オリバー・ストーン監督「スノーデン」衝撃は受けたが疑問も。

2024-02-13 15:35:00 | 映画
オリバー・ストーン監督「スノーデン」(2016年)は言うまでもなく元CIA職員エドワード・スノーデンの実話の映画化。アメリカ政府による個人情報監視の実態を暴露するに至った経緯がスリリングに描かれている。衝撃を受けたが、輝かしいキャリアと幸せな人生を捨てて真実を伝えた、あまりにも正義感溢れる高潔な人物として描かれてすぎている気がしないでもない。そして亡命し、ウクライナ侵略以後、超監視社会となった . . . 本文を読む

イーストウッド監督「アメリカン・スナイパー」なんとも痛ましい。

2024-02-13 14:58:00 | 映画
イーストウッド監督「アメリカン・スナイパー」(2014年)は大ヒットしたが、保守派とリベラル派の間では大きな論争が巻き起こったという。ピンとこない。明らかに戦争でPTSDで苦しみ、壊れていく人間の姿を描いた作品で、クリス・カイルをヒーローとしてとらえた保守派のひとたちはどうかしている。それにしてもセラピーをした帰還兵に殺されるなんて、なんて痛ましいんだろう。戦争は本当に人間を破壊する。 . . . 本文を読む

井坂聡監督・役所広司の「象の背中」自分に重ねて観た。

2024-02-06 20:19:00 | 映画
井坂聡監督の「象の背中」(2007年)は、余命僅かといわれた人間が残された時間をどう生きるか、というモチーフ。ありふれてるけど、それでも少し泣いた。役所広司はやっぱりすごかったけど、そのためではなく、70歳になったが故にだろう、自分に重ねてしまうんだなぁ。毎年健診を受けるとき、今回こそ癌だと言われるかもって考える。宣告されたら、おれはどんなふうになっちまうんだろう、って想像する。そういう想像が . . . 本文を読む

「雨あがる」黒澤明の弟子小泉堯史のデビュー作は美しい。

2024-02-06 06:40:00 | 映画
BSが「雨あがる」放映したので観た。これ観てなかったんだなぁ。 2000年黒澤明の弟子小泉堯史のデビュー作。脚本が黒澤明で原作は山本周五郎。ただただ美しい。泣きたくなるほど。こういう日本人の心、外国の人たちわかるのかなぁ。日本が美しい国であるのは、日本人のこういう精神性ゆえ。壊したくない。 . . . 本文を読む

武正晴監督「嘘八百」シリーズ3作は“オーシャンズ”より面白い。

2024-02-02 21:26:00 | 映画
武正晴監督「嘘八百」シリーズの第1作(2018年)、第2作「京町ロワイヤル」(2020年)、第3作「なにわ夢の陣」(2023年)。日本人のわたしには“オーシャンズ”より面白い。コメディでコンゲーム。モダンで洒落れてて、ロマンもある。中井貴一、佐々木蔵之介はすごいし、他のキャストも芸達者ぞろいで。小説が原作かと思ったらそうじゃなくて、今井雅子、足立紳の2人の脚本家が考えたという。でその足立紳はブ . . . 本文を読む

「映画めんたいぴりり」劇場版の1、2とも泣け、富田靖子にぞっこん。

2024-02-02 20:08:00 | 映画
辛子明太子を日本で初めて製造、販売した「ふくや」の創業者・川原俊夫のドラマの劇場版は第1作(2019年)2作(2023年)とも泣けた。川原氏が特許申請せず、惜しげもなく同業者に製造方法を教えたことはずいぶん前に見たドキュメンタリーで知っていた。博多華丸は、ホントにこういう人だったんだろうなぁって思えた。従業員や中洲の人たちの人情に厚さ、優しさにほろっと。でもそんななか、冨田靖子がホントに素敵だ . . . 本文を読む

「間宮兄弟」映画を観たら小説の良さがわかってきた。

2024-01-29 22:58:00 | 映画
「間宮兄弟」を江國香織のベスト1に北上次郎が本の雑誌で、10年ぐらい前だが選んでいた。仲のいい独身兄弟のほのぼのとした日常のハナシで、スラスラ読んだけど、これが江國の1位なのかって思った。で今日、61歳で亡くなった森田芳光監督の2006年の映画を見たら、もうたまらなく面白かった。キャストも信じられないほど豪華で。佐々木蔵之介、塚地武雅、常盤貴子、沢尻エリカ、北川景子、戸田菜穂、岩崎ひろみ、佐藤 . . . 本文を読む

ミア・ハンセン=ラブ監督「それでも私は生きていく」とてもフランス人らしい映画だ

2024-01-27 22:24:00 | 映画
ミア・ハンセン=ラブ監督「それでも私は生きていく」(2022年)はカンヌでヨーロッパ・シネマ・レーベル賞。仕事や子育て、老父の介護に追われる多忙なシングルマザーが、新たな恋に巡り合うハナシ。どこにでもあるモチーフ。日本人監督ならどんなふうに撮ったかなとふと考えた。老人ケア施設の様子はほとんど日本と同じだったが、主人公サンドラと一緒に、20年前に離婚した元妻の母親が再婚した夫と、元夫の面倒をみる . . . 本文を読む

中野量多脚本・監督「湯を沸かすほどの熱い愛」心うたれ、涙し、学んだ。

2024-01-18 18:32:00 | 映画
「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016年)は中野量太の脚本、監督。日本アカデミー6部など数々の受賞は当然だろう。中野量多はたくさん撮っているが、大ヒットしたのはこの作品と、長いお別れ、浅田家、ぐらいのようだ。でもこの作品は傑作。中野量多にとっても、宮沢りえ、にとっても素晴らしい代表作になった。親子、夫婦、家族、病、癌、イジメ、などなどわたしたちの人生に訪れる問題をこの作品は網羅している。それに立 . . . 本文を読む

「劇場版ラジエーションハウス」医療関係の方々の奮闘にグッとくる。

2024-01-18 08:37:00 | 映画
「劇場版ラジエーションハウス」(2022年)はフジテレビのヒットドラマ。原作は横幕 智裕の漫画。この人は“脚本家、漫画原作者、構成作家”ですごいヒット作品多作。監督の鈴木雅之も映画・ドラマのヒット作品たくさん。こういう2人が創るんだからこんなに面白いのは当然か。もともとの漫画は診療放射線技師・窪田正孝と放射線科医・本田翼が活躍するハナシのようだが、映画は2人だけでなく医療関係者の奮闘、情熱、モ . . . 本文を読む

成島出監督「ファミリア」役所広司は偉大な俳優だ。

2024-01-17 19:38:00 | 映画
成島出監督「ファミリア」(2023年)。すごい作品だが、辛いハナシだ。多くのブラジル人移民が済む街でこういう現実があるのだろうか。よくこんな脚本を書けたもんだ。いながききよたか、は多くの映画脚本を書いている。でもほとんど見ていない。監督の成島出、は「八日目の蟬」で賞最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞している。これは観てないが「銀河鉄道の父」は観た。両人ともなかなかの才人だ。でもやはりこれは役所広 . . . 本文を読む

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」アメリカはこういう国であってほしい。

2024-01-15 22:00:00 | 映画
「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」(2015年)は「ローマの休日」など名作を書いた脚本家ダルトン・トランボの伝記。というより、1950年代アメリカのあのマッカーシ赤狩りを告発し、弾圧された多くの芸術家、映画人を讃える映画で、心揺さぶられる。泣いたし、声もでた。最後は拍手した。こういう作品を創れるアメリカ人の力、良識に感動する。アメリカはこういう国であり続けてほしい。わたしたち日本がいろん . . . 本文を読む

山下敦弘監督「1秒先の彼」宮藤官九郎の脚本はさすが。

2024-01-14 15:27:00 | 映画
山下敦弘監督、宮藤官九郎脚本「1秒先の彼」のエンディングは「なんで?」「なんでやろ」。うーん、この映画、なんで?、なんでやろ、ぐっときた。さっすがクドカン。今日はシリアスなものを観たくも読みたくもなかった。昨日アフガニスタンのドキュメンタリー観たからだろう。どんなに優れた映画でも小説でも、続けるには辛すぎるときがある。たっぷり笑えて、どうなるんだろうってワクワクさせられて、えって驚かされて、最 . . . 本文を読む

川和田恵真監督「マイスモールランド」映画の力はすごい。

2024-01-12 23:41:00 | 映画
川和田恵真監督の「マイスモールランド」をやっと観た。やっとのわけは、日本に難民申請しているクルド人家族を描いた作品だと知っていたから。左派系或いは人権派の人たちが日本の入管行政を告発するために作った映画なんだろうと勝手に想像していたのだが。主人公はクルド人の家族とともに故郷を逃れ、幼い頃から日本で育った埼玉の高校生。将来の希望は小学校の先生になることで、大学進学資金を貯めるためコンビニでアルバ . . . 本文を読む

「永い言い訳」映画も小説も今イチオシ西川美和氏の傑作。

2023-12-29 19:37:00 | 映画
今イチオシの西川美和氏、映画作品6作「蛇イチゴ、ゆれる、ディアドクター、夢売るふたり、永い言い訳、すばらしき世界」は全て原作・脚本・監督。これってすごくない? マジすごいって思う。で、「永い言い訳」の映画を観やっと観た。小説とちょっと違うような気がして、観終わってすぐに小説後半をを開いて思い出した。原作は竹原ピストルが風俗店で風俗嬢に首を絞めさせて、苦しくなって突き飛ばして大怪我させて逮捕。で . . . 本文を読む