島本さんの作品はファーストラブ、Red、イノセント、と読んできた。ファーストラブは面白かったわかりやすかったが、Redは官能小説のような濃厚な描写が強烈すぎて、ってところがあった。イノセントも読んだら、この人は恋愛小説しか書かないのかなぁ、もういいか、ってちょっと思ったり。この作品は読みはじめたら、恋愛小説じゃなく、たちまち引き込まれて止まらなくなり、1日で読了。面白かったけど、わかったのと訊 . . . 本文を読む
台湾に新幹線が開通するまでの7年間。登場人物たちの仕事、家庭、恋愛などさまざまなできごとが描かれる。吉田修一は「横道世之介(まだ途中まで)」しか読んだことがなかったが、硬派で、すごい才能の持ち主なのだな。それとまだ行ったことのない台湾に早く行ってみたいという気持ちが昂まった。
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よくわからないハナシなのだが読むのを止められずにいっきに読了。あとがき、岡田幸四郎の文庫本解説も面白い。読書レーダーで何人かの感想をみたら、わからないってコメントが多かったけど、何人かの人はわかろうとせずに、こんなふうに楽しんだって書いていて、ほっとした。よく思うわからないけど自分の青春に重ねたり、彼らの会話にグッときたり、卒業のところは切なくなったり。そんなふうに楽しみました。いつかまた再読 . . . 本文を読む
10年以上ほとんど小説を読んでいなかったのが、この春から再び読むようになった。そのきっかけになった又吉直樹、ハン・ガン、荻原浩、角田光代らの作品を読んだあと、自分に小説がなぜ必要になったか、みたいにブログなどに書いた。絶望や深い悲しみを乗り越えようとする人から学んだ共感した。やりたいことや生きる意味を求めて苦闘する人が何かを見つけることに感動した力をもらった。そんなふうに。でもこの頃それもちょ . . . 本文を読む
島本理生の「ファーストラブ」。机上に積んだ何冊かをパラパラめくっていたが、この作品は2、3頁で引きこまれて手放せなかった。女子大生が包丁で父親を刺殺した事件について、ノンフィクションの執筆を依頼された臨床心理士が、弁護士と相談しながら女子大生と面会を重ね、事件の真相を明らかにしていくハナシ。この女子大生が健全な精神を育むことができなかった性的虐待、歪んだ家庭環境や夫婦関係がしだいに明らかになっ . . . 本文を読む
西加奈子「Iアイ」を読んだのは又吉直樹の影響だが、50頁くらいまではさほど引き込まれることもなく、不思議な小説だなぁと。でも最後の50頁くらいは気が急いた。同時多発テロ、東日本大震災、シリア内戦等々実際に世界で起こった悲劇、大惨事が語られる。そういう地獄のような世界に生きている人々のことを、豊かなこちら側でぬくぬくと生きている人間が憂う、思いやる。それって欺瞞じゃないかと登場人物たちは思う、悩 . . . 本文を読む
おとといは机上に積んである小説から1冊手にとっては2、3頁を読んで戻し、別の作品に代えて数頁読み、また別の作品にといったことを繰り返していたが。昨日になって角田光代「対岸の彼女」を手放せなくなって読了。そうさせたのは、勿論この作品の持つ力、質には違いないのだが、いまの私がこのような作品を必要としている状態、心境にあるから。そう言うのが当たっている。子育てや夫婦関係に疲れ何のために生きているのか . . . 本文を読む
ソウルから帰ってまだ2週間も経っていない。先週私はチョ・ナムジュ氏の「82年生まれ、キム・ジヨン」を読んだ。小説をほとんど読まなくなっていた私がたちまち読了し、小説を古典ではない現代文学を読む面白さがわかったような気がする、と書いた。そして続けて李箱(イ・サン)文学賞を受賞したハン・ガンの「菜食主義者」を読んだ。男尊女卑で封建的な家庭、韓国社会の中で育ち生きてきたヨンヘが心を病み、菜食主義者となる . . . 本文を読む
チョ・ナムジュ氏の「82年生まれ、キム・ジヨン」は韓国で販売数130万部を超えるベストセラー小説だ。82年生まれのキム・ジヨンが受験、就職、結婚、育児を経て精神を崩壊させていくハナシは作家自身の半生でもあり、女性を抑圧し苦しめてきた韓国の風土、社会構造、人々の意識をナムジュ氏はリアルに描き、告発している。「あとがき」でナムジュ氏はジヨンには正当な補償、応援、多様な機会、選択肢が与えられるべきだった . . . 本文を読む