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…プラグ ON 異常 有り 自己修復 ERROR 起動…
暗かった視界が開けてくる。
続いて戻って来たのは感触だった。例えば、深い水の底に潜ってから地上に戻るような息苦しさ。例えば、暖かな手を冬の海に浸すような痺れ。例えば、僕の頬を今打っているのは雨だ。
僕が初めて目にしたのは、高く質素で灰色のビルに切り取られたように四角い空だった。同じ灰色の厚い雲が全てを覆い隠し、光を自分達だけで浴びようとするかのように広げた姿、そしてそこからは止むことなく雫が零れて来ていた。
僕の頬を打つ冷たい感覚、もしかしたら僕は泣いているのかもしれなかったけれど、目に映る雨は黒く視界を覆い隠してしまったからわからなかった。オイルのようにベタついた雨。酸素を入れたビンの中に投げ入れた火のように、一瞬にして燃え、一瞬にして消えた国。
此処はトウキョウ。繁栄に食い潰された空虚な都市。
かつては緑に溢れ、人々がせめぎ合い、必死に生きることを望んだ発展途上国の中心であった場所。けれど次第に街は物に溢れ、緑は人の私利私欲に消され、大地の色は灰色の無機物に塗り替えられ、人々はエゴを孕み、空からは有害な光が差し込むようになった。けれどそれはトウキョウだけではない。逃げる場所を失った人類は次第に減り、そして…全ての生き物達から大地を奪って、消えた。
実際は、多少なら残っている。秋になり枯れる寸前の藁にすがるようにして、人は生きている。
けれどやはり、そんな世界に人が住めるわけがない。そんな壊れた世界に、まともなものなどあるわけがない。人は突然変異の化け物"ベルゼブブ"に怯えることになった。人々は止まなくなってしまった雨に打たれながら身を寄せ合い、暖めあい、わずかな物資を奪い合いながら、他人を蹴落としながら生きている。今も、この瞬間も。
果たして僕も蹴落とされたうちに入っているのだろうか。
食べ物を見つけて帰る途中、後ろから蹴られ、前から殴られ、四方からナイフのようなもので切りつけられた。痛くも痒くもないのはわかっていたし、大人しくするつもりもなかったが、その中に居たのがプログラマーだったのが失敗だった。首の後ろのプラグにバグを差し込まれ、それを遮断する為に強制終了に遭い、ほとんどのデータは失われてしまった。わかるのは、世界と、場所と、そして声だけだ。
声。低くい、男性の声だ。体の芯まで通るような心地よい響きを持った、"パパ"というものを連想させるような声。けれどそこまで年はいっていない、少年と大人の間で止まってしまった、青年のような声だ。名前も、顔も、もう思い出すことが出来ない。
帰りを待っているだろうか。人々など捨てられた猫同然のこの世界のどこかで、僕の帰りを。
…ならば、帰らなければ。
自己修復機能のERRORによって治されることのなくなってしまった手足の傷、脇腹に当たる部分の大穴は電子音という名の悲鳴を上げた。錆びてしまったのか、動かすことが容易ではない足を、腕を叱咤して立ち上がる。まっすぐ行けば比較的人の多い広場に出るから、そうしたら僕は、"帰れる"のだろうか。
Who am I....?
――――
例のみっくみくの彼女(言ってる)の「近未来都市」を
聞いていて考え付いたお話。題名そのままとかうるさい。
職人の所業なので聞いてみるといいです、凄く好き。
今更ミクに嵌るってどういう神経よ私(笑)
聞いてた方↓
http://jp.youtube.com/watch?v=HwqWJgf-Bxg
歌詞違い↓
http://jp.youtube.com/watch?v=Jzlzau1b8AY
…プラグ ON 異常 有り 自己修復 ERROR 起動…
暗かった視界が開けてくる。
続いて戻って来たのは感触だった。例えば、深い水の底に潜ってから地上に戻るような息苦しさ。例えば、暖かな手を冬の海に浸すような痺れ。例えば、僕の頬を今打っているのは雨だ。
僕が初めて目にしたのは、高く質素で灰色のビルに切り取られたように四角い空だった。同じ灰色の厚い雲が全てを覆い隠し、光を自分達だけで浴びようとするかのように広げた姿、そしてそこからは止むことなく雫が零れて来ていた。
僕の頬を打つ冷たい感覚、もしかしたら僕は泣いているのかもしれなかったけれど、目に映る雨は黒く視界を覆い隠してしまったからわからなかった。オイルのようにベタついた雨。酸素を入れたビンの中に投げ入れた火のように、一瞬にして燃え、一瞬にして消えた国。
此処はトウキョウ。繁栄に食い潰された空虚な都市。
かつては緑に溢れ、人々がせめぎ合い、必死に生きることを望んだ発展途上国の中心であった場所。けれど次第に街は物に溢れ、緑は人の私利私欲に消され、大地の色は灰色の無機物に塗り替えられ、人々はエゴを孕み、空からは有害な光が差し込むようになった。けれどそれはトウキョウだけではない。逃げる場所を失った人類は次第に減り、そして…全ての生き物達から大地を奪って、消えた。
実際は、多少なら残っている。秋になり枯れる寸前の藁にすがるようにして、人は生きている。
けれどやはり、そんな世界に人が住めるわけがない。そんな壊れた世界に、まともなものなどあるわけがない。人は突然変異の化け物"ベルゼブブ"に怯えることになった。人々は止まなくなってしまった雨に打たれながら身を寄せ合い、暖めあい、わずかな物資を奪い合いながら、他人を蹴落としながら生きている。今も、この瞬間も。
果たして僕も蹴落とされたうちに入っているのだろうか。
食べ物を見つけて帰る途中、後ろから蹴られ、前から殴られ、四方からナイフのようなもので切りつけられた。痛くも痒くもないのはわかっていたし、大人しくするつもりもなかったが、その中に居たのがプログラマーだったのが失敗だった。首の後ろのプラグにバグを差し込まれ、それを遮断する為に強制終了に遭い、ほとんどのデータは失われてしまった。わかるのは、世界と、場所と、そして声だけだ。
声。低くい、男性の声だ。体の芯まで通るような心地よい響きを持った、"パパ"というものを連想させるような声。けれどそこまで年はいっていない、少年と大人の間で止まってしまった、青年のような声だ。名前も、顔も、もう思い出すことが出来ない。
帰りを待っているだろうか。人々など捨てられた猫同然のこの世界のどこかで、僕の帰りを。
…ならば、帰らなければ。
自己修復機能のERRORによって治されることのなくなってしまった手足の傷、脇腹に当たる部分の大穴は電子音という名の悲鳴を上げた。錆びてしまったのか、動かすことが容易ではない足を、腕を叱咤して立ち上がる。まっすぐ行けば比較的人の多い広場に出るから、そうしたら僕は、"帰れる"のだろうか。
Who am I....?
――――
例のみっくみくの彼女(言ってる)の「近未来都市」を
聞いていて考え付いたお話。題名そのままとかうるさい。
職人の所業なので聞いてみるといいです、凄く好き。
今更ミクに嵌るってどういう神経よ私(笑)
聞いてた方↓
http://jp.youtube.com/watch?v=HwqWJgf-Bxg
歌詞違い↓
http://jp.youtube.com/watch?v=Jzlzau1b8AY