素晴らしい「亡国のイージス」のあと幾つか手にとったがいずれも読み続けられなく。真山仁「ハゲタカ」(上下)でやっと夢中になれて数日で読了。バブルが爆けて露呈した日本経済の実態。腐り切った政官財の面々。その中でも勇気を持って立ち向かった人々、などなどを描いた。とてもいい小説だった。のだが、「不毛地帯」と「亡国イージス」に比べると少し物足りなかった。登場人物の心の動き、苦悩、葛藤、逡巡などなどが描か . . . 本文を読む
福井晴敏「亡国のイージス」が刊行された1999年の頃、わたしはまだ小説を読んでいたはずだが、そしてこの作品が日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞したこともわかっていただろうに、なぜ読まなかったのだろう。刊行から24年後の今日、さっき下巻を読み終えたばかりだが、この感動をどんなふうに書けばいいのか。こういう圧倒された感じは「不毛地帯」を読み終えた時に似ている。ストー . . . 本文を読む
スケールの大きい、或いは冒険的な、小説をこのところ求めていた。でも「不毛地帯」があまりにもすごかったこともあり、続けて手にとった真保 裕一「ダイスをころがせ」と橘玲「タックスヘイヴン」はなんかもの足らなくて続けて中断。その類のものはちょっといいかと思って、辻村深月に戻って「島はぼくらと」を読みはじめたら中断することもなく読了。グッときた。瀬戸内の架空の島で暮らす4人の高校生をめぐる青春小説なん . . . 本文を読む
山崎豊子「不毛地帯」(全5巻)は1週間で読んだ。3巻を読みながら、どうしたらこんなすごい小説が書けるのか、と書いたが、5巻を読み終えたわたしは圧倒され、想像もできなかったが。図書館で「作家の使命、私の戦後」(山崎豊子自作を語る)を見つけて、それが信じられないないような凄まじい取材を行いながら書かれていったことを知った。連載期間5年、5千枚、登場人物2百名。極寒のシベリア、灼熱のサウジ、イランを . . . 本文を読む
有川浩「空飛ぶ広報室」を読んでから、スケールの大きい小説を読みたいという思いが強くなり、真山仁“ハゲタカ”、西村健“劫火” 、と読んだ。で、そのあと山崎豊子“不毛地帯”を開いて、あっという間に3巻の後半にさしかかってるところだが。これが冒険小説かどうかはわからないが、まじすごいって思う。ドストエフスキーも誰も敵わないだろう。どうしたらこんな小説が書けるのだろう....わたしには想像できない。
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有川浩「空飛ぶ広報室」を読んだために、恋愛ものや家族の葛藤や失意と再生の物語といったものより、スケールの大きい小説を読みたいという思いが俄に強くなった。北上次郎が1983年に書き、1990年に”その後“を追記して文庫化した「冒険小説の時代」をパラパラめくりながら、その自分の変化は当然、必然のことなのだという気がした。それで次に選んだのが、真山仁「コラプティオ」。名前は当然知っていたが読んだこと . . . 本文を読む
有川浩「空跳ぶ広報室」はすごい。泣かずには読めないし、自衛隊、報道のあり方等々の問題について、大いに考えされる。文庫本の「あとがき」、登場人物のモデルの空自幹部による「解説」がこれまたすごい。この傑作小説の“終章”というのがふさわしい。わたしはまだ「阪急電車」しか読んでない上に、読了してから有川さんが女性だと知った程度の読者でしかないのだが、ホントにこの作品に出会えたことは衝撃だったなぁ。さあ . . . 本文を読む
垣根涼介「君たちに明日はない」はリストラ請負会社っていうのがモノ珍しかったのと、リストラをめぐる登場人物のさまざまな人間模様が面白く、あっという間に読了。これ人気シリーズで、NHKで2009年にドラマにもなってる。だけどちょっと考えると、こんな会社あると思えない。なんでこんな作品に山本周五郎賞をあげるのかね?って思うのは私だけかしら。
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桐野夏生の「グロテスク」は東電OL事件に着想したハナシだったがあんまり胸に突き刺さってくる感じじゃなかった。でも重厚で読み応えあって、だいぶ以前に読んだ初期の作品「顔に降りかかる雨」なんかとは変わったんだなと思い、続いて「魂萌え」(2004年)を手にとったら止められずに一気に読んだ。これはすごい作品だ。夫に急死された関口敏子に起こるさまざまなことがホントに衝撃的だけどリアルで身につまされる。た . . . 本文を読む
角田光代さんの“書評本”があることは最近まで知らなかった。「ポケットに物語を入れて」(2014年)、物語の海を泳いで」(2020年)をパラパラめくっているが面白い。いろんな意味ですごい。例えば島本理生「Red」について、「ラストの塔子の決断に、私は驚いた。驚きつつ、ハッとした.........ラストでびっくりしたのは、彼女の決断と私のそれが異なったからだ」と書いている。これにはわたしこそびっく . . . 本文を読む
池井戸潤「下町ロケット」(2010年)は一気に読了。ドラマは阿部寛の2015年、2018年、三上博史の2011年の3作ある。阿部のは見たと思うがもうあまり覚えてない。読みながら佃と阿部のイメージが重なることがあまりなかったが、そのせいというよりも小説の佃がみせる情熱、苦悩、葛藤、逡巡などさまざまな表情が実にリアルで生々しいからだろう。技術者の挫折と再生、先端技術をめぐる企業間の熾烈な争い、大銀 . . . 本文を読む
辻村深月はツナグ、東京會舘とわたし、ハケンアニメ、と読んできてこの「傲慢と善良」がまだ4作目なのに、好きな作家はと訊かれたら辻村さんと答えそうな作家だ。本の紹介文には恋愛ミステリーとあるが、ミステリーを読んでるという感じはないな。一部は真実(マミ)がウソを言っているとは全く考えないで読んでいた。架(カケル)のとろい行動に苛つきながら。二部の架の女友達がストーカーはウソだと見抜いていたという場面 . . . 本文を読む
池井戸潤の半沢直樹を2冊読んだ後に、奥田英朗「最悪」を選んだのは北上次郎がいささか古いが書評で傑作だと書いていたからだ。これは1999年の作品。空中ブランコで2004年に直木賞をとる5年前で、わたしも2000年頃に読んだのだが、あまり印象に残っていない。奥田はこの後に幾つも優れた作品を書いているが、それゆえわたしは読んでいない。ところが小説マイブームにある現在のわたしは、これを読みはじめたら止 . . . 本文を読む
「オレたちバブル入行組」(2004年)を一気に読んだ私は、その日のうちにシリーズ2作目「オレたち花のバブル組」(2008年)を開き、たちまち読了してしまった。いやぁ、なんて面白いんだろう。理不尽な上司、組織の壁、努力が認めてもらえない虚しさなどなどサラリーマンなら誰もが経験したようなことに読者は身につまされ。そして自分にはできなかったような見事なリベンジをやってのけるヒーローに溜飲を下げたのだ . . . 本文を読む
池井戸潤の小説を初めて読んだ。「オレたちバブル入行組」(2004年)。 半沢直樹の“倍返し”は知っていた。TBSドラマをときどき見ていたのだろう。池井戸原作のTBSドラマって、と検索したら、ハヤブサ消防団、半沢直樹、下町ロケット、陸王、七つの会議、民王、アキラとあきら、シャイロックの子供たち。すごい。下町ロケット以降は全部見ている。昨日「オレたち」を読み始めて止まらなかった。文句なしに面白い。 . . . 本文を読む