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「貧困ビジネス」大手、数年間で3億円の報酬 法改正による規制強化が急がれる

2009年12月30日 13時17分40秒 | ベーシックインカム
 生活保護の受給者を「食いもの」にする悪徳な事業者による「貧困ビジネス」に注目が集まっている。
 「貧困ビジネス」とは、ホームレスなどに住まいや食事を提供する代わりに生活保護費から高額な料金を請求する「ビジネス」のことで、今月の16日に大阪市が調査結果を明らかにしたことから、実態が明るみになってきた。
 大阪市によると、「月12万円の生活保護費から家賃や弁当代、諸経費として10万円を徴収。手元に残るのは2万円」「住宅扶助の4万2千円と同額の家賃を一律に徴収。実際の家賃は2万円少々と、4万2千円を下回ることもある」「弁当代名目で月に3万円、手続き代行などの名目で月に5万円」といったケースが明らかになり、これでは生活保護受給者の自立につながらない、月に2万円では生活保護から抜け出せないなどと「貧困ビジネス」の広がりには大きな問題があると指摘している。
 しかしながら、生活保護受給者(ホームレス)と不動産管理業者(悪徳な「貧困ビジネス」業者)との「民と民の契約」であり、現行法では、生活保護費を支給した後のことまで行政がこと細かに立ち入ることはできない。とはいえ、現に、生活保護受給者の自立を阻害している(生活保護費は上がる一方)のだから、民と民のことだからと放置しておくこともできない。

生活保護費12万円から10万円徴収 貧困ビジネス調査
http://www.asahi.com/national/update/1217/OSK200912160128.html

 「貧困ビジネス」に注目が集まるなか、関東圏と愛知県で「貧困ビジネス」を展開する、「業界2位」のFISが名古屋国税局から告発された。入所者1人あたり月々9万円を家賃や食費として徴収。年間の「売り上げ」は、約20億円にのぼるという。経営者と幹部2人の3人は、2007年までの数年間で約5億円の所得を得ていたこと、経営者は約3億円、幹部2人は約1億円の所得を申告せずに脱税したとされている。
 なお、FISは、社会福祉法の「第二種社会福祉事業」を行うとして届出がなされている。これだけの巨額の利益を上げていることが明らかになったことから、事業の認可の取り消しにつながる可能性がある。大阪市の実態調査の結果を受けて、大阪府が調査と指導にあたるべきだろう。「貧困ビジネス」の業者は、確かにホームレスに住まいや食事を提供しているという側面もある。しかしながら、ホームレスから搾取して大きな利益を上げる「ビジネス」としての側面もある。「ビジネス」の側面の強い悪徳業者を野放しにしておくと、ホームレスの支援に頑張っている多くの人たちも同じように見られてしまう。大阪府は、大阪市の実態調査を受けて早急に動くべきだし、法改正が必要ならば、厚生労働省は、早急に手をつけるべきである。

「貧困ビジネス」大手、脱税容疑2億円 国税告発へ
http://www.asahi.com/national/update/1228/TKY200912280466.html

社会福祉法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO045.html

第二種社会福祉事業に関しては、第二条の3。社会福祉事業については、第七章を参照のこと。
都道府県知事は、第七十条に基づいてFISを調査し、改善命令や許可の取消し等を行うことができる。


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