物欲大王

忘れないために。

三島由紀夫「不道徳教育講座」

2012年11月12日 09時21分23秒 | 読書、書評
我が国の行く末を憂い、自衛隊の駐屯地で演説後自殺した三島由紀夫。
著作を読んだ事が無かったので、只の「堅い人」という印象しか無かった。

書店で見かけた本書。風呂敷で包んだ様な装丁が印象的で、
しかもタイトルは「不道徳教育講座」とある。
持っていた印象と正反対のタイトル。
思わず手に取り、購入をした。

「真っ直ぐな心を持ち、正しく生きろ」と教えられた少年時代。
桃李成蹊を座右の銘とし、綺麗な心を持ち続けていたいと思うが、
著者はそんな道徳観を真っ向から否定する。

人間が本来持っているであろう、「悪意」の奨励。
入ってはいけない「裏口」からのアプローチで、
「生きている意味」を問いただす鋭い内容。

善人を装い、取り繕って生きるよりも
悪意に忠実で、毒を吐いた方が
健康的で正直な人間なのかもしれない。