物欲大王

忘れないために。

12月22日 Kバレエカンパニー「くるみ割り人形」

2007年12月23日 16時50分15秒 | クラシック
 行ってきました!
毎年恒例、Kバレエカンパニーの「くるみ割り人形」。
会場が上野の東京文化会館なので、ロボット博を鑑賞してからの会場入り。

 主要キャストは以下の通り。
ドロッセルマイヤー スチュアート・キャシディ
マリー姫 荒井裕子
くるみ割り人形・王子 清水健太

 夜の公演だったので、指揮者はマエストロ井田では無かったのが残念。
ベテラン「ドン福田」の「まとめあげる指揮」には脱帽。
演奏としては80%の評価。理由は前日にゲルギエフ版の「白鳥」を観てしまったから。
プレイヤーそれぞれのレベルは着実に上達しているので、さらなるレベルアップを期待しよう。
 Kバレエのくるみ割り人形は贅の極みを尽くしたセットが魅力。
幕が開いた瞬間から夢の世界に招かれてしまった。
妥協を許さない拘りで、観る者全てが現実を忘れてしまうステージだった。
この拘りは「どんな大人でも子供に帰る事が出来る」ディズニーランドに通ずる物があると思ったのは私だけだろうか?
 
 振り付けは「一切の妥協を許さない」という姿勢が窺えた。
つ~か、レベル高すぎて驚いたのだが、その要求に応えキッチリと踊るダンサーの上達ぶりに感動した。

 演出も昨年に比べ細部にわたり手が加えられていた。
パーティでとある紳士が呑みすぎて、フラフラになってしまうシーンなど、細かいスパイスを入れてくる余裕が出てきたのは熊川哲也自身の怪我の功名だろう。
2幕の最初に「花のワルツ」を持ってくるなど、大胆な演出をする熊川版なのだが、今回はさらに驚かされた。

それは、クララがくるみを割るシーンでの事。
くるみが割れ、驚いているクララの後ろに立つ王子役の清水健太。
な、なんとフェッテの準備をしている。
「そこにフェッテを入れてくるか!?」と私。
思わず
おお!すげぇ!
と叫んでしまいました。
しかもかなり大声。
うぁ。恥ずかしい。
フェッテで回っている時ならまだしも……
しかも「ブラボー」ならまだましだったが、「おお!すげぇ!」。
歌舞伎でも言わないよ。
ということで、みなさん申し訳ありませんでした。
もうね。顔真っ赤。

あのシーンで「なんか変な奴がいる」と思ったそこのあなた。
私は「くるみが割れて驚いた」のではなく、
その直後にフェッテを入れてくるという
熊川の演出に
驚いたのです。あしからず。

 Kバレエの公演を5年前位から見続けているが、熊川哲也が怪我をしてからの成長ぶりには目を見張るものがある。
海外では1つのカンパニーに「主役を任せられる」男性ダンサーが沢山居るのだが、今までのKバレエには熊川1人しか居なかった。
正直、「熊川が踊れなくなったこのカンパニーはどうなってしまうのだろう?」という不安があったのだが、特に今回の公演を観てそれが払拭された。 
 前回の白鳥での好演がきっかけで、プリンシパルに昇格した清水健太。
今回の公演で王子様・くるみ割り人形を演じたのだが、本当に「プリンシパル」だった。カッコよかった。
若いながらも品格があり、そしてなにより技術が素晴しかった。
彼だけではない。2幕で演じたダンサーそれぞれが、巧い。
「喜ばせてやろう」という余裕まで感じられた。
1幕でのコールドではロシアバレエを観ているかの様にキッチリ揃っていた。
そしてなにより嬉しかったのが、Kバレエスクールの子供達。
脇役として登場した子もいれば、ソロで踊った子供もいた。
お世辞抜きで巧かったし、可愛らしかった。
彼等にとってあの大舞台で踊れる事は最高のクリスマスプレゼントだっただろう。
将来の進路は本人が決めることだが、立派なダンサーそして立派な人間になって欲しい。

ということで、今回のくるみ割り人形では感動しまくりだった私。
今までは「熊川哲也率いるKバレエ」だったのが、これでやっと「1つのカンパニー」として世界に誇れるようになった。
実は私は公演中「よくここまで成長したなぁ~~」と
ず~~と嬉し泣き

親でもないし、支援者でもない。
チケットを買って鑑賞する只の一般客であるが、彼等の成長に心から喜びを感じる事が出来た。

カーテンコールではスタンディングオベーションの人もちらほら。
千秋楽で最後の公演だったのか、ダンサー達もホッとした表情。
浮かれたネズミが「そんなのカンケーねぇ」のモノマネをして、ネズミのボスに怒られていた(笑)。
最後には熊川哲也が舞台に登場。
暫くすると「パン!」という強烈な破裂音。
巨大なクラッカーだったようで、天井に舞う金色のリボン。
ステージ上には雪が舞い、そして「メリークリスマス&ハッピーニューイヤー」のカードが。
心臓には悪かったが、心憎い演出にまた感動。


Kバレエのみなさん。
最高のクリスマスプレゼントを頂きました。
本当にありがとうございました。
あ。チケットを買ってくれた奥さんもありがとう。
夜頑張ります(笑)。