こういう時の一週間はあっという間である。
整形外科へ診察へ行ったのが月曜日の朝一番。
緊急手術が必要と診断を受けて、一旦着替えを
取りに帰ってから、即入院となった。
火曜の13時に手術の時間が決まった。
僕が水曜日には日本へ行きたいと言ったものだから、
病院側はそのための最善の方法を取ってくれていた。
生まれて初めての手術をドイツで受けることになるとは。。。
火曜日は朝から何も食べても飲んでもいけませんと言われ、
ひもじい思いをしていた。前日の夕食も、病院食なので
18時には食べ終わっていたからだ。ポットの水も、
夜中のうちに飲み干してしまい、喉がカラカラのまま
午前中を過ごした。
13時少し前に呼ばれて、ベッドごと手術の準備室へ
運ばれた。
前日の問診で、"Sleeping or ???, during operation?"
と、聞かれていたので、部分麻酔か全身麻酔のことだと
予想して、迷わず、"Sleeping" と答えた。
血を見るのが大の苦手なので、部分麻酔で、作業を
見られるだけで気絶しそうだと思った。
手術用のベッドに乗せかえられて、何やら計器を左腕や
胸に取り付けられた。心拍数や血圧を測るものだろう。
左手の甲には、点滴も付けられた。
手術室に入ると、テレビドラマそのままの状況だった。
その中心に自分がいることが、そのときにも把握できなかった。
点滴の液体を別のものに付け替えられた。
『酸素が出ます。吸って下さい。』と言われて、
深呼吸した。同時に、その液体が左腕から身体へと
流れていて、左腕が痺れてきた。そして、気が遠くなった。
次に意識が戻った時には、病院のベッドの上だった。
時計を見ると、16時半だった。3時間以上の手術だったようだ。
右腕は、二の腕から爪の先まで血か赤チンで真っ赤だった。
痛みはなかった。
まだ、麻酔が効いているのだろう。
右腕は手術口からパイプが出ていて、ボトルへつながっていた。
出血の血を受け取るものだろう。ドス黒い血が100ccくらい
溜まっていた。左手は点滴がつながっていて、身動きが取れなかった。
今日一日、動いてはいけません、と言われて、トイレに行くには
尿瓶を用意されていた。
夕食が出されたが、座った途端に立ちくらみがして、
食欲が出なかった。ヨーグルトとスープだけ食べて、横になった。
看護士が血圧と体温を測りにきた。
血圧は、80と55だった。「低いわね。これは通常なの?」
と、聞かれたから、「寝起きはいつもこのくらいだよ。」と、言ったら
笑っていた。深い眠りだったものなぁ。
「ちゃんと食べないとだめだよ。」と、言われて、ベッドの背もたれを
引き起こされた。
1/3くらいがんばって食べたけれど、やはりくらくらしていて、
それ以上は食べるのをやめた。
夜になって、消灯後、麻酔が切れたのか、右ひじがじくじくと
痛むようになってきた。痛み止めの飲み薬が出ていたので、
それをグイッと一気に飲んだ。
しばらくして、痛みが引いていくのがわかった。
ものすごいきつい薬なのだと思った。
それでも、手術した右ひじの違和感が気になって、
30分ごとに目が覚めていた。
水曜日の朝、目覚めても寝たのか起きたのかよくわからない
ような感じだった。8時に診察があると言われ、言ってきた。
手術跡のパイプを引き抜かれ、腕を固定するベルトを受け取って
「今から、飛行機に乗れるね。レントゲンをCD-ROMに入れたから、
日本に着いたらすぐ病院に行くように。」と、言われた。
「フライトはキャンセルしました。ここで治療に専念させてください。」
と、お願いした。
「明日の12時半にもう一度ここに来なさい」と、言われた。
身体は、手術が終わった後のままだし、着替えもない、
髪の毛も気持ち悪い。入院が長引くのならば、もっと持ってくれば
よかった。文庫本も読み切ってしまった。
明日は一旦家に帰ることをお願いしてみよう。
そして、この夜から、右手がむくみだした。
手のひらがグローブのように倍ぐらいの厚さに膨らんでいる。
今度は、手術口よりも、右手のむくみで眠れなくなった。
何度も、何度も夜中に目が覚めた。
指もハムみたいになってしまって、曲げられなくなっていた。
木曜日の朝に、執刀した先生が問診にやってきて、
むくみを見てもらった。通常はむくむけれど、むくみがひどいと言われた。
3,4日入院して様子を見たほうがいいt言われた。
家族も日本に帰国していて、自分自身も元々休暇で
日本にいるつもりだったから、了解した。
そして着替えを取りに帰りたいと言って、了解をもらえた。
昨日言われたとおり、12時半にもう一度診察へ行って、
もう一度、同じ先生と話をした。手術前の骨の状態と、
手術後の骨の状態をはじめてちゃんと見させてもらった。
ひじの皿の骨が、2cmもずれていた。
それを2本のピンで元の骨とつなげて、裏側を8の字型にワイヤを回して
補強しているのだそうだ。
そこまでひどいとはまったく思わなかった。
とにかく今は、直すしかなく、早く職場復帰できるようになりたい。
職場や取引先や家族にすっかり心配や迷惑を掛けてしまったし、
してしまっている。
医師からは、月曜日まで入院して様子を見ましょうと言われたので
了解した。
そして、職場や上司に連絡を入れて、着替えを取りに一旦帰宅した。