皮部論に「各経絡上の血絡の色を診る事でその経絡にどのような病が入っているのかが凡そ解る」とある。
例えば手足陽明経(大腸経、胃経)上の色合いについて、青味がかっている時は痛みに通じ、以下黒味は痺、黄赤味は熱、白味は寒、五色が混ざり合っている時は寒熱併発とある(他経も同様)。
ただし陽の経絡は日焼け等も考慮しなければならず、この判定は難しい。
経絡治療では肘の内側がその人の固有色と病色を判断する材料とする。
ここは太陽光等による変色が少なく、変動経絡を探すのにもってこいの場所である。
ここが青いと肝、赤いと心、黄色だと脾、白は肺、黒は腎と診る。
経絡上の凹凸だけでなく、色合いも参考にできたら証立てに役立つ事であろう。
ここで感情と五臓の色を考えてみる。
「怒り」や「イライラ」は肝と関係するが、肝と関係する色は青。
「眉間に青筋」はまさに癇癪持ちや疳の虫と関係する場所。
これだと色と五臓の関係もわかりやすいように思う。
次に「悲しみ」と五臓の関係について考えてみる。
「悲しみ」は肺と関係があり、肺と結びつく色は白。
泣く理由がないのに悲しくて涙が出てくるような場合は、肺の勢いが強い訳であるから、肺の実を考える。
現在被災地で苦しんでいる方々の中で、悲しくて涙が止まらないといった場合、悲しみにより肺の気が不足することで、気全体が虚してしまうと、気自体が消えてしまう。
スーパーに行っても買う気がしないような状態がまさにそう。
このような事を考えながら傷ついた心を癒す治療を組み立てる事ができれば、鍼灸師も大いに役立つのではないだろうか?
今回の震災との絡みをもう一つ。
恐れるとか驚きが過ぎると「腎」の気に影響する。
腎は水気の働きに通じる、すなわち求引や凝固作用に関係する。
これは身を守ることと同義で腎の力が弱くなるということは自分をさらけ出すことに通じ、それが嵩じて用心深くなる。
そうすると、気を遣いすぎて物忘れが激しくなり、ますます驚きやすくなる。
腎は耳と関係が深いので、耳が小さくて薄い人はその傾向が人一倍強い。
このようなことも考えながら、精神的なケアをしていければと思う。
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