回顧と夢想(10)1972年の出来事の映像は記憶の中にない

2023-02-09 22:31:00 | 回顧と夢想
1972年のことを書いてみたい。その年3月私は家を出て東京西荻窪のアパートで生活を始めた。4畳半小キッチン共同トイレ。午前中は髙田の馬場の予備校に行って午後は荻窪の図書館で本を借りた。吉本隆明、小田実、埴谷雄高、大杉栄、向坂逸郎、開高健、鶴見俊輔などなど。小さなラジオがあり新聞はとっていたがテレビはなかったのでその年の出来事の映像は私の記憶の中にない。5月沖縄返還、テルアビブ空港乱射事件、6月 . . . 本文を読む

回顧と夢想(9)所得倍増計画と日本列島改造論

2023-02-07 00:29:00 | 回顧と夢想
沢木耕太郎は「危機の宰相」で池田隼人が所得倍増を掲げて総理となった時代、1960年から東京オリンピックの1964年までを描いた。それは私が7歳から11歳、小学1年から5年までにあたる。小学4年のとき後山町の借家から焼山町の持ち家に越し、その頃にはステレオがあった。1955年に始まった高度成長期は1973年までといわれる。それは私が大学に入学した年で、その前年に田中角栄が総理となっていた。田中総 . . . 本文を読む

回顧と夢想(8)60年安保のことは知らなかった

2023-02-04 11:52:00 | 回顧と夢想
20歳になるころ私は日米安保条約の何たるかは知らなかったが、安保があるからアメリカのベトナム戦争に日本は加担するのだと考え、反安保の心情を強めていったのだと思う。そして戦後史を調べはじめた私は、その安保は岸政権が強行採決したものであり、国民の60年安保闘争を弾圧し、樺美智子さんを殺したことなどを知って反安保の思いを強くしていった。だがなぜ60年安保闘争がかくも激しいものになったのか理解してはい . . . 本文を読む

回顧と夢想(7)吉本隆明をめぐる断章ー2

2023-01-30 18:32:00 | 回顧と夢想
吉本隆明全集6巻「憂国の文学者たちに」は二十歳前後に読んだはずだが。吉本はこう書いている。「わたしたちは、現在(1959年のこと)、戦前よりもはるかにふくれあがった独占社会に生活している....このような高度のブルジョワ社会では、文学者はあらゆるものに否定的意志をつらぬくことなしには存在理由をもちえない....わたしはひとりの文学者として安保改訂に反対し抵抗する.......他の憂国の文学者の . . . 本文を読む

回顧と夢想(6)吉本隆明をめぐる断章ー1

2023-01-30 17:14:00 | 回顧と夢想
きょう私の回顧・夢想は吉本隆明に向かった。呉の高校を卒業した私は、西荻窪の下宿で吉本隆明、小田実らを読んでいたから。安田講堂は1969年1月だから私は中3。高校受験でそれどころではなかった。赤軍派のよど号ハイジャックと三島由紀夫事件はその翌年で高1。これはニュースで見たが、赤軍派や三島の信条などは知る由もなく。翌1972年2月の連合赤軍の浅間山荘立てこもりはより鮮明に覚えている。だが高3の私が . . . 本文を読む

回顧と夢想(5)民放連最優秀ドキュメントを見て思ったこと

2023-01-29 12:08:00 | 回顧と夢想
日本民間放送連盟賞テレビ教養番組部門の最優秀賞を受賞したドキュメンタリーを見た。「三つめの庄内~余計者たちの夢の国~」https://www.ybc.co.jp/pressrelease/pressrelease-100850/https://minpo.online/article/2022-12.html山形の庄内から満州の庄内、そして戦後は苦難の末に青森県六ケ所村と、北海道のサロベツ原野 . . . 本文を読む

回顧と夢想(4)宇井純の公害原論や民青のともだち

2023-01-23 18:46:00 | 回顧と夢想
ある日、高校2年のとき同じクラスになった川崎くんから呉湾の汚染の調査に誘われた。宇井純の公害原論を読んだのはその後だったのだろうか。よく覚えてないがそれを機に水俣病のことを知った。その川崎くんが民青に入っていたことはあとで知ったが、そもそも民青が何か当時の私は知らなかったのだが。こんな水俣病をもたらす自民党政権、資本主義ってなんだ。ひどいじゃないか。そんな問題意識が私の中に生まれていった。当時 . . . 本文を読む

回顧と夢想(3)中学生、高校生となって

2023-01-22 20:53:00 | 回顧と夢想
回顧と夢想を1953年からなどと書いたが、理解したいのは私がいつから政治や社会のことをあれこれ考えるようになったのか。左側になったのか。小学生最後の1965年初めてビートルズを聴いて衝撃を受けた。その頃はほとんど新聞も読んでおらず政治の興味などなかった。中学生の私にもまだ政治は無縁だった。60年安保のことは知らなかった。そして高校に入学し私は変わっていったのだ。周りの世界が一変したから。300人の . . . 本文を読む

回顧と夢想(2)1953年からはじめたい

2023-01-20 00:02:00 | 回顧と夢想
私の回顧或いは夢想はやはり1953年からはじめたい。私が生まれた1953年とはどんな時代だったのだろう。日本の社会はどんなふうだったのか。歴史年表などから目に止まるのは、テレビ本放送開始、スターリン死去、吉田内閣とバカヤロー解散、英エリザベス女王戴冠式、朝鮮戦争休戦などなど。でも年表だけでは父や母の暮らしがどんなだったかイメージはわかない。我が家は上畑町の借家だった。ここから私は夢想を膨らませ . . . 本文を読む

回顧と夢想 (1) Turn to Right

2023-01-08 17:34:00 | 回顧と夢想
年末年始に江藤淳の「保守とはなにか」読んでいて、1995年阪神大震災で明らかになったことがあるというくだりに様々な思いが込み上げた。先ずは当然村山内閣のお粗末な危機管理能力だがより本質的なこととして、江藤は皇室と自衛隊の問題を論じた。阪神大震災のあと犠牲者の遺体がまだ埋まっている中で皇太子は神戸の被災者を見舞うことなく中東訪問に出発した。そうさせた宮内庁と外務省はいったい皇室を何だと考えたのか。関 . . . 本文を読む