僕のグループと先輩のグループが上手く仕事が回るようになって、
同じ課にいるから、共同で仕事をすることが多く、
グループ内のメンバーの交流も活発になってきた。
たまにみんなで居酒屋でお酒を飲んで大騒ぎをしたりもした。
夏休みが明けた直後、部長に呼ばれて、
イギリス行きを告げられた。
すぐに家に帰ってパートナーには相談したけれど、
あまりに急なことで、パートナーも戸惑っていた。
もちろん、僕もどうすればいいのか、決断できずにいた。
その週末の土曜日、その先輩と二人で休日出勤をしていた。
先輩に訊いてみた。
”この間、イギリス赴任を部長に言われたよ。
元々、海外赴任を希望していたのだけれど、
イギリスは希望していた場所ではないし、
仕事もがらりと変わるから、正直、どうしようか迷っているんです。”
と。
そしたら、先輩は、
”海外を希望してたんでしょ?行くなら今だよ。
来年、お前のグループの仕事は今の俺達みたいに本当に忙しくなる。
そんな時期に誰も行かせてくれないよ。行くなら、今だよ。”
”でも、お前が抜けたら、来年は、忙しくなるなぁ。。”
去年の始めに、仕事が忙しくて、うつ病になりかけたというのに、
僕が抜けたら、一番被害を被るのは自分だというのに。
また、病気になるかも知れないと思うと、不安にもなるだろうに。。
一言めに、”行って来いよ。”って、言ってくれた先輩。
僕は、その一言で、ここに来ることを決断したようなものだった。
今まで、自分のおかれた立場の中で、自分の出来る限りのことをやってきた。
初めて、自分のやりたいこと、やってみたいことを通してみようと思った。
ちょうど一年前。
50人近く集まった、僕の壮行会の幹事を引き受けてくれて、
最後に、みんなの前で、ぼろぼろ涙を流しながら、
”あの時は、本当に助かったんだよ。
困ったことがあればいつでも言えばいいから。”
と、僕がいっしょに仕事をしていたときに先輩にいつも言っていた言葉を、
逆に貰った。
イギリスに来てからも、時々、メールが送られてきて、
”疲れてるみたいだけれど、大丈夫?”と、連絡が来る。
辛いとき、自分の力のなさを痛感したとき、悲しいとき、
いつも、そのことを思い出す。
そして、もうちょっと頑張ってみようかなと、奮い立たせる。