もとなりくんの「今週の政治 ‘とんでも’」

日本の経済、安保危機を打開する力は、国民の結束と強い政治しかない

「内閣改造見送り 主要党幹部続投」は当然の姿だ! ポストは仕事をするためのものであり、褒賞ではない!

2013-09-07 22:44:18 | 政治
「安倍晋三首相は来年夏まで内閣改造を見送り、自民党三役も続投させる方針を決めた。…略… 首相は4日、訪問先のロシアで改造を見送る理由について「予算編成を行えば、その予算(案)を作った閣僚が責任を持つべきだ」と述べ、2014年度予算案を審議する来年の通常国会に現内閣で臨む考えを示した。菅義偉官房長官も5日の記者会見で「内閣として仕事をやっていく上で一定の時間は必要だ」と説明した。 首相は10月初めに消費税率引き上げの最終判断を控え、TPP交渉も大詰めを迎える。集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈の見直し論議など重要案件もあり、現体制のまま乗り切るのが得策と判断した。菅氏は5日の会見で通常国会が閉会する来夏まで現体制を維持するとの見通しを示した。…略… ただ、衆院当選4~6回の「入閣適齢期」の議員は自民党内で70人を超える。首相はすでに自民党の石破茂幹事長と菅氏に対し、副大臣、政務官人事の調整に入るよう指示。一方、自民党役員人事を巡り、ロシアで首相が列挙した留任させる党役員の中に、石破氏に近い鴨下一郎国対委員長の名前はなかった。首相官邸には先の国会運営に対する不満も根強く、鴨下氏の処遇が火種になる可能性もある。」(5日 毎日)。
閣僚がコロコロ変わるようなことでは、政治は機能不全に陥ってしまう。まして、大臣ポストを論功行賞の‘道具’として扱うようなことをすれば、これ自体が、政治の本来の意味を貶める行為であるので、政治の信頼性、権威は地に落ち、政治は機能しなくなってしまう。小泉政権などの例外はあるにせよ、これが、ここ数十年間にわたって日本の政治を混迷させた一つの主要な要因になっている。「一内閣一閣僚」というのが原則であり、こういう考え方で進めようとしている(らしい)安倍首相(総裁)の姿勢は当然のことであり、強く支持できる。しかしながら、これに抵抗する党内の動きもあるから、これを貫くためには、自民党議員諸氏と、国民の理解と支持が不可欠になるのである。

《大臣は最も重要なポストであり、政治を遂行するためのものだから、実力本位で選ばれるべきものだ! 「一内閣一閣僚」が原則だ! エスカレーター式の「論功行賞」であってはならない》
「通常国会終了まで改造がない場合、現閣僚の在任期間は1年半に及ぶ。近年、短命政権が続いたこともあり、01年4月に発足した小泉内閣以来の長い任期となる。小泉純一郎首相(当時)が初めて改造したのは1年5カ月後。安倍首相の周辺は「首相は小泉氏の政権運営を意識している」と明かす。」(同)。
小泉元首相は、一内閣一閣僚を唱え、基本的にはそれを実行したのである。これはそれまでの自民党政権から見れば、画期的なことであった。自民党政権は、閣僚のポストを派閥均衡を図る為の手段として使い、更に、議員の箔付けのための順送り人事として利用してきた。その為に、事あるごとに内閣改造を行い、大臣のポストをたらい回しにした。
任命された大臣は、所管省庁の仕事に精通する必要は無く、官僚の上申に従って、次の内閣改造の時まで大過なく勤めれば、大臣経験者としての箔が付いたのである。
 
民主党は政権交代前、自民党の閣僚が短期間で代わるのを「ポストのたらい回しだ」と強く批判していた。総選挙を経ずに安倍、福田、麻生と毎年首相が誕生したことも徹底的に攻撃した。ところが政権を奪取するや、ポストが回ってこないことに党内の議員の不満が鬱積し、自民党時代よりも酷いポストのたらい回しを常態化させた。政権交代以来、民主党で誕生した大臣は152人(複数の担当を兼務した場合を除いた延べ人数)。閣僚ポストは18人だったから、「一内閣一閣僚」とすれば54人でよいはずとなるが、実際は「一内閣三閣僚」ぐらいにまで大盤振る舞いをしたのである。野田首相は、党内求心力、国民の支持率向上を狙って、1年余りで4回もの組閣を行ったが、これは当然のことながら戦後最多の記録となった。これに対しては、「入閣待望組の在庫一掃セール」、「思い出づくり内閣」と厳しい批判の声が上がった。
民主党政権下では、大臣のやるべきこと、つまり仕事が忘れ去られ、仕事が放り出され、官僚が勝手に仕事をしたため、国政は混乱し、中韓をはじめ各国から侮られ、不信を持たれ、日本の国益を著しく損ねた。総理大臣ですらいつ代わるかわからない状況で、何の専門知識も見識もない大臣と、数か月で代わるかもしれない大臣と、話し合ってみても、交渉してみても、約束をしてみても、意味がないことは明らかである。日本の国民、諸団体、機関、そして海外の国々がこれらの閣僚(もちろん首相も)を本気で相手にしようとしなかったのも無理からぬことであった。
したがって、安倍首相による「内閣改造はしない、主要な党幹部は続投させる」という今回の方針表明は当然のこととなる。実際の活動においても、安倍内閣の閣僚は、能力的に適材であるばかりか、絶妙なチームワークを発揮しており、各閣僚がその能力をいかんなく発揮できているように思う。たとえば、菅官房長官、岸田外相、小野寺防衛相などの主要閣僚の働きと呼吸はぴったり合っているように見える。最近の大臣のテレビ出演や記者会見の様子を見ると、各大臣が所管する省庁の所管事項に対して相当精通しているし、頼もしい感じがする。原稿を見なくても返答できるし、数字も出てくるし、テクニカルタームも言い淀むことなく出てくるし、いわゆる失言も少なく、全体として安定している。各省庁の長としては、斯くあるべきであり、それであって初めて、政治執行の実が挙げられる。
「大臣適齢期」組が70人もいるという話であるが、ここには「適性」という概念がすっぽり抜けている。企業でも、「年功序列」が行われていたのははるか昔のことであり、いまやどの企業でも「実力と適性」による人事が行われている。大臣にならなくても、価値ある仕事をすることはできるのである。これら70人は、能力、適性において、適材適所で配置されるべきである。この点がまだ理解できない一部自民党諸氏は考えを完全に改革する必要がある(どうしても理解できない人は民間企業で働いてみてはどうだろうか)。
しかし、これも、今のところ安倍内閣の政権運営がうまく行っており、首相の求心力が保持されているからであり、この状況はちょっとした政局の出現で、変わってしまう可能性もある。たとえばアベノミクスに翳りが出たとか、TPP交渉がうまく行かないとか、である。重要なことは、こういうときこそ、政策の一貫性を保ち、踏ん張る必要があるのだから、「一内閣一閣僚」が保たれなければならない。首相と内閣の求心力を挙げるために、党所属議員の不満のはけ口として、あるいは支持率アップのために、大臣ポストを餌、あるいは呼び物にすべく内閣改造をするようになっては、肝心の政治の遂行がどこかに行ってしまう。こうなってはおしまいだし、こうなってはいけない。内閣が苦しいときこそ、党の議員諸氏が内閣と政権を支えるべく行動しなければならない。

《安倍総理を支える石破幹事長の姿勢は正しく適切である。さらに彼には、ポスト安倍候補としての、地位固めも必要であり、これは自民党、国民に対する義務でもある。しかし、これは、安倍政権を支える行動と矛盾するものではないし、させてはならない》
そこで、内閣を支える党幹部の動きも非常に重要なものとなる。この点で石破幹事長は、よく党をまとめていると思う。
<追伸; 9日20時14分配信の毎日 記事によれば、「「無派閥連絡会」は9日、10月3日に予定していた研修会を開催しないと関係者に通知した。…略…
中止の理由を、グリーン氏の日程を確保できなかったためと説明している。…」と報じている。それゆえ以下の毎日 記事は変更されているが、内容としてはそれなりの意味、意義を持つので、削除せずに残しておきたい>

「昨年の自民党総裁選で石破茂幹事長を支持した議員らが作る党内グループ「無派閥連絡会」が10月3日、東京都内で初の研修会を開く。「派閥復権」を目指して各派閥が続々と研修会を開く中、無派閥を掲げる同連絡会も秋の臨時国会に向けて結束を固める狙いがある。 研修会の講師はマイケル・グリーン元米国家安全保障会議アジア上級部長。ブッシュ政権時代に日本に安全保障面での積極的な役割分担を求めた。安倍晋三首相とも親交がある。 臨時国会では、集団的自衛権の行使容認が焦点となる見通しで、石破氏周辺は「首相に近い人物と会って意見交換するのが大切だ」と語る。安倍首相は憲法解釈の変更による行使容認を目指すが、党側には9条改正を求める意見もあり、関連法案も含めて議論をどう進めるかは調整がついていないためだ。 石破氏周辺は「集団的自衛権の議論は米国が何を望んでいるのかよく把握しておくことが重要だ」と指摘。首相と石破氏の調整がよりスムーズに進む効果も期待している。」(9月4日 毎日)。
安倍首相と石破幹事長との間の確執なるものを、捏造したり、ことさらに強調して面白おかしい政局を作ろうとする勢力、マスコミ論調もある。そして、それは、この「無派閥連絡会」を石破氏の派閥とみなす見方とも連動している。しかし、派閥は「党内党」であり、ここには、金とポスト、そして固定したメンバーなどの要素が不可欠であるが、石破氏の「無派閥連絡会」にはこういうものはない。だからこの回は派閥ではなく勉強会なのである。集団的自衛権については、党内に安倍首相の考えに反対する勢力もあるわけだから、幹事長として、この問題についての党内理解を深める勉強会を行うことは当然である。しかも、米国から講師を呼ぶというのは、実戦的であり、自民党はこういう本格的な勉強会をどんどん行うべきである(また、野党もそうすべきだ)。

ところで、安倍首相が長期政権になるにせよ、いずれ後退する時期が来る。そのとき首相候補がいないのであれば、あるいはたとえいたとしても実力的に不十分な人しかいないのであれば、日本の政治の力は、再び低下してしまう。こんなことになってはならないのであり、常に複数の総理(総裁)候補を持っていなければならない。石破氏は安倍政権を支える立場ではあるが、首相と総裁の座を争った身であり、ポスト安倍を狙う立場なので、自らも存在感を高める必要がある。これは石破氏の個人的な願望であると同時に、党の要求、国民の要求でもある。石破氏が、自分と考えを同じくする諸氏と勉強会を行うのは、個人の権利としても当然であり、また、ポスト安倍候補の一人としても当然のことである。このことと、候補が、安倍政権の足を引っ張ったり、「安倍おろし」のクーデターに走ることとは直接の関係がない。安倍首相と後継候補者とは協力して、内閣、政権運営を行うことができる。そして現実に、今のところ両者はうまくやっているので、これをぜひとも継続してもらいたいものだ。