http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20131031-567-OYT1T00399.html
2013年10月31日(木)11:21
読売新聞
兵庫県尼崎市の連続変死事件で、ドラム缶からコンクリート詰めの遺体で見つかった大江和子さん(当時66歳)に対する傷害致死罪などに問われた大江さんの長女ら3被告の裁判員裁判の判決が31日、神戸地裁であり、細井正弘裁判長は、長女・香愛かえ被告(45)に懲役3年、執行猶予4年(求刑・懲役4年)、次女・裕美ゆみ被告(42)に懲役2年、執行猶予3年(同)、裕美被告の元夫・川村博之被告(43)に懲役3年6月(求刑・懲役5年)の実刑を言い渡した。
裁判員裁判としては一連の事件で初めての判決。公判では、角田すみだ美代子元被告(自殺、当時64歳)の支配下に置かれた3被告の刑事責任能力が焦点となったが、細井裁判長は「責任能力はあった」と述べた。
精神鑑定は、「精神障害はないが、自発的に行動できない『学習性無力感』に陥り、行動を制御する能力は完全に失われていた」と認定。弁護側は「責任能力はなく、心神喪失状態だった」と無罪を主張していた。
これに対し細井裁判長は、「(鑑定結果は)心理学的概念で説明しているに過ぎない。責任能力の前提となる精神障害の認定を欠く」と指摘した。
●尼崎連続死 3被告有罪 裁判員裁判初判決、責任能力認める
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20131031125.html
2013年10月31日(木)15:25
産経新聞
兵庫県尼崎市の連続変死・行方不明事件発覚の端緒となったドラム缶遺体事件で、大江和子さん=当時(66)=への傷害致死などの罪に問われた長女、香愛(かえ)(45)▽次女、裕美(ゆみ)(42)▽その元夫、川村博之(43)の3被告の裁判員裁判の判決公判が31日、神戸地裁で開かれた。細井正弘裁判長は責任能力があったとして、香愛被告に懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役4年)、裕美被告に懲役2年、執行猶予3年(同4年)、川村被告に懲役3年6月(同5年)の実刑を言い渡した。
一連の事件で裁判員裁判の判決は初めて。争点は主犯格とされる角田(すみだ)美代子元被告=自殺、当時(64)=の支配下にいた3被告の責任能力の有無。精神鑑定では、元被告らの虐待などで「明らかな精神障害はないが、元被告の指示に無抵抗に従う『学習性無力感』という心理状態で、行動を制御する能力が完全に失われていた」とする結果が出ていた。
判決は、責任能力について「精神障害によって行動制御能力や善悪の判断能力が喪失、減退していたかを判断するのが通例」と指摘。「鑑定は、精神障害でない心理学的要素の学習性無力感から責任能力を導き出そうとしており、採用できない」と、鑑定結果を基に責任能力がなかったとした弁護側の主張を退けた。
さらに首謀者を元被告と認め、3被告に被害者の一面があると指摘。川村被告の実刑理由については「元被告の影響から逃れようとしなかったため、香愛、裕美両被告が犯行に加担することになった」と述べた。
判決によると、3被告は元被告と共謀。平成23年7~9月、大江さんの頭を殴るなどの虐待で衰弱死させ、遺体をドラム缶にコンクリート詰めにして尼崎市内の貸倉庫内に遺棄した。
●尼崎連続変死 実刑にのど元震わせ…美代子元被告の「支配」詳細に
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20131031127.html
2013年10月31日(木)15:25
産経新聞
兵庫県尼崎市の連続変死・行方不明事件の端緒となり、初めての裁判員裁判の判決が31日、神戸地裁で言い渡されたドラム缶遺体事件。公判では、主犯格とされる角田美代子元被告=自殺、当時(64)=の凄惨(せいさん)な虐待による「支配」の手口が改めて明らかになった。大江和子さん=当時(66)=を虐待して衰弱死させ、遺体をコンクリート詰めにした娘ら3人は責任能力を否定して無罪を主張したが、裁判員が下したのは「有罪」だった。
午前11時、大江さんの長女、香愛(かえ)被告(45)はグレーのTシャツにジーンズ、次女の裕美(ゆみ)被告(42)、その元夫、川村博之被告(43)は上下とも黒っぽい服装で入廷した。
3被告ともやつれきった様子。神妙な面持ちで横一列に並び、判決の瞬間、執行猶予が付いた娘2人と違い1人だけ実刑となった川村被告ののど元が大きく動いた。裕美被告は涙をこらえるような表情でハンカチを両手で握りしめ、香愛被告は小さくうなずいた。
法廷での供述によると、川村被告がクレーム対応をきっかけに元被告と知り合ったのは平成21年春。連日電話で呼び出されては怒鳴り散らされた。「一家むちゃくちゃにしたる」と恫喝(どうかつ)され、22年4月、長年勤めた私鉄を去った。
ただ、川村被告が「怒ると怖いが悪い人ではない」と供述したように、元被告は恫喝と甘い言葉を巧みに使い分け、川村被告に「(元被告を)頼るしかない」と依存心を深めさせた。元被告は裕美被告との離婚や自宅の売却などを持ち出し、“家族会議”を開催。3被告に暴力をふるい、「他人の私が怒っているのに、身内が手を出さないのか」と家族同士で殴ることを強要した。家族間暴力が常態化するうちに、川村被告は「抵抗はあったが、元被告の指示に従うしかない」と歯向かう気力を失ったという。
大江さんは虐待を受けた末に23年9月に死亡したが、川村被告は当時の心境について「何にも感じていなかった」と吐露した。
最終意見陳述では「当時は全てが異常だった。自分がしっかりしていれば家族を守れた」と悔し涙を流した川村被告。判決が読み上げられる間、紅潮した表情で前を見据え続けた。
●尼崎連続変死 裁判員「人間の弱い面、醜い面…思い知らされた」
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20131031128.html
2013年10月31日(木)15:25
産経新聞
閉廷後、裁判員の女性と50代の男性会社員が記者会見に応じた。2人は「人間の弱い面、醜い面、残酷な面、冷たい面を思い知らされた」「量刑が決まったときにはほっとした」などと振り返った。
裁判員の女性は裁判が始まって以降、「事件のことが頭から離れることはなかった」と吐露。証拠として目にした写真やイラストが「頭に浮かぶこともあった」と述べ、心理的な負担もうかがわせた。
3被告は虐待を受けるなど被害者の側面もあった。男性会社員は「かわいそうと感じた」と述べながらも、「(裁判官に)法律の解釈を教えてもらった。その通りに判断しないとまずい」との思いを抱いたといい、評議で量刑を決める段階になると「プレッシャーというか、気が重くなるのを感じた」と疲労をにじませた。
●尼崎連続変死 42日間の長期審理、裁判員に大きな「負担」
2013年10月31日(木)15:25
産経新聞http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20131031129.html
大江和子さんへの傷害致死事件の公判は、裁判員の在任期間が42日間の長期審理になり、裁判員に大きな「負担」を与えた。今後、一連の連続変死事件で殺人罪などで起訴された角田美代子元被告の親族ら7被告の裁判員裁判が控えており、審理方式などに影響を与える可能性もある。
神戸地裁は今回の裁判で辞退者多数を想定し、裁判員候補者を270人選定。重病者などを除いた184人に呼び出し状を送った。しかし「仕事」「家族の介護」「精神的・経済的な不安」を理由に辞退者が相次ぎ、選任手続きに出席したのは、わずか48人だった。
複数の事件で起訴された被告への裁判員裁判の審理は、証拠や構図が共通する場合、同じ裁判員がすべての事件を受け持つ「一括審理」と、事件ごとに裁判員を選任する「区分審理」の2つの方法がある。
一連の事件では、大江さんを除く5人への殺人や傷害致死罪などで7人が起訴され、さらに別の事件の立件に向けた捜査も続いている。一括審理方式を採用した場合、“超長期審理”となる可能性が高く、裁判員の過重な負担を懸念する声は強い。今後、神戸地裁がどのような審理方式を採用するか注目される。