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1つに結ばれた心

2021-06-15 05:05:46 | 日記
一つに結ばれた心
ゲーリー・E・スティーブンソン 長老
十二使徒定員会
優しさや心遣い,思いやりを示すときに,なえた手をまっすぐにし,心を癒すことができるでしょう。
はじめに
面白いことに,木からりんごが落ちるというような簡単な出来事をきっかけに,大きな科学的発見が生まれることがあります。

今日は,実験用のウサギをきっかけに生まれた発見についてお話しします。

1970年代に,ある研究者たちは,食事が健康におよぼす影響について調べる実験を行いました。数か月間,高脂肪の食事をウサギに与えて血圧と心拍数とコレルテロール値を観察しました。

予想どおり,多くのウサギは動脈内に脂肪を蓄えました。でも,それだけではありませんでした!研究者は,よく理解できない,ある発見をしました。すべてのウサギが脂肪を蓄えたにもかかわらず,一部のウサギが蓄えた脂肪は,驚いたことに,ほかのウサギよりも6割少なかったのです。違う2種類のウサギを見ているようでした。

このような結果が出ると,科学者は眠れなくなります。なぜこのようなことが起きたのでしょうか。ウサギはすべてニュージーランド産の同じ種類のもので,ほぼ同じ遺伝子を持っていました。与えた餌の量も同じでした。

これはどういうことなのでしょうか。

この結果は,研究を無効にしてしまったのでしょうか。実験計画に誤りがあったのでしょうか。

科学者たちは,この予期せぬ結果の理解に苦しみました。

やがて,彼らは研究にかかわったスタッフに注意を向けました。研究者が,結果に影響を与えるようなことを何かやったのではないでしょうか。調べていくうちに,脂肪をあまり蓄えなかったウサギはすべて,ある研究者に世話をしてもらっていたことが分かりました。この研究者は,ほかの人と同じ餌をウサギに与えていました。ただ,別の科学者はこう報告しています。「彼女はとてつもなく親切で思いやりのある人で」,ウサギに餌をあげるときに,「ウサギに話しかけ,抱き締め,かわいがっていました。……いつもそうしていました。そういう人なのです。」




彼女は,単にウサギに餌を与えるだけではありませんでした。愛を与えたのです。

最初は,これが大きな違いを生む原因になったとは思えませんでしたが,研究チームはほかの可能性を見つけられませんでした。

そこで,彼らはもう一度実験を行いました。今回は,ほかの条件を厳重に制御しました。結果を分析すると,同じことが起こりました!愛情深い研究者の世話を受けたウサギは,とても良い健康状態を示したのです。

科学者たちはこの研究結果を,『サイエンス』(Science)という一流雑誌に載せました。

何年たっても,この実験による発見は,医療分野に大きな影響を与えています。最近,ケリ・ハーディング博士は,The Rabbit Effect(ウサギ効果)という,実験に由来した題名の本を出版しました。結論はこうです。「不健康なウサギを手に取ってください。話しかけてください。抱いてください。愛情を注いでください。……人間との関わり方が影響を与えます。……最終的に,健康を最も左右するのは,どのように互いに接し,どのように生き,人間とは何かについてどう考えるかと関連があります。」

この世では,科学と福音の真理とを結ぶ橋は少なく,その二つはかけ離れていると思われています。しかしクリスチャン,イエス・キリストの弟子である末日聖徒は,この科学的な研究の結果に驚くことなく,直感的に理解できます。この結果は,思いやりは癒しをもたらす基本原則であるというわたしの確信をさらに強めてくれました。 思いやりは,情緒的,霊的,そして物質的にも,心を癒すことができます。
一つに結ばれた心
「先生,律法の中で,どのいましめがいちばん大切なのですか」と尋ねられた救い主は,こう答えられました。「自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ。 あなたは自分自身を愛するように隣人を愛さなければならない。」救い主の答えは,天からわたしたちに与えられた務めを強調しています。古代の預言者は「決して互いに争うことなく,互いに和合し,愛し合って結ばれた心を持ち,一つの信仰と一つのバプテスマをもって……将来を見詰めるようにと」命じました。わたしたちはさらに,「力も影響力も……温厚と柔和により,……また偽り〔のない優しさ〕により」維持すべきだと教えられています。

この原則は,大人,青少年,子供の区別なく,あらゆる末日聖徒に当てはまります。

そこで,初等協会の皆さんに少しお話ししたいと思います。

皆さんはもう,優しい人になることの大切さを知っています。初等協会の歌「イエス様のように」はこのように教えています。
互いに愛し合え
イエス様のように
イエス様の教え
人にやさしく
時々,難しいときがあるかもしれません。韓国のミンチャン・キムという初等協会の男の子のお話が役立つかもしれません。ミンチャンの家族は,6年前に教会に入りました。




ある日学校で,数人のクラスメイトが別の生徒をからかっていました。面白そうだったので,ぼくも仲間に加わりました。

数週間後,その男の子は,からかわれていることを気にしていないふりをしていたけれど,ぼくたちの言葉にきずつき,毎晩泣いていたと言いました。それを聞いてぼくは泣きそうになりました。悪いことをしたと思い,彼を助けたいと思いました。次の日,彼のそばに行って肩を抱き,言いました。『からかってほんとうにごめんね。』彼は,目になみだをためながらうなずきました。

でも,ほかの子供たちはまだ彼をからかい続けていました。そのとき,初等協会で学んだことを思い出しました。正義を選ぶ,ということです。ぼくはクラスメイトにやめるように言いました。ほとんどの子は変わらず,しかもぼくに対して怒りました。でも,一人の子は謝り,ぼくたち3人は仲良しになりました。

まだ数人はからかっていますが,ぼくたちがいるので,彼は元気になりました。

困っている友達を助けることで正義を選びました。」




イエス様のようになろうと努力する,良い例ですよね。

若い男性と若い女性の皆さん,大きくなるにつれ,人をからかうと,とても危険なことになります。不安や気持ちの落ち込み,さらには,いじめにつながります。「いじめは新しい概念ではありませんが,ソーシャルメディアやテクノロジーにより,さらに深刻化しています。慢性的で,絶えずつきまとう,危険なネットいじめへと発展します。」

明らかに,サタンはいじめを使って若い世代を傷つけようとしています。ネットでも近所や学校,定員会,クラスでも,いじめがあってはなりません。このような場所が,さらに思いやりのある,安全な場所となるよう,できるかぎりのことをしてください。そういったことを消極的に眺めていたり加担したりする人には,ディーター・F・ウークトドルフ長老の以前の勧告が最も役立つでしょう。

「憎しみ,うわさ話,無視,あざけり,悪意,傷つけたいという衝動を抑えるためには,次の指示に従ってください。
やめなさい!」

聞こえましたか? やめなさい!オンライン上であっても,優しさや心遣い,思いやりを示すときに,なえた手をまっすぐにし,心を癒すことができるでしょう。

初等協会と青少年の皆さんにお話ししたので,次は教会の大人の皆さんにお話しします。わたしたちは,思いやりや,人を受け入れること,礼節を尽くすことの雰囲気を作り,模範となる第一の責任を負っています。そして,キリストのような行いを,言動によって次世代に教えるのです。政治や社会階級,その他,人が作った社会が分裂するときに,思いやりは特に重要です。

M・ラッセル・バラード会長も,末日聖徒は互いに親切にし合うだけでなく,周りのすべての人に優しくしなければならないと教えました。「時折,わたしは教会員が別の信仰を持つ人々を無視したり除外したりして傷つけていると聞くことがあります。特に住民の大半が教会員である地域にこれはありがちのようです。家族が教会員ではないという理由だけで,近所の特定の子供と遊ばないように教えている,心の狭い親の話を聞いたこともあります。この種の態度は主イエス・キリストの教えとは一致しません。わたしには教会員がなぜこの種の問題を生じるままにしておくのかが理解できません。……この教会の会員がほかの宗教の友人や隣人に対して,愛や親切,寛容,善意を示さないように勧められたのを,一度も聞いたことはありません。」

人を受け入れることは一致の良い手段であり,人を排除することは分裂を招くということをわたしたちが教えるよう,主は期待しておられます。

神の子供たちが人種のために不当な扱いを受けていると聞くと,イエス・キリストの弟子としてがく然とします。黒人やアジア人,ラテン系などの人々への攻撃の話を聞くと,心が痛みます。偏見や人種間の敵対意識や暴力は,近所や地域,教会内であってはなりません。

年齢にかかわらず,一人一人が最善を尽くしましょう。
あなたの敵を愛しなさい
愛や敬意,思いやりを増そうと努力するとき,人の悪い選択で傷つくことが必ずあるでしょう。どうすればよいでしょうか。わたしたちは,「敵を愛し,憎む者に親切にせよ」という勧告に従います。

与えられた困難を克服するために最善を尽くします。主の御手が状況を変えてくださるよう常に祈りながら,終わりまで耐え忍ぼうと努力します。また,わたしたちを助けるために主が送ってくださる人々に感謝を伝えます。




わたしは,初期の教会歴史のある模範に感動します。1838年の冬,末日聖徒たちがミズーリ州の自宅を追われる中,ジョセフ・スミスと教会指導者たちはリバティーの監獄に囚われました。聖徒たちは貧しく,友もなく,寒さと乏しさにとても苦しんでいました。イリノイ州クインシーの住人たちは聖徒たちのひどい様子を見て,思いやりと友情から手を差し伸べました。

クインシーの住人,ワンドル・メイスは後に,ミシシッピ川の仮設テントで初めて聖徒を見たときのことを次のように思い出しています。「ある人は,風よけのためにシーツを広げていた。……また,子供たちは火の周りでこごえていた。火は風に吹かれて消えそうで,あまり役に立ってはいなかった。かわいそうな聖徒たちはひどく苦しんでいた。」

聖徒たちのひどい状態を見て,クインシーの住人たちは協力して聖徒たちを助け,この新たな友人が川を渡るのを助ける人までいました。メイスはこう続けています。「〔彼らは〕たくさんの物を寄付しました。商人たちは,……豚肉……砂糖,……くつ,衣服など,このかわいそうな人たちが必要としていた物をだれがいちばん寄付できるかを競いました。そのうちに,避難民の数がクインシーの住人の人数を上回りました。クインシーの住人は自宅を開放し,大きな犠牲を払ってわずかな持ち物を分け与えました。

多くの聖徒が厳しい冬を生き延びられたのは,クインシーの住人たちの思いやりのおかげにほかなりませんでした。これらの地上の天使たちは心を開き,家を開放して,命を救うための食べ物や温かさ,何より友情の手を,苦しむ聖徒たちに差し伸べました。聖徒たちがクインシーに滞在した期間は比較的短かったのですが,聖徒たちは愛する隣人に対する恩を忘れず,クインシーは「避難民の町」として知られるようになりました。

批判的で,否定的で,悪意のあるだれかの行いで逆境や苦難に遭っても,わたしたちはキリストにあって希望を抱くことを選べます。この希望は,「元気を出しなさい。わたしがあなたがたを導いて行くからである」という主の招きと,主は苦難を聖別してあなたの益としてくださる,という約束からもたらされます。
よい羊飼い
最後に,話の初めに戻りましょう。 ある優しい人が,思いやりを込めて世話をすると,予期しない結果が生まれました。 世話をした動物の心が癒されたのです。なぜでしょう?彼女の人格ゆえです。

福音のレンズで物事を見ると,わたしたちも思いやりに満ちた御方に見守られていることに気づきます。思いやりをもってわたしたちの面倒を見てくださっています。よい羊飼いはわたしたち一人一人の名前を御存じで,「それぞれの羊に心を寄せ」ておられます。主は言われました。「わたしはよい羊飼いであって,……わたしの羊を知〔っている〕。そして,わたしは羊のために命を捨てるのである。」





この聖なる復活祭の週末に,「主はわたしの牧者であ〔り〕」,わたしたち一人一人を知っていて,見守ってくださっていると知っているので,わたしは変わることのない平安を感じます。人生の風や嵐,病気やけがを経験するときに,わたしたちの羊飼い,介護者であられる主は,愛と思いでわたしたちを養ってくださいます。主はわたしたちの心を癒し,霊を修復してくださいます。

このことと,イエス・キリストが救い主,贖い主であられることを,イエス・キリストの御名により証します, アーメン。

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※このお話しは、末日聖徒イエス・キリスト教会2021年4月の総大会での説教のひとつです。赤字青字は、追加しています。

※本日もお読みいただいて感謝します。

本日も周りの人々に親切にする機会がありますように。

2021年6月15日(火)