せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

刹那幸福論

2008-03-25 18:44:00 | 小説
幸せに、幸せになりたかった。
地球上の誰よりも、とか、この上ないくらい、とか、そんな大仰なことは望んでいなかった。ただ幸せになりたかっただけ、彼と、幸せになりたかっただけ。
切先が横切った胸が、じくじくと痛いような気がする。もっともこれはゲームの中で、痛いだとか痛くないだとかはその人の主観によって決まるものだ。私はこのゲームにのめり込みすぎた、だってこんなにも、

「李…音、」

死神が鮮明に見える。表情なんて無いCGだけの三次元世界、時間なんて存在しない、永遠が存在してしまうところなのに。なのに彼の表情は笑っているように、私は今此処で死んでいくように感じられる。


幸せに、なりたかっただけなのに。

―――
(夜の姫君のアリア)

改稿版○○○リアル、白李音と夜の姫君。