
D・L・セイヤーズです。
このシリーズは本当に大好きで、前半の作品では『雲なす証言』がお気に入りかな。
ピーター卿のやんちゃぶりといい、バンターの忠義一徹の従僕ぶりといい
ちょっぴりコミカルでセイヤーズ女史が心から楽しんで創作している様子が窺えて
気楽な気持ちで読める作品です。
ラストの裁判における大衆の喝采シーンは特に好きっ
そして後期の作品では断然『学寮祭の夜』がマイ・ベストです
七百ページとかなり厚いうえ、独特の文体ですが、
慣れればとても読みやすい作品です。
シリーズの最初から読んだ方がラストの感動はひとしおですが、
多少の事情を知っていればこの作品だけでも充分楽しめます。
この作品はシリーズ作品中、唯一(?)ピーター卿の恋人ハリエットが主人公です。
前作までに、ハリエットが殺人の濡れ衣を着せられて裁判にかけられ、
有罪判決で絞首刑になるところを、ピーター卿が素晴らしい推理力を発揮して
見事無実を勝ち取り命を救った、といういきさつがあります。
で、この衝撃の出会いを通してピーター卿はハリエットに恋してしまい、
プロポーズを繰り返しますが、ハリエットの微妙な女心・・・
どうしても負い目を感じてプロポーズを受ける事が出来ないのです。
この作品では、思い悩んだハリエットが母校・オクスフォードに篭り、
作家としての執筆作業に専念しがてら、オクスフォード内で頻発している
怪事件の解決に一役買いつつ、気持ちの整理をつけようとするのです。
最終的には同じオクスフォード出身だったピーター卿が乗り出して
見事な事件解決に導くのですが、思いがけない犯人の実態、本音。。
かなり考えされられました。
この作品全体の雰囲気は、英国の古き良き時代そのもので、重厚で美しいです。
知的な会話がなんとも小気味良く、う~む。。と思わず唸ってしまいます。
みなさん頭が良いだけに、辛らつな言葉の投げあいはかなりエグイですけど。。
ピーター卿のピアノ伴奏で、ハリエットと二人でデュエットをするシーンや
ボートで二人乗りをし、様々な事を語らうシーンなんてとても風情があって素敵です。
そしてオクスフォードにおける最後の夜の演奏会シーン―――
連れは(ピーター卿の事)本物の音楽家が本物の音楽を聴く時の常で、
身じろぎもせず孤高をまとっている。
ハリエットもそれなりに音楽家だったので、この近寄りがたさを尊重した。
―――ハリエット自身、音を多少は頭で読み取り、
旋律の縒り合わされた鎖の環を一つづつ、苦労してほぐしていくだけの
知識がある。ピーターなら、入り組んだ形の全体像を
聴き取ることができるに違いない。どの部分も別個に、しかも同時に。
それぞれが独立していながら対等、分離していながら分かちがたく、
上に下に中に移動して、知と情の両方を魅惑していく。
この文章・・・ピーター卿とハリエットの関係を如実に現わしてますね。。
なんとも風情があって素敵な文章じゃありません?^^
でもなんてったってラスト・・・モードリン橋でのプロポーズシーンは・・・
う~ん。。も~最高
セイヤーズの作品は『ナイン・テイラーズ』も有名ですね~
せわしない毎日のたまの息抜きに、オクスフォードの重厚な雰囲気に
どっぷりと浸ってみるのも気持ちいいですヨ~。。
素材提供:Pari’s Wind
ハリエットが推理小説のプロットと人間描写の矛盾に悩むシーンがあったかと思いますけど、セイヤーズ自身の推理小説に対する問題意識がうかがえ、興味深かったです。
ハリエットが登場する『毒を食らわば』『死体をどうぞ』も、わたしのお気に入りです。実際には、このシリーズはどれも、作者のチャレンジ精神があふれていて、甲乙つけがたいのですけどね。
☆すいません、前のコメントにタイプミス・変換ミスが目立つので訂正しました。お手数ですけど、前のは削除したください。
このシリーズはどれも良いですよね~
そうそう。。チャレンジ精神が溢れてますね。
ピーター卿は作者の理想なのでしょうね。
最初・・・ピーター卿のファンとしては
ハリエットの登場はあまり歓迎していなかったのですが(笑)
「学寮祭の夜」でやっと許してあげました^^
(お前はピーター卿のなんなんだ?なんて言わないで~><)
こんな素敵な男性は本の中でしか出会えないのが残念だけど。。
今度順番どおり読むつもり
いつになるかは、聞かないで(笑)
セイヤーズ。。。いいわあ♪
英国ミステリーの女性作家というとどうしてもクリスティに軍配が挙がっちゃうけど
私は断然セイヤーズ派
「学寮祭の夜」は絶品ですもの。
もえちゃんが気に入ってくれて本当に嬉しいわぁ。。
ピーター・ウィムジー検索でたどり着きました。
卿とバンターのファン仲間です。
ハリエットとピーターが結婚して七年後のようすを描いた
最終作「Talboys」を訳してみましたので、もしよかったら
下記のサイトでご一読ください☆
http://createit.blog.fc2.com/blog-entry-1.html
はなしのかんづめ
もとの本はPerennial社刊の短編集/全編収録、です。
密林でポチり1,000円ちょいでした。ちなみにセイヤーズの
著作権は切れてる~誰でも訳出していいもようです。