蹇蹇録(けんけんろく)

2024年02月29日 | 短歌
◇ 蹇蹇録 ◇
予備校の講師の薦めし「蹇蹇録」
今日手にしたり
幾十年経て

* 明治の初年、日本は旧幕府が西欧諸国と結んでいた不平等条約に苦しめられていた。諸国はその国力を背景に条約改正の要求に応じようとはしなかったのである。その厚い壁を突き崩し条約改正に次々と成果をあげていったのが時の外務大臣陸奥宗光(むつむねみつ)であった。「蹇蹇録」は宗光の外交交渉の一端を記した著作である。
何十年も前の話しである。「こんな面白い本はないから、ぜひ読んでみなさい」と受験予備校の日本史の先生は言うのであった。大学合格を目指してそこに通っている者の多くにはそんな言葉も届かなかったであろう。その先生も今は鬼籍に入っておられるに違いない。
それから幾十年、当時の若者の一人が先生の言葉を忘れずにいて、いま一冊の本を手にしている。

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小国の運命

2024年02月25日 | 短歌
◇ 小国の運命 ◇
アメリカのあと押しなくば
小国は呑まれゆくのみ
あの大国に

* 大蛇ににらまれ呑みこまれる寸前のカエル、それがウクライナの現状だ。最大の後ろ盾であったアメリカからは武器の供与がとだえている。周辺諸国もワイワイ論じてはいるが有効な手立てを打とうとしない。口にする人はいないが、このままでは小国がどのようになるかは、だれもが知っている。

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雑然もよし

2024年02月20日 | 短歌
◇ 雑然もよし ◇
整然はよし
雑然もまたよしと思うこととす
この誕生日より

* いらないものは処分して身の周りをスッキリ片付けておこう、という考えにこだわらないことにした。どの部屋も本や紙類で雑然としているが、居心地が悪いわけではない。自分にとってストレスを感じない生き方が、いい生き方なのだと思うことにしよう、この誕生日を契機に。

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春一番

2024年02月15日 | 短歌
◇ 春一番 ◇
雪積もらぬスキー場あり
温暖化すすみゆくなか
春一番吹く

* 一年中でいちばん寒い季節であるはずなのに、四月の陽気。今シーズン雪の積もらぬスキー場があったことが伝えられる。その日は風ばかりが強い日だった。地球温暖化のなかの、春一番である。


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人生・歯

2024年02月10日 | 短歌
◇ 人生・歯 ◇
人生の成功は何
分からねど
今残れる歯 二十九本

* 年に三、四回歯医者に通っている。健診がてら歯の掃除をしてもらう。治療あとの残る歯も多いが、まだ自分の歯が二十九本残っている。親に感謝しないと、と先生に言われた。

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