先月のことになるが、兵庫県小野市で生活保護受給者を監視するための条例こと「小野市福祉給付制度適正化条例」が成立し今月から施行された。
・生活保護適正化条例案 小野市会が可決 4月施行へ(2013年3月27日 kobe-np.co.jp)
これに絡めて、天下の3K新聞が生活保護受給者を dis る論説をカマしていた。
・生活保護費でパチンコ…論外。条例より弱者にNOを 編集委員・安本 寿久(2013年4月16日 MSN産経ニュース)
タイトルもかなり強烈なのだが、論説の中身はさらに凶悪。
冒頭、高齢者の方々によるギャンブルに関する会話を紹介した後、話を生活保護受給者に移すのだが・・・。
以下、2013年4月18日分 MSN産経ニュース『生活保護費で~』から序盤部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
高齢者たちの1日の軍資金は1万円というのが相場のようだし、土日はいずれも競馬場通い、それ以外はパチンコへというギャンブル好きも少なくないようだ。
もちろん個人差はあるだろうが、日本の高齢者はおしなべて、恵まれていると思う情景である。
年金でギャンブルか、などとやぼなことは言うまい。
年金は現役時代に納めた保険料の対価でもある。
経済的に余裕がある高齢者ほど、現役時代に懸命に働いた人でもあるのだ。
余生を、自分の懐の範囲内で楽しんだところで罰は当たるまい。
が、これが生活保護費だとどうだろうか。その原資は税金である。
生活保護受給者は完全な被保護者である。
使い道に制約があっても当然だし、ギャンブルなどに使われてはたまったものではない。
それが納税者=保護者のごく当たり前の感情である。
(以下略)
---- 以下引用 ----
・・・生活保護受給者の人達だって権利を行使してるんだけどね。
そもそも、「納税者=保護者」という思想はどこから出てくるんだか。
こういう発想自体、安本氏が生活保護受給者の人達を敵視してるとしか思えない。
で、この後、安本氏は、件の条例可決とその反応に関して妙なことを述べていた。
以下、2013年4月18日分 MSN産経ニュース『生活保護費で~』から中盤部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
同条例案の採決では、15人の市議のうち共産市議1人だけが反対した。
「受給者からささやかな楽しみを奪い、弱者への差別を助長する」
こうした弱者であることを強調した相変わらずの権利主張が、わずかに1党、1人にとどまったことは、日本社会の進歩と受け止めたい。
解せないのは、そして問題視したいのは、この条例に十年一日のごとき批判を繰り広げるメディア、有識者が多いことである。
〈監視社会を招く〉
〈生活困窮者が支給申請しづらくなる〉
こうした見出し、言葉がメディアに躍った。
監視とは、不正や浪費についての情報提供を「市民の責務」としたことを指している。
生活指導や使途調査をすべき市の責任を市民に負わせるもの、という批判まで出た。
自分たちが納めた税金の使途に関心を持ち、不適切な使い道を知った場合には異を唱えることは、それこそ市民の権利ではないか。
申請しづらいうんぬんは、不適切な使い方をしなければいいだけの話である。
ことさら強調し、報じるべきことではない。
批判的なメディアの報道の中で、条例案をつくり、議決した同市には拍手を送りたい。
さぞや勇気が要ったことだろうし、それだけ必要性を痛感していたのだろう。
人口約5万人の同市の生活保護率は0・29%。
全国平均(1・68%)を大きく下回っており、市財政から見て重大な懸案事項では、まだなかった。
にもかかわらず、条例づくりに取り組んだのは「問題が大きくなる前に行動する必要がある」という問題意識の表れだった。
その方針には先月22日の段階で1700件を超える意見が届き、6割が賛成だった。
この数字はそのまま、メディアの紋切り型報道への批判だろう。
(以下略)
---- 引用以上 ----
安本氏に対し、例の条例の条文を読んだのかと問い詰めたくなったのは俺だけ?
↓問題の条例。
・小野市福祉給付制度適正化条例の制定について(2013年2月27日? houmu.h-chosonkai.gr.jp:.pdfファイル)
この条例には、「市民及び地域社会の構成員の責務」について触れた部分(第5条)がある。
参考までに houmu.h-chosonkai.gr.jp『小野市~』から第5条を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
(市民及び地域社会の構成員の責務)
第5条 市民及び地域社会の構成員は、生活保護制度、児童扶養手当制度その他福祉制度が適正に運用されるよう、市及び関係機関の調査、指導等の業務に積極的に協力するものとする。
2 市民及び地域社会の構成員は、地域活動で得た人と人とのつながりを活かし、相互に助け合い協力して、要保護者(生活保護法第6条第2項に規定する者をいう。)を発見した場合は速やかに市又は民生委員(民生委員法(昭和23年法律第198号)の規定により厚生労働大臣の委嘱を受けた者をいう。)にその情報を提供するものとする。
3 市民及び地域社会の構成員は、受給者に係る偽りその他不正な手段による受給に関する疑い又は給付された金銭をパチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、その後の生活の維持、安定向上を図ることに支障が生じる状況を常習的に引き起こしていると認めるときは、速やかに市にその情報を提供するものとする。
(以下略)
---- 引用以上 ----
「~するものとする」というのは非常にわかりづらい表現だが、法律的には広い意味で義務に含まれている。
ってのも、必ずしも従わなくてもいいという意味が伴ってるので・・・。
この辺は以下参照(手抜き)
・「するものとする」と「しなければならない」のちがい(oshiete.goo.ne.jp)
ってのを踏まえると、安本氏が唱える「市民の権利~」云々はどうしようもない見当違いとしか言えない。
責務が権利って、どんなワンダーランドだ。
というか、件の条例への賛同を「メディアの紋切り型報道への批判」ってのも正直意味不明。
単に、生活保護受給者の人達を叩きたい一心で件の条例に賛成した人だっているかもしれんのに・・・。
どんだけ、安本氏が「一部メディア」を嫌ってるんだって話でさ。
そして、この後、安本氏は身も凍るほど恐ろしい論をカマしていた。
以下、2013年4月18日分 MSN産経ニュース『生活保護費で~』から問題の部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
保険の意味を考える時代
そもそも生活保護は、高齢や病気、ケガなどで自活できない場合を除き、仕事が見つかるまでの緊急避難のセーフティーネットのはずである。
健常者なら、一刻も早く脱すべき状態という意識を持つべきものなのだ。
そこで「ささやかな楽しみ」を追求するなど、言語道断の話である。
全国の生活保護受給者は平成23年度で、過去最高の206万7244人、支給総額は3兆5016億円に上る。
うち不正受給は約173億円(約3万5千件)。
この数字のうちのいくらかは、弱者でいることが居心地よい、もっと言えば得をする風潮を助長したメディアに責任があるのではないか。
(以下略)
---- 引用以上 ----
生活保護受給者の人達を「異常」扱いするか。
どう考えても、米国共和党の掲げる政策に代表される貧しい人達との戦い(War on the poor)を日本に持ち込みたいとしか(呆)
それはそうと。
小野市の件の条例に関しては、誰が生活保護を受け取ってるのかどうやって判断するのか、という問題もあるんだよな。
そもそも、見た目からはそんなの判別できないし。
ってのを踏まえると、小野市が生活保護受給者の人達に何かの「印」をつけさせる、なんて提案をしても何ら不思議はないと踏んだ。
そして、その案に賛同する人達がそれなりの数出てくる、と・・・。
どこの中世ヨーロッパだ。
・生活保護適正化条例案 小野市会が可決 4月施行へ(2013年3月27日 kobe-np.co.jp)
これに絡めて、天下の3K新聞が生活保護受給者を dis る論説をカマしていた。
・生活保護費でパチンコ…論外。条例より弱者にNOを 編集委員・安本 寿久(2013年4月16日 MSN産経ニュース)
タイトルもかなり強烈なのだが、論説の中身はさらに凶悪。
冒頭、高齢者の方々によるギャンブルに関する会話を紹介した後、話を生活保護受給者に移すのだが・・・。
以下、2013年4月18日分 MSN産経ニュース『生活保護費で~』から序盤部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
高齢者たちの1日の軍資金は1万円というのが相場のようだし、土日はいずれも競馬場通い、それ以外はパチンコへというギャンブル好きも少なくないようだ。
もちろん個人差はあるだろうが、日本の高齢者はおしなべて、恵まれていると思う情景である。
年金でギャンブルか、などとやぼなことは言うまい。
年金は現役時代に納めた保険料の対価でもある。
経済的に余裕がある高齢者ほど、現役時代に懸命に働いた人でもあるのだ。
余生を、自分の懐の範囲内で楽しんだところで罰は当たるまい。
が、これが生活保護費だとどうだろうか。その原資は税金である。
生活保護受給者は完全な被保護者である。
使い道に制約があっても当然だし、ギャンブルなどに使われてはたまったものではない。
それが納税者=保護者のごく当たり前の感情である。
(以下略)
---- 以下引用 ----
・・・生活保護受給者の人達だって権利を行使してるんだけどね。
そもそも、「納税者=保護者」という思想はどこから出てくるんだか。
こういう発想自体、安本氏が生活保護受給者の人達を敵視してるとしか思えない。
で、この後、安本氏は、件の条例可決とその反応に関して妙なことを述べていた。
以下、2013年4月18日分 MSN産経ニュース『生活保護費で~』から中盤部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
同条例案の採決では、15人の市議のうち共産市議1人だけが反対した。
「受給者からささやかな楽しみを奪い、弱者への差別を助長する」
こうした弱者であることを強調した相変わらずの権利主張が、わずかに1党、1人にとどまったことは、日本社会の進歩と受け止めたい。
解せないのは、そして問題視したいのは、この条例に十年一日のごとき批判を繰り広げるメディア、有識者が多いことである。
〈監視社会を招く〉
〈生活困窮者が支給申請しづらくなる〉
こうした見出し、言葉がメディアに躍った。
監視とは、不正や浪費についての情報提供を「市民の責務」としたことを指している。
生活指導や使途調査をすべき市の責任を市民に負わせるもの、という批判まで出た。
自分たちが納めた税金の使途に関心を持ち、不適切な使い道を知った場合には異を唱えることは、それこそ市民の権利ではないか。
申請しづらいうんぬんは、不適切な使い方をしなければいいだけの話である。
ことさら強調し、報じるべきことではない。
批判的なメディアの報道の中で、条例案をつくり、議決した同市には拍手を送りたい。
さぞや勇気が要ったことだろうし、それだけ必要性を痛感していたのだろう。
人口約5万人の同市の生活保護率は0・29%。
全国平均(1・68%)を大きく下回っており、市財政から見て重大な懸案事項では、まだなかった。
にもかかわらず、条例づくりに取り組んだのは「問題が大きくなる前に行動する必要がある」という問題意識の表れだった。
その方針には先月22日の段階で1700件を超える意見が届き、6割が賛成だった。
この数字はそのまま、メディアの紋切り型報道への批判だろう。
(以下略)
---- 引用以上 ----
安本氏に対し、例の条例の条文を読んだのかと問い詰めたくなったのは俺だけ?
↓問題の条例。
・小野市福祉給付制度適正化条例の制定について(2013年2月27日? houmu.h-chosonkai.gr.jp:.pdfファイル)
この条例には、「市民及び地域社会の構成員の責務」について触れた部分(第5条)がある。
参考までに houmu.h-chosonkai.gr.jp『小野市~』から第5条を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
(市民及び地域社会の構成員の責務)
第5条 市民及び地域社会の構成員は、生活保護制度、児童扶養手当制度その他福祉制度が適正に運用されるよう、市及び関係機関の調査、指導等の業務に積極的に協力するものとする。
2 市民及び地域社会の構成員は、地域活動で得た人と人とのつながりを活かし、相互に助け合い協力して、要保護者(生活保護法第6条第2項に規定する者をいう。)を発見した場合は速やかに市又は民生委員(民生委員法(昭和23年法律第198号)の規定により厚生労働大臣の委嘱を受けた者をいう。)にその情報を提供するものとする。
3 市民及び地域社会の構成員は、受給者に係る偽りその他不正な手段による受給に関する疑い又は給付された金銭をパチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博等に費消してしまい、その後の生活の維持、安定向上を図ることに支障が生じる状況を常習的に引き起こしていると認めるときは、速やかに市にその情報を提供するものとする。
(以下略)
---- 引用以上 ----
「~するものとする」というのは非常にわかりづらい表現だが、法律的には広い意味で義務に含まれている。
ってのも、必ずしも従わなくてもいいという意味が伴ってるので・・・。
この辺は以下参照(手抜き)
・「するものとする」と「しなければならない」のちがい(oshiete.goo.ne.jp)
ってのを踏まえると、安本氏が唱える「市民の権利~」云々はどうしようもない見当違いとしか言えない。
責務が権利って、どんなワンダーランドだ。
というか、件の条例への賛同を「メディアの紋切り型報道への批判」ってのも正直意味不明。
単に、生活保護受給者の人達を叩きたい一心で件の条例に賛成した人だっているかもしれんのに・・・。
どんだけ、安本氏が「一部メディア」を嫌ってるんだって話でさ。
そして、この後、安本氏は身も凍るほど恐ろしい論をカマしていた。
以下、2013年4月18日分 MSN産経ニュース『生活保護費で~』から問題の部分を(略
---- 以下引用 ----
(中略)
保険の意味を考える時代
そもそも生活保護は、高齢や病気、ケガなどで自活できない場合を除き、仕事が見つかるまでの緊急避難のセーフティーネットのはずである。
健常者なら、一刻も早く脱すべき状態という意識を持つべきものなのだ。
そこで「ささやかな楽しみ」を追求するなど、言語道断の話である。
全国の生活保護受給者は平成23年度で、過去最高の206万7244人、支給総額は3兆5016億円に上る。
うち不正受給は約173億円(約3万5千件)。
この数字のうちのいくらかは、弱者でいることが居心地よい、もっと言えば得をする風潮を助長したメディアに責任があるのではないか。
(以下略)
---- 引用以上 ----
生活保護受給者の人達を「異常」扱いするか。
どう考えても、米国共和党の掲げる政策に代表される貧しい人達との戦い(War on the poor)を日本に持ち込みたいとしか(呆)
それはそうと。
小野市の件の条例に関しては、誰が生活保護を受け取ってるのかどうやって判断するのか、という問題もあるんだよな。
そもそも、見た目からはそんなの判別できないし。
ってのを踏まえると、小野市が生活保護受給者の人達に何かの「印」をつけさせる、なんて提案をしても何ら不思議はないと踏んだ。
そして、その案に賛同する人達がそれなりの数出てくる、と・・・。
どこの中世ヨーロッパだ。