「間宮兄弟」を江國香織のベスト1に北上次郎が本の雑誌で、10年ぐらい前だが選んでいた。仲のいい独身兄弟のほのぼのとした日常のハナシで、スラスラ読んだけど、これが江國の1位なのかって思った。で今日、61歳で亡くなった森田芳光監督の2006年の映画を見たら、もうたまらなく面白かった。キャストも信じられないほど豪華で。佐々木蔵之介、塚地武雅、常盤貴子、沢尻エリカ、北川景子、戸田菜穂、岩崎ひろみ、佐藤 . . . 本文を読む
ミア・ハンセン=ラブ監督「それでも私は生きていく」(2022年)はカンヌでヨーロッパ・シネマ・レーベル賞。仕事や子育て、老父の介護に追われる多忙なシングルマザーが、新たな恋に巡り合うハナシ。どこにでもあるモチーフ。日本人監督ならどんなふうに撮ったかなとふと考えた。老人ケア施設の様子はほとんど日本と同じだったが、主人公サンドラと一緒に、20年前に離婚した元妻の母親が再婚した夫と、元夫の面倒をみる . . . 本文を読む
「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016年)は中野量太の脚本、監督。日本アカデミー6部など数々の受賞は当然だろう。中野量多はたくさん撮っているが、大ヒットしたのはこの作品と、長いお別れ、浅田家、ぐらいのようだ。でもこの作品は傑作。中野量多にとっても、宮沢りえ、にとっても素晴らしい代表作になった。親子、夫婦、家族、病、癌、イジメ、などなどわたしたちの人生に訪れる問題をこの作品は網羅している。それに立 . . . 本文を読む
「劇場版ラジエーションハウス」(2022年)はフジテレビのヒットドラマ。原作は横幕 智裕の漫画。この人は“脚本家、漫画原作者、構成作家”ですごいヒット作品多作。監督の鈴木雅之も映画・ドラマのヒット作品たくさん。こういう2人が創るんだからこんなに面白いのは当然か。もともとの漫画は診療放射線技師・窪田正孝と放射線科医・本田翼が活躍するハナシのようだが、映画は2人だけでなく医療関係者の奮闘、情熱、モ . . . 本文を読む
成島出監督「ファミリア」(2023年)。すごい作品だが、辛いハナシだ。多くのブラジル人移民が済む街でこういう現実があるのだろうか。よくこんな脚本を書けたもんだ。いながききよたか、は多くの映画脚本を書いている。でもほとんど見ていない。監督の成島出、は「八日目の蟬」で賞最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞している。これは観てないが「銀河鉄道の父」は観た。両人ともなかなかの才人だ。でもやはりこれは役所広 . . . 本文を読む
「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」(2015年)は「ローマの休日」など名作を書いた脚本家ダルトン・トランボの伝記。というより、1950年代アメリカのあのマッカーシ赤狩りを告発し、弾圧された多くの芸術家、映画人を讃える映画で、心揺さぶられる。泣いたし、声もでた。最後は拍手した。こういう作品を創れるアメリカ人の力、良識に感動する。アメリカはこういう国であり続けてほしい。わたしたち日本がいろん . . . 本文を読む
山下敦弘監督、宮藤官九郎脚本「1秒先の彼」のエンディングは「なんで?」「なんでやろ」。うーん、この映画、なんで?、なんでやろ、ぐっときた。さっすがクドカン。今日はシリアスなものを観たくも読みたくもなかった。昨日アフガニスタンのドキュメンタリー観たからだろう。どんなに優れた映画でも小説でも、続けるには辛すぎるときがある。たっぷり笑えて、どうなるんだろうってワクワクさせられて、えって驚かされて、最 . . . 本文を読む
川和田恵真監督の「マイスモールランド」をやっと観た。やっとのわけは、日本に難民申請しているクルド人家族を描いた作品だと知っていたから。左派系或いは人権派の人たちが日本の入管行政を告発するために作った映画なんだろうと勝手に想像していたのだが。主人公はクルド人の家族とともに故郷を逃れ、幼い頃から日本で育った埼玉の高校生。将来の希望は小学校の先生になることで、大学進学資金を貯めるためコンビニでアルバ . . . 本文を読む
今イチオシの西川美和氏、映画作品6作「蛇イチゴ、ゆれる、ディアドクター、夢売るふたり、永い言い訳、すばらしき世界」は全て原作・脚本・監督。これってすごくない? マジすごいって思う。で、「永い言い訳」の映画を観やっと観た。小説とちょっと違うような気がして、観終わってすぐに小説後半をを開いて思い出した。原作は竹原ピストルが風俗店で風俗嬢に首を絞めさせて、苦しくなって突き飛ばして大怪我させて逮捕。で . . . 本文を読む
映画「赦し」(2023年)はインド人監督アンシュル・チョウハン。この方は日本在住とのこと。こういう社会派の作品を撮るとは興味深い。いろいろ考えさせられたが、松浦りょうがなぜ裁判でいじめにあってことを語らなかったのか、ちょっと不自然に思った。再審で刑期が簡単に1年になったのもリーガルドラマにしては安直すぎる気が。MEGUMIはとても素敵だが尚玄と簡単に寝たのがピンとこない。復縁断ったのに後を追う . . . 本文を読む
役所広司がカンヌで最優秀男優賞を受賞した「PERFECT DAYS」の公開初日、109シネマ第10シアター初回は満席。こんなこと初めて。名匠ビム・ベンダースがこれを撮った経緯が興味深い。トイレ清掃活動のPR短編映画のオファーだったが、来日してサービス、清潔さを目にして感銘。オリジナル物語を書き下ろしたという。主人公の平山は清掃人として同じようなルーティンの毎日を送っている。かれがなぜこの職業に . . . 本文を読む
「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」(2023年)は素晴らしいミュージカル。原作者も監督も英国人だからディズニーとはちょっと違う。とっても英国ぽくて品がある。6月に「リトルマーメイド」を観たときも思ったけどど、オペラはミュージカルに敵わないね。子供も大人もすべての人をこんなに夢中にさせちゃうんだから。連日テレビをつけると戦争の悲惨なニュースがあふれている今、わたしたちにはこういう作品が必要 . . . 本文を読む
西川美和監督のデビュー作「蛇イチゴ」(2003年)はやっぱさすが。もちろん原案、脚本、監督。よくこんな原案思いつくよ。ダメ親父の平泉成と勘当されたダメ息子の宮迫博之がひっちゃかめっちゃかにする家庭で、ただ1人まともな人間のつみきみほが苦悩するハナシ。かわいそうだけど笑っちゃう。穏やかにエンディングしたけどどうなるんだろ。再生できるのかしら、って余韻が残るのもいい。この3人と大谷直子がホントにう . . . 本文を読む
西川美和監督の「夢売るふたり」(2012年)は板前阿部サダヲと妻松たか子が自分たちの店の開店資金を貯めるために結婚詐欺をはたらくハナシ。阿部寛ならまだしもサダヲ程度の男っぷりでこんなに簡単に女を騙せるのかなぁって最初はちょっと思ったけど。ストーリー展開が多彩、スピーディで面白い。次々登場する田中麗奈、鈴木砂羽、安藤玉恵、木村多江ら個性派女優の演技が楽しめる。最後は捕まっちゃうんんだけど松たか子 . . . 本文を読む
トッド・ヘインズ監督「キャロル」(2016年)はケイト・ブランシェット主演の恋愛映画。ただその恋は女性同士というもので珍しい。舞台は1950年代ニューヨークで、ブランシェットの相手役ルーニー・マーラほか女優たち、街、ホテル、料理、風景などあらゆるものが美しい。わたしたちが憧れていた美しいアメリカがたっぷり溢れている。カンヌで女優賞をとったのはマーラのほうだが、しかし何といってもこれはブランシェ . . . 本文を読む