
【ボディワークとは?(またはソマティックエデュケーション/身体教育)】
ボディワーク bodywork
今、日本では、ボディワークという用語は、かなり広い意味で使われており、体に働きかける手技(鍼灸、指圧、オイルマッサージ、リフレクソロジーなども含む)全般を「ボディワーク」とよんでいます。
本来のボディワークの意味は、1960年代に米国エサレン研究所を中心につくられた概念で、心身一体ととらえて、身体から意識に働きかけることを目的にしているワークをさします。意識に働きかけ、自分自身のパターンに気づかせ、変化を促すということを目的としています。ですから、その人の症状や痛みだけに注目するものではありません。しかし、治療、美容、リラクセーション目的のものまでボディワークと呼ばれているのが、今の現状なので、身体教育に関しては、「ソマティック・エデュケーション」と呼んでいます。
*参考サイト ボディワーク(Fili)
◆ソマティックエデュケーションとは?
somaticとは「身体の」という意味です。身体教育のことをソマティック・エデュケーションと呼んでおり、体を通して気づきを促す方法のことを示しています。
身体は自分にとっては当たり前の存在です。痛みや不快感が現われた時に、あらためてその存在を認識するものです。痛みや不快感は一体誰が作り出しているのでしょうか?静かにじっくりと体をみる時間を持つことで、身体への認識力が高まると、それを引き起こしているものが、だんだんと見えてきます。刺激が多く、忙しく、不安が蔓延している社会においては、心も体も緊張状態が慢性的になりがちです。自分の体としっかりコミュニケーションをとれることは、安心と自信につながり、ストレスフルで変化の時代に生きるための強さとしなやかさにつながります。
ソマティックエデュケーションの三大メソッド
・ロルフィング
・アレクサンダー・テクニーク
・フェルデンクライス・メソッド
こびっと もりのくらし道場の「ボディワーク」の時間は、
フェルデンクライス・メソッドの考え方を中心としたワークを行います。
自分の体に気づくレッスンをまず行います。
自分の身体感覚を養った後に、身近な人たちにできる簡単なハンズオンプラクティスや、
自然療法を使った季節ごとのケアについて学びます。
◆フェルデンクライスメソッドとは?
フェルデンクライス・メソッドとは、物理学者であった、モーシェ・フェルデンクライスが開発した、
身体や自己への気づきを高めるメソッドです。
レッスンの方法は2種類あります。
1.アウェアネス・スルー・ムーヴメント(ATM, 動きを通した気づき)
プラクティショナーが言葉で動きの指示をします。それを聞き、自分で動きをしながら、
身体の様々な部分に意識を向けていく方法です。
2.ファンクショナル・インテグレーション(FI, 機能的統合)
プラクティショナーが言葉の変わりに、手で直接触れて身体に動きを伝えるワーク。
身体の機能が分化され、なおかつ、動きの統合を促すようにワークする。
1.は自分自身で気づいていく、とても優れた方法です。
しかし、思い込みなどパターンが強い場合には、なかなか、
気づきが起こりにくい場合もあります。その場合、
2のFIが効果的な場合があります。
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2008年にフェルデンクライス・メソッドのトレーニングを受けているときに、
トレーナーから聞いた言葉が、最もフェルデンクライスについて
多角的に説明されていると思うので、それを以下に掲載します。
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フェルデンクライスとは人の名前です。
物理学者だったフェルデンクライスは、
日本の柔道をフランスに紹介した人物でもあります。
かれは、ある日、膝を痛めて、医者からは手術を勧められました。
しかし、自分で治すための試みをしました。
そして、膝が痛いのは、痛い部分の問題ではなく、
自分の体全体をどう使っているかということに原因があり、
たまたま、膝に症状が出たことに気づきました。
そして、2つのことを発見しました。
・動きを通して、自分が何をやっているかいろいろ学べる
・答えは1つではなく、様々な解決方法がある。
彼は、赤ちゃんがどうやって学ぶかに注目しました。
赤ちゃんの学びは、大学で学ぶ時のように、
先生がいるわけではありません。自分自身で学びます。
自分が見たり、聞いたり、感じたことをつなぎ合わせていく
複雑なプロセスを行っており、そういう能力が備わっているのです。
赤ちゃんだけではなく、大人も同じように学びなおすことが出来ます。
そして、それは、動きを通して学ぶのが学びやすいのです。
その学びは人生すべてのことに対して応用が出来ます。
感情レベルでも、社会レベルでも応用できるのです。
重要なことは、自分が何をやっているかに気づくことです。
関係性に注意を向けることです。
自分がどういう風に、物事をなしているかに気づくことは、
他のやり方にも気づけるということになります。
そして、他の人はどうやっているのだろうと思うとき、
他の人に対しても繊細に接することができるようになり、
他の人が自分で学ぶことを助けることができます。
それが、プラクティショナーコースの4年間で行ってきたことです。
これらは、今の世の中において、大切なスタンスです。
様々な人の個性も味わえて、他者に共感が持てるようになります。
関係性を持つために同じである必要はなく、
違っててよいし、違っているからこそ、社会が豊かになるのです。
この学びは、人生のどこにでも応用できます。
そして、私がこういっていることは、
動きを通して実際に学んだことなので、
説得力を持たせることができるのです。
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アーカイブ:フェルデンクライス・メソッド~学び方の学び(Spiral Earth 2008.5.2)