やがて天皇家の滅亡につながっていくと思う。
【女性皇族の結婚による皇籍離脱の廃止】
うちの娘たち(彬子さま、瑶子さま)が一番適齢期にあたり、私個人としてはえらく困る話だ。いずれ臣籍降下するという前提に立って、社会 にほうり出されたときに大丈夫なように死にもの狂いで育ててきたわけだから。(彬子さま、瑶子さまは)「私たちはそんなつもりで生きてきたのじゃない」と 言っている。
(聞き手 喜多由浩)
【写真説明】
女性天皇の問題点を指摘し、旧宮家の皇籍復帰を強く支持される寛仁さま=東京・元赤坂の寛仁親王邸
皇室典範改正に一層の慎重姿勢 安倍官房長官 [2006年01月31日 東京朝刊]
安倍晋三官房長官は三十日の記者会見で、皇室典範改正について「女性天皇、女系天皇の区別が十分認識されていないのではないかという声も ある。提出前に自民党内で十分に議論していただきたい」と述べた。党内で慎重論が高まっていることを踏まえ、これまで以上に慎重な姿勢を打ち出したといえ る。
その上で、安倍氏は現在作成中の改正案について「私自身まだ見ていない」と断った上で、「基本的には首相の指示を踏まえ、有識者会議の報告を踏まえた結論になる」と述べ、女系天皇を容認する内容になることを示唆した。
皇室典範改正 民主慎重派が議連 [2006年02月01日 東京朝刊]
皇位継承順位などを定める皇室典範の拙速な改正に反対する民主党の衆参両院議員三十人が呼びかけ人となり、議員連盟「皇室典範改正を慎重 に考える会」(仮称)を結成することが三十一日、分かった。二月三日にジャーナリストの櫻井よしこさんを講師に招き、国会内で設立総会を開く。
政府が今国会提出を目指す女性・女系天皇を認める皇室典範改正案をめぐっては、皇族の一部からも批判が出ており、自民党内でも慎重論が高まっていた。民主党で慎重派による議連が結成されることは、今後の論議に一石を投じそうだ。
設立総会の告知文書では、皇室典範改正案について「百二十五代、二千年以上にわたって男系によって維持されてきた皇位継承の伝統を根本か ら変える内容だ」と批判。国民の多くが女性天皇と女系天皇の違いなどを理解していないとした上で「拙速な皇室典範改正を行うことは断じて許されない」と主 張している。
主な呼びかけ人は衆院側は中井洽元法相、渡辺周・党「次の内閣」総務相、長島昭久・同防衛庁長官ら。参院側は西岡武夫元文相、渡辺秀央 元郵政相ら。民主党内では鳩山由紀夫幹事長が女系容認に慎重姿勢のほか、野田佳彦国対委員長も今国会での成立を急ぐべきではないと表明している。