せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

パンプキン! -たとえばそれは、魔女の伝説

2009-04-09 03:38:29 | 小説
昔々大神様は、人間たちが魔法を使うことを禁じていました。
その頃の世界はとても平和で、悪魔も狼男も居なければ、魔物なんてものは存在しなかったからです。人間たちは助け合って暮らし、大神様にとても感謝していました。たくさんのものを生み出し、幸せに暮らしていました。
けれどその平和はあまり続きませんでした。
成長し続けた世界はやがて衰退し、人々は新たな知恵を求めて諍いを始めました。争いは争いを呼び大地は荒れました。
大神様は悪いことをする人間を滅ぼそうと考え始めます。
けれど、それに背いた一人の女神様がおりました。
大神様は怒り、女神様は邪神の刻印を押され、天界を追い出されてしまいました。それを見かねたすこしの天使と、好機と集まったすこしの悪魔と、女神様はじぶんの手で世界を平和にしようとします。
魔法の力を望んだ人間にはそれを与え、天使を仕えさせました。
世界は正しく魔法を使う人間たちの力で均衡を取り戻し、再び平和を取り戻すことができたのです。
魔法を使うものは森の向こう側へと移り住み、人々はその反対側で今も細々と暮らしています。女神様を神様と崇め、大神様を邪神と恐れながら。

世界は平和になり、すこしずつ衰退する中で、大神様は女神様へ復讐をするため、魔界から悪魔や魔物たちを呼び寄せました。もう大神様に、やさしい心はありませんでした。
野には魔物を、森には狼男や吸血鬼を、世界には悪魔を。放たれた災いに、人々は恐怖に怯えることになりました。
それを見て女神様はまた現れ、魔法をつかう者たちを集めて、こういいました。

「魔物には森を、呪われた者たちには救いを与えましょう!」

人間と魔法を使う者たちは手を取り合い、どうにか魔物を森へと追い込みます。狼男や吸血鬼、悪魔たちはそれぞれ魔法を使う者たちの手によって、棲む場所を与えられました。
かつての大神様は魔界へと封じられ、今度こそ世界は平和になりました。

けれど人間たちは、今度は魔法を使う者たちを怖がりはじめました。自分たちと違う力を持つものたち。そんな彼らを、魔物の棲む森へと追いやってしまったのです。
魔法を使うものたちは、なみだを流しながら森の向こうへと去ってゆきました。そのなみだは森の木々を沸き立たせ、小さかった森は一晩のうちに大きく険しくなっておりました。

人間たちは東側に、魔法を使うものたちは西側に。
魔物の棲む森を隔てて、ゆるやかな衰退ははじまるのでした。


これはそんな世界の成れの果て、滅びた世界で生きる者たちの物語。


人間の街のその向こう、最後の魔法使いと暮らす仲間の大きな小さなお屋敷は、年中無休のハロウィンパーティ。可笑しなお菓子な物語。はじまりはじまり、めでたしめでたし。


【みなさま、よいハロウィンを!】

―――
(たとえばそれは、魔女の伝説)

神話から始めたいと思ってたんですが、
凄くギリシャ神話くさいです…大神様。
あまり練っていないので適当ですが、
ちゃんと絵本みたいになったかな…?