デゼレト産業との提携で成功する就労者
アリエラは,ペルーからアメリカに移住してきたばかりです。英語とスペイン語が話せて,大学の学位を持っていますが,アメリカの労働環境に不慣れで,就職に不安を抱えています。そこで彼女のビショップは,デゼレト産業での就労を提案しました。ここは非営利の職業リハビリ施設のみならず,リサイクル店としても営業しており,末日聖徒イエス・キリスト教会が出資しています。
アリエラは地元のデゼレト産業で働きだして間もなく,ビジネスパートナーシップ・プログラムに登録しました。そうして彼女は,地方自治体が運営する法務サービス企業でインターンシップを体験し,基本的な仕事の手順を教えてもらいました。そのおかげですぐに仕事のやり方にも慣れ,本採用の口を見つけることができました。
デゼレト産業ビジネスパートナーシップ・プログラム
アリエラのケースは,このビジネスパートナーシップ・プログラムから生まれた何千というサクセスストーリーのほんの一例です。
このプログラムは,43か所にあるデゼレト産業と12ある職業センターに設置されていますが,そのうち3つはメキシコ,フィリピン,ハイチにあります。プログラムに関心のある人は,地元の末日聖徒のビショップから紹介状をもらい,地元のデゼレト産業かLDS職業センターに問い合わせてください。
このプログラムでは,デゼレト産業が地元企業と提携し,求職者が関心を持つ分野で訓練を受けられるようになっています。これはトリプルウィンと呼ばれる形をとっています。なぜならデゼレト産業は,求職者に対する賃金,補償責任,労災保険を負担することで人々の自立を支援する使命を果たすことになります。企業は従業員を無償で確保することができ,求職者は報酬と訓練を受けられるからです。提携の多くが,最終的に仕事の斡旋や推薦に結びついています。
霊感を受けたプログラムの発端
2004年,アメリカユタ州バウンティフル在住のダニー・ブロックは,南アフリカダーバン伝道部の伝道部会長として召されました。当時アラジン産業の副社長を退職して,ダニー・ブロックと妻のケリー・リンは,南アフリカの宣教師たちと人々に3年間奉仕しました。
2007年に帰還した時点では無職でした。そのためブロック兄弟はウェルフェアスクウェア失業サービスで8か月間働いて,神権指導者たちの求職活動を支援しました。
「帰宅すると『みんな,今日はこのステーク会長やあのビショップに仕事を見つけてあげたんだ』と興奮しながら家族に話していました。すると息子たちがこう言うのです。『じゃあ,自分にも見つけたらどう?』」と彼は語ります。
ブロック兄弟は,ウェルフェアスクエアでの仕事を終えたとき,伝道部会長として奉仕を終えたときと同じような霊感を受けました。アフリカでの奉仕の折に気付いたことは,帰還して失業する宣教師たちがおり,彼らは決められた期間,宣教師として勤勉に働いた後に貧窮し,過酷な状態に陥るということでした。そして多くが戒めを守れず,お休み会員になってしまいます。
ブロック兄弟は,宣教師が帰還した時点で職を斡旋すれば,彼らはユニットや地域社会の指導者となり,結婚して,問題を避け,成功に導かれるはずだと思いました。
「雇用と就労によって,必要な支払いが可能になるばかりか,――什分の一―といった別の責任も果たすことができますし,ほかの人々を助けることができます」とブロック兄弟は語ります。「うまくいかないと感じているときは,悪循環に陥りやすいものです。労働は問題回避のための最良の手段の一つです。役に立っていると感じ,達成感を感じるときに,人はよく眠れるものです。
この原則に則り,ブロック兄弟は福祉職業サービスに来る人々のためのネットワーク構築と就職活動の支援を行いました。そして2008年には,教会の管理ビショップリックから,デゼレト産業のビジネスパートナーシップ・プログラムを始める許可がおりました。
なぜトリプルウィンなのか
今日,約1,500名がデゼレト産業を通じてビジネスパートナーシップに登録されています。このうち約半分は,正規採用に至っています。また10件につき8件は,過去にデゼレト産業との提携をした企業です。
「最初,企業は無償のマンパワーが確保できることが目当てで,迎え入れてくれます」とブロック兄弟は言います。「でも,そのうちに企業の方でも,人々への支援に本腰を入れる決意をしてくれるのです。」
ビジネスパートナーシップ・プログラムに参加するに当たり,デゼレト産業の求職者は入念に選抜,評価され,仕事への適正が測られます。そして品格,労働習慣,人間関係について指導を受け,仕事にふさわしい能力と知識を身に付けていきます。
提携の常連企業の多くは,デゼレト産業に自社の特別訓練プログラムを利用させており,提携した求職者がすぐに仕事を始めて,完全な訓練が受けられるように取り計らっています。
「このプログラムの利点は,求職者が希望職の実地体験を積めることです」とブロック兄弟は言います。「犬のグルーミング,請負業,簿記,溶接,医療補助など,職種を挙げていただければ,提携の手配をします。」
仕事に必要な技能,資格,収入面での改善に加え,このプログラムでは,就労者と雇用者の双方にとって,夢の実現に向けた達成感や祈りの答えとなる機会を提供していると言います。
「人々が職を得て苦痛から開放される手助けをするたびに,彼らが希望と幸福を見いだしていることが分かります。そして主がその子供たちをどれほど愛しておられるかを知ります」とブロック兄弟は語ります。
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