親展【TITLE】@第一便
土手の
手すりにつかまり、
茫然としながら
風の音を聴いていると、
【続・立腹帖】
人間の姿がよく見えた。
みながみな
で、
すれ違うひとびとは
行き交うひとびとであり、
過ぎた。
河川敷とは
反対側、
つまり、
陸地側の、
土手の
手すりに
つかまり、
その外側で
しがみついていると、
さまざまな
ひとびとの、
さまざまな
反応が見られた。
反応は、
ひとそれぞれであった。
空を見上げていたら、
「あなた、ここで、何をしてるの?」
訊ねて来た、
くそばばあ。
勿論、
思いっきり、
シカトした。
また、
一日中、
こうしていると、
ありとあらゆる
光景に遭遇する。
現実では、
考えられないような
場面に する。
その日は、
夜中にも拘わらず、
小学生が
土手に
大勢やって来て、
遊んでいた。
何事の騒ぎか?
訊ねようとした、
保護者らしき女は
アスファルトに
直戴正座
をしていて、
独言(DOKUGON)のような、
読経(DOHKKYOW)のような、
祝詞(NORITO)のような、
ものを上げていて、
子供らは
一心不乱に、
互いを弄び、
ながら、
をして、
影もないのに
影踏みのような
遊びをしていた。
子供らは
終始無言であったが、
みな、
聴くでもなし、
聴かないでもなし、
女の上げる
狼煙のような
に対して、
確かに、
耳を傾けていた。
【大晦日の床屋】
オレは意を決して、
この騒ぎは、
果たして一体、
何なのか?
突き止めようと、
眼の前にいた
女の肩に手を触れると、
コテッと、
女は横向きに倒れ、
子供たちが
一斉に、
こちらに向かって
振り向くと、
全員、
消えてなくなった。
既に、
夜は明けていて、
土手の上から見下ろすと、
視界を
遮るものは何もなかった。
眼下に拡がる
舗道を見下ろし、
行き交う少女たち。
ポケットからこぼれ、
小銭の落ちる音が響き渡り、
オレをあざけ笑う声が
鳴り響く。
くそばばあを
無視したことに
後悔はない。
反省むしていない。
信念を貫き、
無視をしたのだから。
会釈を、
したり、
されたり、
声こそ、
掛けたり、
掛けられたり、
言葉を、
交わしたり、
交わされたり、
しはしないものの、
無言ですれ違うことに
意義がある。
ここに
オレが
いるだけで、
救いになるだけでなく、
救われることもある。
決して無駄ではない。
いつかは
地上に降り立ち、
歩き出すことが
出来るだろうか?
しかし、
一生
ここにいられると
思ったら
楽になる。
総てを
あきらめれば、
になれる。
※ 痴者註;【】内は、内田百鬼園先生の作品名、その上部数行はその作品内からパクった快感フレーズ。
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