「おおしたさん」のブログです

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お灸のことを「やいと」と言います ( ´ ▽ ` )

2023年10月10日 | 東洋医学、東洋思想
写真は自分の腕だが、腕の真ん中あたりにある白丸がお灸の痕。腕の真ん中のツボが蕁麻疹に良いというのでやっていたものだ。
肘に近い方が中学生の時のもので、掌に近い方が高校生時分のもの。
いつの間にやら腕が伸びて、2箇所の灸痕がある。
火傷でただれた灸痕の上に、モグサを乗せて火をつける毎日。
子どもがわけもわからずお灸をするものだから、大きくなって当たり前か(^_^;)。


逆子で来院された方が「やいと」を知っていたので、聞いてみたら香川出身。なんでもおばあちゃんが家でよくお灸をしていたとの事。私の世代では当たり前に使う言葉、なんなら「お灸」よりも「やいと」の方が馴染みがある。

私の「やいと」歴は実に長い。よく聞かされたのが生後10ヶ月でのお灸デビュー。なんでもちょうど正月の餅を親戚総出でついていた時、多分ほったらかしにされていたのだろう、その辺の何かを食べたみたいで高熱にうなされ大きな病院に連れていかれたらしい。その病院での治療がなかなかうまくいかず、島に「やいと」の上手いおばあちゃんがいて、そこで「やいと」をしてもらうことに。据えてもらったら熱がひいて「あんたは「やいと」で生かされたんよ。それで今のあんたがおるんよ」と母から散々聞かされた。その話を私を連れ出した当事者であるおじさんにしたら「死にかけの子どもを病院から連れ出せりゃあせんわい」とけんもほろろに突き放されたのだが、果たして人の記憶はあいまいで、どれが正しいのかいまだにわからない。

ところで「やいと」という言葉を広島以外のどこで使えるのか調べたら、どうも西日本全域でそう言うらしい。実際関東でも使われているかもしれないが、こちらに来て使う機会がほとんどなかったので、患者さんに、それもまだ30歳前後の方に「やいと」という言葉を使われて、懐かしさもあって今書いているところなのだ。

そういえば、私の小さい頃、昭和50年当時は多分どこの家にもモグサが常備されていた。そのパッケージには症状別にツボが書いてあり、物心つく頃には自分で自分にお灸を据えていた。写真の灸痕は腕の真ん中を目指しているので多分「郄門(げきもん)」というツボにお灸を据えたのだろう。確か蕁麻疹を治すために灸を据えたと記憶しているが、なぜ郄門が蕁麻疹に良いのか定かではない。まあツボの位置はどうでもいい。この灸痕の大きさだが、毎日お灸をしてると、それに耐える自分に酔っていく。中学生でもそうだ、火傷になった灸痕の上にモグサを乗せ火をつけそれに耐える自己満足。ただれた火傷痕の上に灸を据えるのだから、この大きさの火傷が今も残るのも不思議ではない。ところででなぜ灸痕が2箇所あるのかというと、中高生の間に腕が伸びてしまい、真ん中が変わったから。そんな私なので、今も焼き切るお灸が大好きなのだ。

患者さんと話をして懐かしく思い出した「やいと」という言葉。今アキレス腱を痛めてお灸をしているが、このチクっと感じる熱量が快感で、お灸は良いなと、自分を実験台に楽しんでいる。まぁ、痕が残るようなお灸は嫌がられるので、限られた患者さんにしかやらないが、いまだに誰かにやる事があるという事実、あなたのそのね、のたうち回る姿を見るのは私の楽しみの一つなのよ。同志よ今日もお灸をさせてくれてありがとう。



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