運動を頑張った記憶は全くない。なぜなら吹奏楽部だったから。ましてやコンタクト系のスポーツなんて、柔道を体育の時間にかじったくらい。だからラグビーなんて見たこともなかったし、ルールすら知らなかった。
そんな私だから、高校に入ったらラグビーをやると息子に言われた時は、全力で阻止しないとと思ってしまった。だって、ラグビーをやってた知り合いのほとんどが骨折的な、それに匹敵する怪我をしてるんだもん。骨折程度はかすり傷と豪語する野蛮なスポーツ、そして他者を寄せ付けない独特の雰囲気を持つ内輪ノリ、ラグビーに対する印象はそんなもんだった。
ということで、ラグビー部入部を阻止するべく選んだ方法が「スラムダンク」の全巻大人買い(中古だけど)。あの、バスケット人口を飛躍的に増やしたという伝説の漫画を与えたら、少しは考え直してくれるのではないかと思い渡してみた。そしたらこれが大ハマり。受験生のくせに早朝近くの公園にバスケットボールを携え練習しに行くまでになってしまった。だが高校に入り、蓋を開けたらラグビー部。「スラムダンク代を返せや」とも思ったのだがそこは大人のこの私、本人が決めたことだし素直に受け入れるしかないと腹をくくった。
そうこうするうちに高校生の試合を見に行く機会があり、これまたそうこうするうちにトップリーグの観戦も積極的にするようになってしまった。幸い治療院から5分くらいの所に秩父宮ラグビー場がある。ラグビーの「ラ」の字も知らない私だったが、ルールを覚え、競技の仕組みがわかってきた頃にはラグビーにどっぷりとハマる事となってしまった。どっちに転ぶかわからないボールと本気でたわむれる大人の鬼ごっこ。ボールを持ったら体当たりされるんだから、本当は持ちたくないだろうなぁとか、痛いけどここで体当たりしないと、ボール運ばれちゃうから行かなきゃ、でもどうしよ、ってな葛藤があるのかなぁとか。本当のところはよくわからないが、やばたん自己犠牲してる俺ってちょっとカッコいいかも、みたいな気持ちで試合をしているのだろうか、そうでなければこんなヤバ面白いスポーツなんてできやしない。
そんな感じでこのスポーツを見続けていたら、色々な発見がある。試合とは関係無いが、ラグビー部は距離感がいつもおかしい。多分いつも肩組んで練習をしているせいだろう、友達との距離が道すがらもとにかく近い。そんな兎にも角にも自己犠牲の上に成り立つスポーツ、そんなスポーツを一番多感な頃経験できるなんて羨ましすぎる。うん、もう一度青春をやり直せるのなら、迷わずラグビーを選ぶと思う。
まぁ何が言いたいかというと、うん、子育てなんてそんなものだということ。子どもなんて親の思う通りには生きてくれやしない。いやそれどころかヒヤヒヤする事しかしちゃあくれない。でも終始そんな感じで続くのだ、子育てというものは。そんな感じで続くものだから教育という考えはキッパリ諦め、生きててくれればそれで良いと、子どもの好きだけに乗っかることにした。そしたら子どもは大きく羽ばたくし、いつの間にやら子ども達が私の知らない世界をたくさん教えてくれていた。私一人なら絶対体験できなかった世界を。子どものやることなすこと全てを肯定することなんてできないが、それでもそれを楽しがっていたら、いつの間にか人生が豊かになっていた。だから「教育、はぁ?」なのだ。子どもの好きに乗っかっていれば、子どもなんて勝手に生きやすい所を見つけるものなんだ。ほんとそう思う、皆が大きくなってほんとそう思う。
【2023年3月に書いたブログです】
私のような人間が子どもにどう楽しんでもらうかを真剣に考えるのである。そんな子育ての些細な積み重ねが自分を大きくしてくれたように思う。
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