◆犬の散歩◆

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謎の腎臓移植

2006年11月07日 04時42分52秒 | 政治・世相・スポーツ等
ある医師が、病気の患者の腎臓を他人に移植したということで話題になっている。そんなばかなことを…と誰もが思う話だ。


まず、病気の腎臓とはいえ、きちんと問題の部分を切除する等の処置をしていて、とりあえずは移植用の臓器として使える状態であったらしい。とはいえ、癌のあったものまで含まれていたそうで、たとえ患者の同意があったとしても医者としての良識を疑うものだとはいえる。

そもそも、もし移植臓器として使えるのならば、まずはもとの患者に戻すべきであって、他人に使うなんて普通はありえない。しかも、普通なら通常の治療で治り、切除まで必要のない腎臓まで摘出しているというから、これは故意に他人に腎臓を使おうという意図があったとしか思えない。

腎臓の移植を待つ人は、ドナーよりも遙かに多く、多くの患者が移植を待っているのである。腎臓移植は脳死ネットワークからのものが殆ど望めない以上、身内からにほぼ限られる。身内から適合者が出なければ、殆ど移植の道は絶たれてしまう。
そうなると、大金をかけて保険のきかない欧米に行くか、もしくは安全面で不安の残る中国で行うかになる。中国は死刑囚の臓器も混じっているうえに衛生面、技術面で問題があるとされているので、簡単には選べない。

普通に待っていたんじゃ移植できない、金もなくて外国に行くわけにもいかない、となるとなんとかして一般の人から提供してもらうしかないわけだ。でも、謝礼を貰ったらいけないことになってるので、赤の他人がタダで腎臓を一個くれるとは思えない。そうなると、病人のでもいいから、なんとか摘出してもらって、その腎臓をくれと思う人はいるだろう。

医師として、そういう人の気持ちをくんで、さして問題のない腎臓をさも摘出しなければならないように診断して摘出して移植に使ったり、癌でもかまわないから腎臓が欲しい人に移植したりしたのだと考えても不思議ではない。

となると、件の医師は医者としての倫理を外れても人間としての倫理を重視して人助けをしたということになる。その是非はおいておくとして、もしそうなら、批判されても我を通す意志の強い人間であるか、金儲けのためにやったのであればかなりの悪人であろう。
しかし、問題の医師の会見を見ても、悪びれる様子もない、強い意志も感じられない、もちろん邪悪なオーラも出していない。気弱そうな人間で、しかし言うことにおかしな部分や無駄な部分はなく、まことに不思議な印象だ。批判されることをあえて行ったくせに、飄々としているというか、まことに薄い印象をうける。とはいえ、患者の同意を文書に残さないなど、なんらかの隠蔽工作をしていたようにも思える。したたかなのか、なんなのか、いまいち外見からは掴みきれない。

ともかく、医師の行動は腎臓を提供される患者のことを思ってのことか、単に医師として移植手術をして儲けるためかは分からないが、臓器移植に関して謝礼が支払われた例で逮捕者が出ていることもまだ記憶に新しいし、もしかしたらもっとやばい裏がありそうな気もする。今後の展開を待ちたい。