蔓延前夜

2022年02月05日 | 短歌
あのころ・・・。二年まえのいまごろ、コロナはまだ遠くの方から聞こえてくるうわさ話のようなものだった
二日後に出発する予定の、ベトナム旅行のしたくに余念がなかった

マスクの生活はまだ始まっていなかった。でも、かの地での感染をおそれ、花粉症用にストックしていたマスクを数枚、旅じたくの品に加えた。

現地では日本よりも感染者の数はずっと少なかったが、ガイドの指示に従って食事のとき以外はマスクを着けて過ごした
マスクは着けてはいても、コロナが意識にのぼることはほとんどなかった
二月は日本人にとって、風邪の季節、花粉症の始まる季節、
マスクを違和感なく着けられる季節でもあった

一週間の旅から帰ると、いくらか緊張感は増していた
でも人びとは、まだマスクなしで酒場に集い、カラオケで下手な歌を披露していられた

その後にくる、五つも六っつもの感染者増の波、
いつまで続くか分からないコロナ禍の日々があろうなどとは、予想だにしていなかったのであった
まさに、コロナ蔓延前夜の話である

あれから二年、
きょうは三回目のワクチンを打つ日である

◇ 二年を ◇
旅に出ることもならずに
思い出の旅と本とに
コロナ禍 過ごしき
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