せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

白薔薇を赤く染める

2007-12-22 23:57:55 | 小説
つつ、と切れた肌から血が伝った。これが俗に言うハリネズミのジレンマというやつだろうかとぼんやり考える。

おそらく私はアンダーボード内で最も異質な存在だろう。双子でもない。そして、敵を好いている。それは相手も同じことでないのがとても悲しいが、愛とはそういうものだ。障害があればこそ燃え上がるなどという趣向なわけでもないが、だからと言って愛が消えないのも事実。

「おやおや、これはこれは"キーキー悪魔"トゥイードル=ダムと"首刎ねレイヴン"リオン=ジャンブ。お揃いで、今日はピクニックかね。それにしては武器など持って物騒なことだ。」
「違ってことはあんたが一番わかってるんだろう?」
「私はルークだよ諸君。近付いただけではキングを取れないことを知っているだろう。」

その言葉が気に食わなかったらしい、キーキー悪魔は一歩進んだが私はそれを右に右斜め前に飛ぶことで避けた。此処ならば奴は届かないし彼女に近付ける。そして首刎ねレイヴンの行動範囲にも重ならないとてもいい場所だ。だが近付いても近付いても彼女は逃げる。それがチェスというものだ、仕方がない。けれどまだ盤は用意されていないし私以外の駒は全て盤の外に飛ばされてしまったのだから関係がない気もするのだが。どうやらこのお子様ランチには関係があったらしい、恋敵といったところか。

「ソリエ、お前の考えることはよくわからないね。俺も黒のキングのことは大好きだが彼女は敵だ。他の者の手にかかるくらいならこの手で逝かせて、その心に俺を刻み付けてやろうという結論に至っている。それがお前はどうだ。俺たちのキングを"一つの駒として"ではなく"一人の女として"見ている。こんな馬鹿げた思想はアンダーボード内をいくら探し回ったって居ないだろう。」
「それは私も重々承知の上だよ。近付いて近付いて、追いついたら私は彼女に殺されるだろうね。けれどそれでいいのさ、それは双方の心に強く強く残る。いつか消えるとしても残れるのなら本望さ。」

馬型のパイプに火を入れて煙を吐いた。馬の口から煙が昇る、昇る。これが雲となりまた彼女の上に降り注ぐと嬉しいのだがそれは途中で叶わぬ夢となる。煙はふつりと消えていった。

「まあいい。どうせもうゲームは終わったんだ。」
「それでは彼女に近付いてもいいのだね?」
「誰がそんなことを言った?」

はた、と瞬いた。吐き出した煙が消える、私の世界から。

「三秒で行くぜ、相棒」
「OK、一瞬だよMon chaton.」

ああ最期に、君の赤に染まれるのならそれも本望だ。この世はなんて美しいのだろう?

―――
(我が愛しの赤薔薇)
そしてまた目覚めた時、君は守られ遠い存在になる。

ダムはキングの目の前に座ってるからね(ポーンだし)。
っていうか思ったよりソリエが歪んだ、どうしましょ。

アリスの箱庭の駒たちは、武器の形でも、刺青、痣、
持ち物や装飾、服のどこかにでも自分の役割の柄の
模様があるんです。ソリエはパイプ。リオンは首元。
メアリはリオンと逆の位置に痣(鏡のような存在)、
ルージュとブラン(レヌ双子)は靴にそれぞれの駒、
ダムはピアス。もちろんディーもピアスなのですよ。
アリスはディーに無理矢理穴開けられてピアス(∑)
もちろん痛くて悶えました。まだディーが嫌いです。
チェイシャは、首輪(笑)にクイーンのプレートが。
ハリーは時計の裏にルークの模様が彫ってあります。


…誰か忘れてないよね?(笑)