2015年9月5日のブログ記事一覧-カトカト日記 ~霊園・墓石の株式会社加登 公式ブログ~

「東京飄然」町田康。

皆様おはようございます。
本日も当ブログにご訪問いただきありがとうございます。

今日は書物のご紹介です。

息子の絵本を借りに行くのに付き合って訪れた近所の図書館。
たまたま目にしたのがこの本でした。

作者が41歳の時に書き始めたエッセイです。
初版から10年の時を経た今、41歳の自分が手に取ったことに何かしら運命のようなものを感じずにはいられません。


「東京飄然|町田康(中央公論新社)」


ふと思い立ち「飄然と」旅をしようと決意した作者でしたが、不条理な世間どこに行っても「飄然」たることを許してはくれません。
そもそも「飄然」とは何か。
思えば思うほどその態度は「飄然」の本義からは乖離していくわけで、「飄然」を標榜する41歳の小心なおっさんは終始どうでもいいような些事や市井の人々に翻弄されるばかりなのであります。




その様がまた滑稽で滑稽で、声に出して笑ってしまうのを禁じ得ない。
そんな文章を読んだのは村上龍「69」以来のことです。

昔の無頼派が書いた小説なんかだと、滑稽な自分に対する陶酔というか自己愛のような感傷が鼻についたりしがちなのですが、本作品には一切それがない。
そこがまた憎めないというか、人間四十にもなると自身に対する行き過ぎた期待や矜持などというものはもう、それこそ木っ端微塵に粉砕し、煮て焼いて喰って吐き捨てたうえで衆目に晒し、まるで他人事のように笑い飛ばしてやらねば逆にやってらんないよね、みたいな境地に差し掛かりつつある僕は強い共感をおぼえるのです。
無論作中の「私」が作者の実像にどれほど近いのか或いは遠いのか、それは僕なぞの知る由もないわけですが、これがたとえば20代の頃に読んでいたなら、間違いなく僕は市井の側に立って卑小な作者の像を鼻で嗤っていたのではと思います。




それにしても。
漫才や落語、コントや漫画の類を見て笑うというのは良くあることですが、文章の力だけで笑わせるというのは並大抵のことではありません。
芥川賞をはじめとする数々の文学賞をさらってきた作者は、仮にこの作品以外に何ひとつ発表しなかったとしても、或いは天才の名を欲しいままにしていたのではとすら思わせるほどです。
勿論、芥川賞は取れなかったでしょうが。

レトロで軽妙、それでいて濁流のような勢いとリズムとを包含するまさにカオス様の文体には中毒性がありそう。
町田氏の作品はかつて短編1作を読んだきりだったのですが、今度は長編小説作品も読んでみようと思いました。




最後に。
この「東京飄然」、少なくとも表層においては決して難解ではありません。
作者には失礼かもしれませんが、笑いを求めてギャグ漫画に手を出したくなった折などには、代わりにこちらを読んでみてください。
不思議と元気になれる、夢のない時代の小さな希望のエッセイです。



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