せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

罪科、恋心バラバラ殺人

2007-08-14 16:58:53 | その他
半壊した廃墟、手には銃。
胸に孔が開いているということは私はもう駄目なんだろう。滴る雫の温度が暖かいとさえ感じられるということは、それほどに体が冷えているのだろう。背にしたコンクリの壁がやけに心許ない。
最後までとことんついてない。思えば中学だって、友達だって、恋人だって、ろくなもんじゃなかったと記憶している。最初で最後、今だって愛している人だってそうだ。

私の頭は随分とイカれているらしい。


「・・死んだものとばかり思っていたのに」


霞んでぼやける視界に映ったのは、黒いスーツに黒いブーツ。緑色の変な物体を持った、十代目付きのヒットマン。相変わらず帽子の中は爆撃に遭ったかのような有様なんだろうか。
今はそれさえ、確かめることはできないけれど。
きっと外を歩いて来たのだろう。泥のついたままの靴で、私の傾いた首に足を掛けた。なんて酷いのかしら。そう言っても、どうせ止めないのだろう。


「死体が口利くんじゃねぇよ」


ひどく歪めた表情でリボーンは呟いた。靴底が肩に食い込んで、傷口から血が溢れ出た。私の落ちた手の元には雨とは違う赤い水溜り。


「・・まだ死んでないわよ」


不満に思って呟いてみれば、リボーンは見下すような笑みを向けて吐き捨てるように言う。


「まだ、な。どうせ死ぬんだろ?」


まあね。そう呟いて握り締めていた拳銃を手放した。それはリボーンに蹴り上げられ、見事その手に収まる。ぼんやりとそれを見つめながら、あの拳銃になりたかったと馬鹿な願いを呟いてみた。当然リボーンには、聞こえない。
げほ、と一度咳き込むと、口から血が伝った。苦しいよ、怖いよ、寂しいよ、リボーン。助けて。


「残念だが此処に援軍は来ねぇ。つまり此処には俺とお前だけだってことだ。そして俺は、お前の為に助けを呼ぶようなマネはしてやらねぇ」
「そう、」


心の中を見透かされたような気がして、背筋がゾッとした。リボーンならやりかねない。それが意図せずしての透視だったとしても。そしてその時こそ私は、


「安心しろよ。雑魚のお前でも沈黙の掟を守れるように今此処で、」


ごり、と冷たい銃口が額に当たった。体重を預けられた肩が悲鳴を上げている。断末魔だ。そろそろ音を立てて、折れそう。


「殺してやるよ」
  殺される。


今まで死を恐れていたのが嘘のように冷静だった。リボーンに粛清されるならそれも本望だから。どうしてこんな、十も年下の呪われた赤ん坊(アルコバレーノ)、リボーンを愛しているのかなんて、例えボスに聞かれても答えられやしない。
突きつける腕はそのままに、リボーンの顔が近付いて来た。目の前で、止まる。
その表情は残酷なまでに笑っていた。畏怖を覚えるほど綺麗に弧を描いた唇が、こわい。


「お前、俺のことが好きだったろ」


キリ、と胸が痛んだ。きっと胸に開いた孔の所為、そうに違いない。そう言い聞かせて黙り込む(ああこれじゃあ、肯定じゃないの)。
そうしてリボーンは愛しい愛しい甘い声でじわじわと心を犯していく。


「俺はお前のことが大嫌ぇだったけどな」


知ってたわ。でも言われたくなんてなかった。リボーンの口から聞きたくなんてなかった。知ってたけれど、認めたくなんてなかったのだ。
文句を言おうとした所でリボーンに口を塞がれた。それがキスだと気付いた次の瞬間、




ズドン。




―――
(罪科、恋心バラバラ殺人)
復讐者にでも捕まって頂戴。


此処は間違っちゃダメなんですけどね。

題名はズドン。の方ですから。

罪科、恋心バラバラ殺人の方はサブタイですから。
別にこれ、復讐心窃盗罪でも良かったんですけど、
なんかこっちの方が微かにグロイので(お黙り


作中に一回も「彼」が無くて名前だけなのが特徴。
というか、

死体(骸)の次は赤ん坊(リボーン)ですかそうですか。

何がしたいんだろう自分。いっぺん死んでみっか。
こんなことしてないで本館更新しろよ(ほんとだよ