
シャーロット・アームストロングです。
この作品は本当にハートウォーミング。。まるで童話のようなミステリーです。
若くて病弱なローズマリーは暴君だった父親と死別し、天涯孤独になります。
そんなローズマリーの今後を心配したギブソン氏は何かと世話を焼くようになり、
二人は自然な流れで結婚します。その年齢差、23歳。。
お互い、口に出せない心の葛藤が前半部分を占めていて、
毒薬を手にして自殺を決意するギブソン氏の心情が絶妙です。
そして、自分の心の彷徨うままにボ~っとしていたギブソン氏は、
毒薬を入れた小壜をどこかに置き忘れてしまうのです。
他人がそれを間違って飲んで死亡することを恐れ、妻に全てを明かし
小壜探しをする後半は、かなりスピーディーな展開で物凄く面白いです。。
結構感動的だったりするのです。
ちょっと余談ですが、小学校1年生の時だったと記憶していますが
先生が家庭訪問を行う為に、クラスの全員と一緒に学校からスタートして
近い家から順番に周ったんですね。
で、先生に生徒が、自分の家が近づいたら「ここです。」って
教える事になってたのですが・・・
今じゃ考えられないくらい内気だった私は、比較的近くの家だったにも拘らず
「ここです!」ってどうしても言えず・・・
最後の最後までみんなの家を一緒に周って歩く羽目に陥り・・・
最後まで残ってしまった私に、先生が
「あら、こんな近くだったんじゃない。なんで言わなかったの?」
ってびっくりして聞いてきましたが・・・言えなかったのです。。
人って、何かをするのもしないのも、その行動の裏には
必ず理由があるものですよね。
それを人は、自分の立場から推測したり誤解するものだけど、
実際は全然違う理由だったりして・・・。
この作品を読みながら・・・なんとなくそんな事もぼんやり思い出して
妙に考えされられました。
なんでこんな事を思い出したかというと、人が段々減っていった
私の経験とは反対に、この作品では段々人が増えていくからです。。
ま~そんな事はどうでもいいハナシなのですが・・・
毒薬の入った小壜を探して、その日一日のギブソン氏の道程を辿って
警察官とギブソン氏&妻のローズマリー、そして近所に住む科学者ポールが
聞き込みをしつつ、状況を説明しつつ、その日の行動を遡っていく・・・。
「しっかりするんです」「結果は今から分かりゃしませんよ。―――」
「私も何かお役に立てないかしら」
「あの人はやさしい人よ」「―――私たちは助けてあげられないの?―――」
この作品に悪人、悪意は皆無と言って過言ではありません。
事情を聞いた人達が、それぞれの理由から毒薬探しに同行し
段々人が増えていく・・・。
時には励まし、時には絶望し、ちょっとしたロマンスがあったりして・・・
こんなにも人の心は暖かいものなのか、と感動つつ
でも刻一刻と時間は無情に過ぎていく・・・。
このなんともいえない緊迫感!凄いです~。。
サスペンスの女王と言われたアームストロングならでは・・・ですね。
1959年度のアメリカ・ミステリ作家協会(MWA)最優秀長編賞受賞作・・・
嫌な事件が多い昨今・・・たまにはこんな素敵なミステリーに浸るのも
必要かも知れませんヨ
素材提供:IKOI