4月10日、土曜日。
若干気温は肌寒く感じられるものの、天候は至って良好。
すっきりと目覚めた笑子と津菜は、身支度を整えるとマンションを後にした。
笑子の可愛いおだんご頭が、今日の穏やかな日差しによく似合う。
お昼は笹塚在住の友人、里実とランチをとることになっている。
昨日大いに愉しいひとときを過ごしたバーEの前を通り、駅へと向かう。
予定していた時刻より若干の遅れはあったものの、無事に里実と再会を果たした。
「久しぶり~!! でもないね☆」
そう、里実とも2か月ぶりだった。今年2回目やった。
6つ下の里実と出会った頃、彼女はまだティーンエイジャーだった。
しばらく会えなかった数年のうちにめっきり女らしくなり、
相変わらず透き通るような白い肌に凛とした目元。まったく相変わらずかわいらしい。
CHIANTI-DUEで思い思いのランチメニューをオーダーして一息。
ここのドレッシングがうまうまだと聞いており、嫌が応にも津菜の期待は高まる。
果たして、件のドレッシングがかけられたサラダが運ばれてきた。
うまっ!!
某アイドルタレントの野郎が番組収録中にここのドレッシングが大変美味しいと
言ったものだから人気に火が点いて、今ではドレッシングのみを買い求めることは困難だとか。
それにしてもこのドレッシング、何が入っているのかしらねと3人で
ああでもない、こうでもないと軽く討論するうちにメインの品も次々と登場。
うん、旨し!
オーダーした焼きカレーをぺろりと平らげ、笑子のパスタと鶏肉のグリルにも
ちょっかいを出し満足げな表情の津菜。帰郷して体重計に乗れば、さぞかし
またいつもの悲鳴を上げることになるだろう。
キャンティを出て、最近引越しした里実のマンションでお茶をしようということになり
おじゃました部屋のかわいさ!
あれ何て言うんでしょうか、バーのカウンターのようなものまである!素敵。
里実が買っていたパンをおやつにいただきながら、フレッシュな香りと色が目にも楽しい
ハーブティーでまったりと過ごす。
ここで津菜は胃腸に良いというマヌカはちみつなるものを知る。ひとくち賞味させてもらうと
軽いクセがあるものの、それを補って余りある上品な甘味がプーさんの如く
壷に入れて持ち歩きたくなる衝動を起こさせる。
やがて里実が夕方から仕事が入っているためマンションを出て、
リリー・フランキー著の東京タワーに出ていた笹塚ボウル前で記念撮影し、
また来年ねとしばしの別れを惜しみつつ電車を降りる。
夜は相模原在住の友人、良子を訪ねる予定だ。
しばらく時間があるので、久しぶりに下北へ行ってみようという笑子の提案に
一も二もなく賛成する。
懐かしい・・・
かつて笑子が住んでいた頃に数回遊びに来たことがあったが、ここ数年は
東京に来ることがあってもとんと御無沙汰だった。
見覚えのある街並みに自然と気分も浮き立つ。
笑子と里実がいたく気に入っている洋品店が下北にもあるとのことで、早速そこへ向かう。
marble SUD。
目がハートになる。
「かーわーいーい~!!」を連発、ストールを巻き、Tシャツをあわせ、バッグを持ち、
買おうか買うまいかではなくどの色にしようかと迷う2人。
合言葉は「独身最後だから」。
津菜などは自分へのご褒美的なものに値する労働とは近頃無縁のくせに、それでも
そこは女心でかわいいものには敵わない。
小1時間後、ウハウハで店をあとにして頃合の電車へ乗り込む。
行き先は相模原。ここも津菜にとっては未開の地である。
駅で待ち合わせた良子に
「久しぶり~!! 正月ぶり?」
年末年始に帰郷していた良子とは3か月ぶりだ。
良子の好きな店で乾杯としゃれこむ予定だったが、聞けば会社に財布をまるごと
忘れてきてしまい文無しだとか。
だったら家でも全然いんじゃね?とアッサリ予定変更、津菜が腕によりをかけて
特製お好み焼きを作ることを声高に宣言。
大層な事を言ったが何のことはない、
オタフクのお好み焼きセットの出番である。
しかし侮ることなかれ、これが割とうまい。春キャベツもたっぷり入れてふわふわだ。うまっ。
一息ついたところで、笑子が「このへんに銭湯ってある?」と良子に尋ねたところ
歩いてすぐのところに中々立派なものがあるという。
よし、せっかく来たのだから夜の相模原を満喫しようぜ!と夜の相模原の街へ。
5分程のところに青い海と椰子の木をバックに「welcome to refresh resort」と書いてある
看板が立っている。すかさずその前で写真を撮り、ビール買って先帰って飲んでるからという
良子と分かれて笑子と津菜は館内へと足を踏み入れた。
ジムや宿泊施設等も併設されており1日いても楽しめそうである。
が今回は入浴だけ、リーズナブルな料金で利用できないものかと期待したが意外と高い。
いまひとつ納得しかねるものの、かといって今更引き返すわけにもいかず先へと進む。
10階には露天風呂も設えてあり、時間帯もよかったのか貸切状態なのをいいことに
「地元の方言丸出しでおばはんトークごっこ」を存分に楽しむ笑子と津菜。
しかしその途中で重大な事実にふと気づくのである、「おばちゃんのしゃべり方って楽」・・・
最早年齢からしても違和感がない。やけにしっくりくるのである。
そりゃわたしたちも歳とったもんね、とまたひとしきり笑いあう。
いいのだ、これで。
おばはんになってもばあさんになっても、笑いあう友がいてくれるという事。
すっかりリフレッシュ&リラックスして良子の部屋に戻った笑子と津菜が
ただいま~、と声をかけるが返事がない。
日中、仕事だった良子はアルコールも手伝ってか気持ちよさそうに寝入っていたが
しばらくすると目を覚まし、小腹がすいたわねえとガスコンロに火を点ける。
餃子をほおばり、再びガールズトークに花を咲かせるうちに1人、また1人と
心地よい眠りに落ちてゆく。
来てよかったなあ。
睡魔と言うがあれは魔じゃなくて天だな、睡天、とよく分からないことを思いついたところで
津菜の意識は途切
・・・・・
はい、今日はこのへんでおやすみなさーい