風のこたろう

'05年4月6日~'07年4月7日 ウランバートル生活日記
'09年8月~  詩吟三昧の徒然日記

ウグイス吟詠教室

2020年09月23日 | こたろう
スマート詩吟は面白いの指方先生主催の福祉・ウグイス吟詠教室に、久し振りの参加です。

今日は、いつもの会場は、まだお借り出来ないので、別の場所で、開かれました。



隣の席の男性が、肩をツンツンと叩いて、この写真の紙を見せてくれました。

「僕は、これを書くのに、三時間かかりました。」と言いながら。

この方の主な症状は、「失語症」とお聞きしています。

受け取る言葉、発する言葉が、わからなくなったりして、意思の疎通ができにくいことがあります。

それでも、この教室に参加してから、めきめきと上達なさって、この吟題は、昇段試験の吟題です。

「えっ」と言って、「?」の思いを目で伝えると、上の言葉が私に投げかけられました。
「私のブログにのせてもいいの?」と聞くと、うなずきました。

言っていることがわからないときは、「わかりません」とはっきりおっしゃる方なので、さらに、「写真をとりますよ。載せてもいいですね」ともう一度、尋ねました。

はっきり、諾の意思表示。それで、写真を撮りました。

ありがとうございますといったら、ニッと笑いました。

最初にお目にかかったときは、「富士山」に挑戦中でした。
大学時代のテキストをお持ちでしたが、このテキストのこと、書き込みしてあるが、まったく記憶がないとのこと。
それでも、先生とは違った節調で、吟じる声は、吟詠になっています。
記憶にはなくても、体が覚えているのですね!

事故による脳の損傷で、私には、説明しきれない症状です。
例えば、彼は、話の順番を彼独自の順番で進めないと、わからなくなります。
すると、知りたいという思いが先走って、強い調子で「わかりません!」と、言います。

ほんの数回ですが、会話をしたとき、目を見て、話をしていると、「わかりません」が少なかったように思います。

僕の脳の中にある思いを伝えるための言葉が「わかりません」
あなたの言っている言葉が何を意味するか「わかりません」

わからないことをわからないとはっきり言葉に出せるということは、すごいです。
というと、「わかりません」と、返ってきました。

去年だったか、若いころ物した英語の論文を見せて、そして、次に、英語入門のテキストを見せてくれたこともあります。「学び直して、覚え直しているのですか」というと、「わかりません」
「べんきょうしているの?」「そうです。」と、返事が来ました。

私の想像によると、生来の知能は、そのままで、「ことば」にすることや、「ことば」を受け取ることが難しいのでしょう。
その前後を、知りたいと思うことは、止めました。
今の「お互いの反応のし合いを興味深く、注意深くやり遂げている」と言ったらいいのでしょうか。
言葉は、多くはいらないで、一瞬でわかることがあると、おもえば、尽くしても尽くしても、言葉では届かないこともあります。

今のお互いのそのままで、通じ合えることで、良しとする。
その中立ちのツールとして吟詠がある。
そのうち、ツールがなくても、通じ合える時が来ると思う。
症状が改善するという意味ではなく、互いのコミュニケーション能力が上がってくるだろうということを、予想しています。




今日は、雨なので、足元が危険ですから、欠席ですとの連絡のきた方がいました。
少しの雨でも、濡れると滑って危険なので、外出できなくなる人もいるのです。

毎回、そうなんだぁと、思いながら、ただ、ただ、出席しているのですが、笑顔で迎えてくださる方が居るので、また、行こうと思うのです。

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