goo blog サービス終了のお知らせ 

[2022年以後] ぼくらの時代、ぼくらの祖国

2022年以後、戦争で一変した世界、政治、映画や文学などについて書いてます。

奥田英朗「最悪」小説の映画やドラマに比べた優位性って⁉️

2023-07-19 06:32:00 | 小説
池井戸潤の半沢直樹を2冊読んだ後に、奥田英朗「最悪」を選んだのは北上次郎がいささか古いが書評で傑作だと書いていたからだ。
これは1999年の作品。空中ブランコで2004年に直木賞をとる5年前で、わたしも2000年頃に読んだのだが、あまり印象に残っていない。奥田はこの後に幾つも優れた作品を書いているが、それゆえわたしは読んでいない。

ところが小説マイブームにある現在のわたしは、これを読みはじめたら止められなかった。
池上冬樹は文庫本の解説で、これが画期的な群像劇だということ、小説が映画やドラマに比べて優位性を発揮する心理描写を徹底的に駆使していることを激賞している。
もっともこの解説も2002年でいささか古いもので、小説は映画にも漫画にも負けないものより優れたもの、と池上のように断言することはできないが。
でも“半沢直樹”や“ハケンアニメ”を読んだとき、登場人物たちの心理展開のディテールによって、小説はドラマや映画よりもはるかにリアリティがあると思った。
そして20年前のわたしは、この「最悪」を今回ほど夢中で読まなかった、心理描写にすごいリアリティを感じなかったのだと認識をした。
今のわたしは、小説を以前よりずっと楽しめるようになった、深く味わえるようになったのだと思う。










最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。